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第12章 夏デビューへ
231話 感動のラストステージと事務所社長との交渉
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いよいよ最後のステージが始まった。
夏はやはり緊張していたが、俺が舞台袖にいるので安心したようだ。
笑顔が素直に出ている。MCとのやり取りがあって、夏がみんなに紹介された。
昨日と同じように大歓声と拍手で迎えられて、反響の大きさを改めて知った。
やはり、夏の芸能生活はもう始まっているんだな。
そして昨日、鳥肌が立ってしまったあの夏の歌の部分を、ずっと舞台袖から見つめていた。
やはり、聞き惚れるような美しい声だ。
女性が歌っていると言われても分からないだろう。
KAI君のリードで、夏がのびのびと歌っていた。
昨日とは大違いだ。たった一日でこうも変わるのか。
度胸があるのか、集中力がすごいのか、表現力が優れているのか。
どれかは分からないが、ポテンシャルが高いと言われる理由が分かる。
案外、演技もいけるかもしれない。
あの監督のショーさんは、そういう意味で言ったんだと思う。
終わった後の拍手と歓声も、本当にすごかった。
観客からも大きな声援が飛んでいた。
隣で振付師のRINさんがガッツポーズをしていたよ。
これはやっぱり、事務所としては欲しい人材なんだね。
演奏会が終わって舞台袖に戻ってきた時、みんなで手を取り合って抱き合い、お互いを称え合った。
いつもこういう習慣なの?(笑)
夏は真っ先に俺に抱きついてきた。
今度は笑顔だったから良かった。
そしてその場で皆は解散になった。
皆さんにお礼を伝えて、お先に失礼した。
夏に黒田社長が話し合いのために時間を作ってくれたことと、今後について話し合うことを伝えた。
夏の着替えを待って、指定されたカフェに向かった。
しばらくすると、黒田社長や事務所の秘書、後藤マネージャーが来てくれた。
今回の御礼を夏と二人で伝えて、さっそく本題に入った。
黒田社長「どうですか?今回は楽しかったでしょう?事務所入りは考えていただけましたか?」
う~ん、なんか違うな。
「まず、夏輝のことについて、どの程度ご存じでしょうか?」
「音楽事務所としては、本人の才能とルックス、やる気、それがすべてです。その後は、本人にとってやりにくいトラブルや環境があればフォローします。あとはHPを拝見したので、病院の理事であることと、インスタはよく見ています」
「それはありがとうございます。夏輝の仕事についてはご存じですか?」
「医師であること以外は知りません。もっとあるのですか?」
「夏輝は医師以外に、自分の会社を持っていて、妻の莉子の個人会社と、娘の桃香のエージェントもすべて引き受けています。
今は海外でもたくさん契約をしていて、莉子の絵画やリトグラフ、キャラクター商品などは多くの国で販売されています。
ネット通販もやっていますが、それは浅田工業の海外支店が販売管理に携わっています。
他に、莉子や桃香が描いたキャラクターやストーリーでゲームを作って、それをプロデュースしていて、海外で先に販売し、最後に日本に逆輸入しています。
ですので、これまで積み上げた仕事を捨てることはできません」
ぼーっとして聞いているようだった。信じられなかったのかな?
「それで、今から芸能活動をするなら、今までの仕事と並行してできる範囲でやることになります。
今回のように一か月の合宿は、本人にとっては寂しかったようで、今後は無理かと思います。
もしグループとしての参加なら単発のものとなり、非常に限られた範囲になると思います」
社長「ええ……と、それでどうしたいのですか?」
「長い目で見ますと、ダンスは体力を使うので、一度身体を壊している夏輝がずっと続けるのは、私が医者として見ても無理です。先が知れています。
でも、今回いただけたチャンスで“歌”というものに出会って、並行してやれるなら、ボーカルレッスンも続けて、動画配信のような形か、一週間程度の撮影をするミュージックビデオでしたらできるかと思っています。
それ以外の、テレビ出演、遠征ツアー、雑誌などの活動までは無理かもしれません。
今でさえ多忙なので、どこまでできるかは一つずつの案件によって検討させていただけませんか?
