診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第13章 菜の花の新しい風

253話 2号館の引き渡しセレモニー

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 明日の2026年12月1日は、いよいよ2号館が完成し、引き渡しのセレモニーが行われる日だ。

さて、2号館に引っ越してくる医師や技師は、ひとまず全員が館内を見学し、自分の担当場所を確認しに来る予定だ。

もちろん、2号館のスタッフは全員見に来ると思う。

本館やサテライトは通常営業のため、閉院後は21時まで2号館を開放する。

また、地方から出てきた人のために、レジデンスや本館の静養室、サテライトの浴室やリビング、6階の休憩室も解放した。



翌朝になった。今日の10時が引き渡しの時間だ。
セレモニーの準備はすべて整っている。

音楽が流れる中、社長夫妻、建設会社や施工会社の関係者、関連企業の皆さん——
そして大勢の2号館スタッフが集まった。岩城や川瀬の姿もあった。

すべて揃った中で、社長の挨拶があり、テープカットが始まった。

社長が俺にも一緒にカットするように呼んでくれた。
社長と夏と俺が並ぶ。

三枝さんがずっと録画しているのが目の端に見えた。

なんだか、これは皆に見られるのは照れくさい。
それでも、カットされたリボンが光を受けてきらめきながら舞い落ちると、皆が温かい拍手で祝福してくれた。

カットして戻ると莉子が笑顔で俺に拍手をしてくれた。
「春ちゃん、おめでとう」
「ありがとう」莉子の手をそっと握った。

回りのアニメプラスや夏の音楽事務所のスタッフも嬉しそうだ。

それにしても、この二つの事務所のスタッフは皆、一段と垢抜けてるな。
パッと見ても、ヘアスタイルといい、服装といい、周囲との差がすごくないか?
お金をかけただけのことはあるよ。

実は、ここで初めて会う人がいた。
アニメプラスで熱心に誘われていた人物、__藤堂流星さんだ。
桐生さんが紹介してくれた。

2号館には、アニメプラスや夏の音楽事務所が10階にできているから、それを見に来たそうだ。

身長は175㎝くらいかな。穏やかそうな眼差しで、ちょっと照れ臭そうに笑うと良い感じだ。
ちょっといたずら好きな、そんな親しみやすさも感じた。

それでもみんなの中にいると、隠れてしまいそうな感じだけど、この人が“やり手”なのか?
う~ん、なんだかそういうイメージじゃないな。

でも、桐生さんがすごくうれしそうにしていたから、「来てくれて良かったね!」と伝えた。

さて、社長が工事関係者を伴って全館をチェックした。
そして、引き渡しは無事に終了した。

「北原君、今まで大変だったね。お疲れ様、でもこれからだからあとは頼みます」

社長にそう言われると、用事でもあったのか、
さーっとお母さんと一緒に帰って行った。早っ!

今日は午後から、アニメプラスと音楽事務所の机や家具、什器の搬入が始まる。

大事な機器類があるので、真っ先に運んでおこうという作戦だ。

両方の業務は引っ越しの為3日間休業。

俺と夏はスーツから作業着に着替えて手伝う。

医療の大型検査機器の搬入は、明日からだ。

それと同時に、9階の医師寮からも明日から引っ越しが始まる。
引っ越しはすべてスケジュールに沿って行われる。

この日を迎えるのに1年以上かかったけど、なんだかワクワクしてきた。

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