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第12章 夏デビューへ
228話 感動の夏の歌声
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MC「ではKAIさん、次は何を見せてくださるのですか?」
KAI「次は僕の歌を聞いてください」
MC「はい、ではお願いします」
今度はKAI君にスポットライトが当たる。
KAI君は本当に歌がうまいなあ。
でも周りのメンバーも踊りながら一緒に歌っているんだよね。
夏も一緒に歌いながら踊っているようだ。
どの声かは分からないけど……。
それが終わると、今度はKAI君だけにスポットが当たった。
次の曲は甘いバラードのようだ。
やさしくピアノが奏でる前奏が美しく、歌詞も切なくて素敵だ。
KAI君が歌っている中で、突然、夏が重ねるように歌い始めた。
えっ!! 一瞬で鳥肌が立った。
KAI君が男役、夏が女役のようだ。
男が愛を歌い、女は甘い高音のメロディーで愛に応える。
デュエットの曲なのか。
ああ~、あの時の声だと思った。
ベッドで耐えきれずに漏らすあの声だ。
女の子のような、か細くて高い声でずっと啼く。
独り占めしたかったあの声だった。
もう鳥肌が立って、両手で自分を抱きしめた。
なんて美しい声で歌うんだ。
とても男性の声だとは思えないような高い音域で歌っている。
これは誰にでもできるものではないだろう。
二人だけで切々と歌い上げる。
伴奏はピアノだけだ。
スポットライトに照らされて、二人は歌で愛の物語を心の奥まで届けてくれた。
終わると、しばらくシーンとしていたが、その後は拍手と歓声が鳴りやまなかった。
ピューピューと口笛が聞こえたり、ワーッという歓声や拍手がなかなか収まらなくて、観客の感動が伝わってきた。
収まってからMCが出てきた。インタビューをするようだ。
MC「素敵でしたねえ~。すごくきれいな歌声でしたが、歌はやってらしたのですか?」
夏「いえ、今回が初めてです」
MC「ではカラオケとかで歌われるのですか?」
夏「いえ、ほとんど行ったことはないです。普段は歌うってことはないんです」
MC「あらまあ、どうしましょう。KAIさん、いかがでしたか?」
KAI「もうミラクルでした。信じられなかったです。合宿前は声を出す訓練からしたんですよね?」
夏「はい、そうです」
MC「皆さん、さぞ驚かれたでしょうねえ?」
KAI「スタッフがみんな喜んでいました。多分、味をしめたと思います」
また会場がワーッと沸いて拍手が送られた。
MC「では次は何を見せていただけますか?」
KAI「今度は皆で踊って歌います」
それからどんどんプログラムが進んでいき、夏も一緒に踊って歌っていた。
残念ながら、それ以降は夏の歌声は聞けなかった。
でも十分だ。ああ~もうどうしよう。
泣きたくなった。
二度と病院へは戻ってこないかもしれない。
これは覚悟しないといけないと思った。
俺から離れていくのか?
いきなり夏が遠い人のように思えた。
横からツンツンとひじでつついて、莉子がハンカチを差し出した。
え?と横を見ると、涙を拭けという。
そうか、俺は知らない間に泣いていたようだ。
感動したんだよね。なんだか胸がいっぱいになってしまった。
周りを見ると、お母さんも泣いていたようだし、スタッフもちらほらとハンカチで目元を拭いていた。
夏が素晴らしい成果を見せてくれたのに、俺の心は深く沈んでしまった。
アンコールも済み、コンサートが終わると、皆席を立ち始めた。
夏のお父さんとお母さんに、「ちょっとスタッフに声をかけて体調を見てきますので、お先に失礼します」と断りを
入れて、「本日はありがとうございました」とお礼も伝えた。
莉子たちにも先に帰ってくれるように伝えた。
裏から入り、スタッフに断りを入れて夏を探した。
皆まだ舞台裏の床に座って酸素を吸っていた。
「みんな大丈夫か?」と聞くと、みんなうんうんと頷いてくれた。
夏も酸素を吸っていたが、俺を見ると涙をこぼした。
両手を差し出したら胸に飛び込んできた。
俺もいとおしくて泣けてきた。
嗚咽が止まらない夏……。まだ身体が震えていた。
よほど緊張したのだろう。ぎゅっと抱きしめた。
KAI君が笑って夏の背中をさすってくれた。
「お兄さん、夏は最高だったでしょう?」
うんうん、と頷くことしかできなかった。
涙があふれて言葉にならなかった。
RINさんとマネージャー、監督のショーさんまでそばに来た。
RIN「どうですか?感動的だったでしょう?夏君は最高に才能にあふれていますよ。磨けばもっともっと光ります」
後藤マネージャー「この際、メンバーになったらどうですか?黒田社長も本当に良かったと驚いていました」
ショーさん「夏君はもっともっと他にも才能があると思いますよ。それくらいポテンシャルが高いから勿体ないです。どうですか?この際、この世界に入られても遅くはないですよ」
事務所の黒田社長もそこにいらしたようだ。見てたのかな? 恥ずかしいな。
黒田社長「北原さん、どうですか?この際、夏君をうちの事務所にいただけませんか?本当に素晴らしい才能です。このままでは勿体ないです。
どうか私に夏君を預からせてください。最後までうちの事務所で守ります。
これは真剣に考えていただきたいんです。お願いします」
胸にしがみついていた夏の身体を少し離して、まだ涙があふれている顔を覗き込んだ。
「夏、皆さんがそうおっしゃってるよ。どうする?夏がやりたいようにやればいいよ」
夏「俺は……まだ分からない。今回は楽しかったけど寂しかった。もうちょっと考える時間が欲しいです」