つまり、エージェント契約ですね。
あまり露出をしない戦略というとおこがましいのですが、逆にそれを“売り”にすることはできないでしょうか?」
社長はしばらく考えていた。当然だ。
こんなこと言う入所希望者はいないよ。
夏はやはり緊張していたが、俺が舞台袖にいるので安心したようだ。
笑顔が素直に出ている。MCとのやり取りがあって、夏がみんなに紹介された。
昨日と同じように大歓声と拍手で迎えられて、反響の大きさを改めて知った。
やはり、夏の芸能生活はもう始まっているんだな。
そして昨日、鳥肌が立ってしまったあの夏の歌の部分を、ずっと舞台袖から見つめていた。
やはり、聞き惚れるような美しい声だ。
女性が歌っていると言われても分からないだろう。
KAI君のリードで、夏がのびのびと歌っていた。
昨日とは大違いだ。たった一日でこうも変わるのか。
度胸があるのか、集中力がすごいのか、表現力が優れているのか。
どれかは分からないが、ポテンシャルが高いと言われる理由が分かる。
案外、演技もいけるかもしれない。
あの監督のショーさんは、そういう意味で言ったんだと思う。
終わった後の拍手と歓声も、本当にすごかった。
観客からも大きな声援が飛んでいた。
隣で振付師のRINさんがガッツポーズをしていたよ。
これはやっぱり、事務所としては欲しい人材なんだね。
演奏会が終わって舞台袖に戻ってきた時、みんなで手を取り合って抱き合い、お互いを称え合った。
いつもこういう習慣なの?(笑)
夏は真っ先に俺に抱きついてきた。
今度は笑顔だったから良かった。
そしてその場で皆は解散になった。
皆さんにお礼を伝えて、お先に失礼した。
夏に黒田社長が話し合いのために時間を作ってくれたことと、今後について話し合うことを伝えた。
夏の着替えを待って、指定されたカフェに向かった。
しばらくすると、黒田社長や事務所の秘書、後藤マネージャーが来てくれた。
今回の御礼を夏と二人で伝えて、さっそく本題に入った。
黒田社長「どうですか?今回は楽しかったでしょう?事務所入りは考えていただけましたか?」
う~ん、なんか違うな。
「まず、夏輝のことについて、どの程度ご存じでしょうか?」
「音楽事務所としては、本人の才能とルックス、やる気、それがすべてです。その後は、本人にとってやりにくいトラブルや環境があればフォローします。あとはHPを拝見したので、病院の理事であることと、インスタはよく見ています」
「それはありがとうございます。夏輝の仕事についてはご存じですか?」
「医師であること以外は知りません。もっとあるのですか?」
「夏輝は医師以外に、自分の会社を持っていて、妻の莉子の個人会社と、娘の桃香のエージェントもすべて引き受けています。
今は海外でもたくさん契約をしていて、莉子の絵画やリトグラフ、キャラクター商品などは多くの国で販売されています。
ネット通販もやっていますが、それは浅田工業の海外支店が販売管理に携わっています。
他に、莉子や桃香が描いたキャラクターやストーリーでゲームを作って、それをプロデュースしていて、海外で先に販売し、最後に日本に逆輸入しています。
ですので、これまで積み上げた仕事を捨てることはできません」
ぼーっとして聞いているようだった。信じられなかったのかな?
「それで、今から芸能活動をするなら、今までの仕事と並行してできる範囲でやることになります。
今回のように一か月の合宿は、本人にとっては寂しかったようで、今後は無理かと思います。
もしグループとしての参加なら単発のものとなり、非常に限られた範囲になると思います」
社長「ええ……と、それでどうしたいのですか?」
「長い目で見ますと、ダンスは体力を使うので、一度身体を壊している夏輝がずっと続けるのは、私が医者として見ても無理です。先が知れています。
でも、今回いただけたチャンスで“歌”というものに出会って、並行してやれるなら、ボーカルレッスンも続けて、動画配信のような形か、一週間程度の撮影をするミュージックビデオでしたらできるかと思っています。
それ以外の、テレビ出演、遠征ツアー、雑誌などの活動までは無理かもしれません。
今でさえ多忙なので、どこまでできるかは一つずつの案件によって検討させていただけませんか?
つまり、エージェント契約ですね。
あまり露出をしない戦略というとおこがましいのですが、逆にそれを“売り”にすることはできないでしょうか?」
社長はしばらく考えていた。当然だ。
こんなこと言う入所希望者はいないよ。
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