診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第11章 新しいステージへ

212話 最後のすき焼き

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 夏が予約してくれたホテルは、大浴場からの海の景色がすごいらしい。
ただし、夜になると海は暗いけど、みなとみらい側だと夜景が素晴らしい。

よし!大浴場は俺の譲れない条件。

夏「今夜はどこで食べるの?」

「えっ、ホテルで食べるんじゃないの?」

夏「いやあ~、もうホテルはいいでしょう? 横浜と言えば中華でしょう?」

莉子「賛成! 中華街に行く!」

……もう出かけたくない俺。

しかもホテルの中に中華料理があるじゃないか。

「あのね、明日の昼はすき焼きを食べるからね。もう予約してるよ」

莉子「だからなあに?」

「あまり今夜から食べ過ぎないこと。油料理を食べ過ぎたらお腹を壊すよ。だからホテルの中華料理でいいでしょう?」

夏「お兄さん、ホテルの中華料理はお上品なコース料理だけなんですけど」

「だからいいんじゃない? 中華街に行ったら欲だらけになって、あれもこれも食べちゃうんだよ」

……とりあえず作戦成功。

結局、お上品でお高そうなホテルの中華料理コースをいただきました。

結構なお味でした(笑)

その日の夜、お風呂に入ったあとは莉子と桃香がもう爆睡した。

旅行も3日目になると、疲れが出るよね。

でも俺は最初から体力を温存していたから、何とかなった。

「夏、一緒に風呂に入るか?」
「う~ん、なんだかすごく眠いんだよね」
「わかった、早く寝るといいよ」

俺だけで風呂に入った。海一望の贅沢な浴場は遠くのライトも見せるし、みなとみらい側の夜景も美しかった。
露天風呂は、灯りが極力落としてあって、遠くの夜景がキラキラと美しく揺らいで見えた。

残念だねえ。こんな素敵な風呂に入らないなんて。

でも部屋に戻ったら、俺もすぐ寝ることにした。

翌日、朝食も軽く食べて、みんなで歩き回ることにした。
今度こそ山下公園を歩いた。そして氷川丸で写真を撮って、中を見るのはパス。
動物園に行こうと言ってたんだけど、夏も莉子もバテ気味だったからやめた。

そして、いよいよ旅行のメインに行く。早めの時間に予約しておいた。

俺のお気に入りのすき焼き屋さん。いつも混んでる。

ここは老舗だ。和風旅館のような室礼が良いよね。雰囲気たっぷりだ。

最初はあまり気の乗らなかった莉子や夏が、食べ始めたらすごい勢いで食べてるじゃない。

「ほら見ろ。旨いだろう? みんな思いっきり食べていいよ」

桃香だって夢中になって食べていた。

お肉を何回も追加した。ここで1年分のすき焼きを食べておこう。

これですべての旅行は終わりだな。

莉子「明日はどうするの?」

「もう帰るさ」

夏「ぶー!」

桃香「ぶっぶー!」

「なに?」

桃香「だって動物園に行くっておにいが言ってたもん。まだ行ってないよ」


……失敗。

「わかったよ。明日、動物園に行ってから帰ろう。それでいいの?」

桃香「うん、いいよ」

はあ~、もうダメ。旨いものを食べたら眠くなった。あとはとっとと帰るに限る。

結局、翌日はチェックアウトしたら、動物園に行って桃香が喜ぶコースを回った。

帰りの運転は夏だよ。

今度はベイブリッジを通るから、莉子や桃香も喜ぶね。

それにしても色っぽいことが1回しかなかった。つまんない。

運転する夏の横顔を見る。

鼻が高いから横顔がきれいだ。

目も大きいから人目を引くし、本当にモテるよねえ。

踊る医者はねえ、夏だからやらせてくれたんだよ。わかってるのか?

あれがずんぐりおじさんだったら、絶対呼ばれないぞ。

第一、舞台で踊れなんて絶対言われないからな。

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