ふふふと周りの人は笑った。しょうがないねという感じだった。
KAI「次は僕の歌を聞いてください」
MC「はい、ではお願いします」
今度はKAI君にスポットライトが当たる。
KAI君は本当に歌がうまいなあ。
でも周りのメンバーも踊りながら一緒に歌っているんだよね。
夏も一緒に歌いながら踊っているようだ。
どの声かは分からないけど……。
それが終わると、今度はKAI君だけにスポットが当たった。
次の曲は甘いバラードのようだ。
やさしくピアノが奏でる前奏が美しく、歌詞も切なくて素敵だ。
KAI君が歌っている中で、突然、夏が重ねるように歌い始めた。
えっ!! 一瞬で鳥肌が立った。
KAI君が男役、夏が女役のようだ。
男が愛を歌い、女は甘い高音のメロディーで愛に応える。
デュエットの曲なのか。
ああ~、あの時の声だと思った。
ベッドで耐えきれずに漏らすあの声だ。
女の子のような、か細くて高い声でずっと啼く。
独り占めしたかったあの声だった。
もう鳥肌が立って、両手で自分を抱きしめた。
なんて美しい声で歌うんだ。
とても男性の声だとは思えないような高い音域で歌っている。
これは誰にでもできるものではないだろう。
二人だけで切々と歌い上げる。
伴奏はピアノだけだ。
スポットライトに照らされて、二人は歌で愛の物語を心の奥まで届けてくれた。
終わると、しばらくシーンとしていたが、その後は拍手と歓声が鳴りやまなかった。
ピューピューと口笛が聞こえたり、ワーッという歓声や拍手がなかなか収まらなくて、観客の感動が伝わってきた。
収まってからMCが出てきた。インタビューをするようだ。
MC「素敵でしたねえ~。すごくきれいな歌声でしたが、歌はやってらしたのですか?」
夏「いえ、今回が初めてです」
MC「ではカラオケとかで歌われるのですか?」
夏「いえ、ほとんど行ったことはないです。普段は歌うってことはないんです」
MC「あらまあ、どうしましょう。KAIさん、いかがでしたか?」
KAI「もうミラクルでした。信じられなかったです。合宿前は声を出す訓練からしたんですよね?」
夏「はい、そうです」
MC「皆さん、さぞ驚かれたでしょうねえ?」
KAI「スタッフがみんな喜んでいました。多分、味をしめたと思います」
また会場がワーッと沸いて拍手が送られた。
MC「では次は何を見せていただけますか?」
KAI「今度は皆で踊って歌います」
それからどんどんプログラムが進んでいき、夏も一緒に踊って歌っていた。
残念ながら、それ以降は夏の歌声は聞けなかった。
でも十分だ。ああ~もうどうしよう。
泣きたくなった。
二度と病院へは戻ってこないかもしれない。
これは覚悟しないといけないと思った。
俺から離れていくのか?
いきなり夏が遠い人のように思えた。
横からツンツンとひじでつついて、莉子がハンカチを差し出した。
え?と横を見ると、涙を拭けという。
そうか、俺は知らない間に泣いていたようだ。
感動したんだよね。なんだか胸がいっぱいになってしまった。
周りを見ると、お母さんも泣いていたようだし、スタッフもちらほらとハンカチで目元を拭いていた。
夏が素晴らしい成果を見せてくれたのに、俺の心は深く沈んでしまった。
アンコールも済み、コンサートが終わると、皆席を立ち始めた。
夏のお父さんとお母さんに、「ちょっとスタッフに声をかけて体調を見てきますので、お先に失礼します」と断りを
入れて、「本日はありがとうございました」とお礼も伝えた。
莉子たちにも先に帰ってくれるように伝えた。
裏から入り、スタッフに断りを入れて夏を探した。
皆まだ舞台裏の床に座って酸素を吸っていた。
「みんな大丈夫か?」と聞くと、みんなうんうんと頷いてくれた。
夏も酸素を吸っていたが、俺を見ると涙をこぼした。
両手を差し出したら胸に飛び込んできた。
俺もいとおしくて泣けてきた。
嗚咽が止まらない夏……。まだ身体が震えていた。
よほど緊張したのだろう。ぎゅっと抱きしめた。
KAI君が笑って夏の背中をさすってくれた。
「お兄さん、夏は最高だったでしょう?」
うんうん、と頷くことしかできなかった。
涙があふれて言葉にならなかった。
RINさんとマネージャー、監督のショーさんまでそばに来た。
RIN「どうですか?感動的だったでしょう?夏君は最高に才能にあふれていますよ。磨けばもっともっと光ります」
後藤マネージャー「この際、メンバーになったらどうですか?黒田社長も本当に良かったと驚いていました」
ショーさん「夏君はもっともっと他にも才能があると思いますよ。それくらいポテンシャルが高いから勿体ないです。どうですか?この際、この世界に入られても遅くはないですよ」
事務所の黒田社長もそこにいらしたようだ。見てたのかな? 恥ずかしいな。
黒田社長「北原さん、どうですか?この際、夏君をうちの事務所にいただけませんか?本当に素晴らしい才能です。このままでは勿体ないです。
どうか私に夏君を預からせてください。最後までうちの事務所で守ります。
これは真剣に考えていただきたいんです。お願いします」
胸にしがみついていた夏の身体を少し離して、まだ涙があふれている顔を覗き込んだ。
「夏、皆さんがそうおっしゃってるよ。どうする?夏がやりたいようにやればいいよ」
夏「俺は……まだ分からない。今回は楽しかったけど寂しかった。もうちょっと考える時間が欲しいです」
ふふふと周りの人は笑った。しょうがないねという感じだった。
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