診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第12章 夏デビューへ

227話 VOXIVE(ヴォクシヴ)・コンサート本番

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 本番のコンサートは午後3時からだ。車だと現地まで30分もあれば着く。

しかし余裕をもって到着したいので、大型バスには1時に来てもらうことにした。
臨時駐車場からアリーナまで1キロくらい歩かないといけないからね。

バス1台に乗るだけで10分はかかるわ。それが10台だからね。

また菜の花病院は一体どこに行くんだよ?と通りがかりの人に思われるだろうなあ。

遊んでばかりと思われないか? 
まあ、確かに遊びに行くんだけどさ。

400人が病院の前にぎっしりと!並んでいるんだよ。修学旅行と一緒だ。

しかも今回は大勢だから、1台ずつに添乗員さんがつくことになった。
まさかバスの中で歌わせないだろうなあ。

そんな心配をよそに、莉子も桃香も一緒のバスに乗った。

現地はすごい。15000人も入る会場だ。

なんでここに夏が出るんだろう?? 素朴な疑問だ。

切符は各自が持っている。着いたら現地解散だ。

アリーナの席に着くとなんと真正面の一番いい席じゃないか!
お父さん!!ありがとう!そんな素直な感謝を叫びたかった。
もちろん、夏のお父さんと母さんも来ている。俺達の隣だ。

もちろん代表して感謝は伝えましたよ。

始まるまではドキドキしてもうダメ。そのうちにステージが真っ暗になって、音楽が鳴り出した。

そしてライトがさーっと四方八方から中央のメンバー達を照らした。

あれ?夏がいない。なんで??‥‥‥え?

そういえば、全部じゃなくて、4曲か5曲に参加すると言ってたなあ。

ああ~だからか。急に気持ちが落ち着いた。

KAI君が歌い始めると他のメンバーが周りで踊る。
黒にキラキラするラメのようなのがいっぱいついていて、動くたびに光に反射してまぶしかった。

3曲ほど続いたところで、女性のMCが出て来た。テレビで良く見る人だ。

メンバーが揃って前に並ぶ。

MC「皆さん~。こんにちは~!」会場からこんにちは~と声が帰って来る。すごい。

MC「今回の公演はいつもと趣向が違うと聞いていますが、KAIさんからお話ししていただけますか?」

KAI「はい。以前、僕が地方の公演で、舞台前に転んでしまって捻挫で動けなくなったんですよ。

その時にヘルプして、東京で医者をやってる友人が助けに来てくれたんです」

MC「うわ~良く来てくれましたね。それでどうなったんですか?」

KAI「どうにもならないので、車いすのまま舞台で歌ったのですが、友人が代わりに白衣のまま踊ってくれたんですよ」
MC「わー驚いた。いきなり踊れるものなんですか?」

KAI「そうなんですよね。日頃は童謡や演歌やポップスを聞いて、みんなで身体を動かす会のようなところで週に1回は踊ってたらしいです」

MC「なんかSNSで#踊る医者でバズッたらしいですね?」

KAI「そうなんですよ。でもその時は1回限りだったんですが、回りの反響が大きかったんです。

で、この前偶然にディズニーランド近くのレストランでばったり会ったんです。

で仕事でパレードに出るのに、急遽白衣を着たまま一緒に出演してもらったところ、またまたすごい反響で、社長も勿体ないと思ったんじゃないですか?」ここで会場が爆笑。

MC「それでまさか、その踊る医者の方がここにいらしてるんですか?」

会場がワーッと沸いて拍手喝采になった。

まるでアンコールの時のような拍手で収拾がつかなくなっている。

MC「わーすごい。もうおしゃべりは要らないですね。

では皆様一緒に夏先生をお呼びしましょうか?

せーの!「夏先生~!!」会場が声を揃えた。

ああーそこで夏がメンバーと同じ衣装を着て出て来た。

もう心臓がダメ!どっか逃げたい。

俺の回りのスタッフからの拍手と「せんせえ~」と声援が凄いんだけどね。

MC「今日は白衣をお召しではないのですが、夏先生でいらっしゃいますか?」

夏「はいそうです。ちょっと着なれないんですけど……」会場が笑った。

MC「ではKAIさん、今日は夏先生と何が始まるのでしょうか?」

KAI「まずはダンスを見て欲しいですね。一緒に合宿をしました」

MC「わー楽しみですね。では、どうぞ!」

激しい音楽が流れて来た。それにあわせてメンバー達と踊る夏。

えーすごい。いつの間にこんなに上達したんだ。

動きがぴったり合ってる。すごくカッコいい!俺も見惚れてしまった。

まるで最初からメンバーだったように違和感がない。

3分ほど踊って最後の決めポーズが出ると、拍手喝采や歓声が凄かった。

MC「まあ~すごいですねえ、だって素人の方ですよね?全く違和感がないですよね?皆さん、いかがでしたか?」

またわーっと拍手と歓声がおきた。夏は大人気だな。


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