診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第15章 進むべき道へ

294話 宮本外科専門医・帰還

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 岩城から連絡があった。
宮本君が専攻医にパスしたらしい。

うれしすぎるね。この3年間、ずっと待ってたよ。

自分のミスからメスが持てなくなり、田舎に帰ったものの、岩城に引っ張り出されて菜の花に来た。
専攻医をやめたものの、数年を経て再度のチャレンジになった。

今回は見事に初志貫徹で帰ってくるんだ。最高にうれしいよ。
大学病院の外科という戦場で闘ってきたんだ。

盛大にお祝いをしないとダメだよね。

パスしたら、今の研修先の救命センターから菜の花病院の2号館へ行きたいらしいとは聞いていた。

奥さんは2号館の看護副部長だしね。
夫唱婦随で頑張った、努力家の二人だ。

お祝いをしないといけない。

そうだ、帰ってくる日のお昼には、お弁当をお赤飯にしてもらおう。

三輪さんに伝えたところ、「大丈夫です。できますよ」と言ってくれた。

戻るのは4月1日付けなんだけど、本館が休みだから、1日有休を取ってもらって、2日の金曜日からにしてもらった。

宮本副部長にも有休を取るように伝えた。ご褒美休暇だよ。

もちろん、菜の花タイムズと掲示板で流した。
垂れ幕でも用意するか? 恥ずかしがるかな?

でも、2号館の入り口に大きく書いた紙を貼っておこう。

<宮本外科専門医、合格おめでとう!>

それは山科看護部長にお願いした。

「お任せください」と言ってくれた。

そうだ、菜の花からお祝い金を出そう。
桐生君にお願いした。5万円でいいかな?

それと契約を直さないといけない。
今度は外科専門医として給料を支払うことになる。

桐生君と相談して、年収1700万にした。
今はアネックスの夫婦寮に入ってるし、いいんじゃないかと思う。

奥さんと二人で、遊びに行ってほしいよ。

さて、4月になったから、夏の方もかなり順調に進んでいる。

歌も13曲になった。あとは歌い込むだけ。
莉子の作詞した曲が5曲入っている。作曲はピアニストのまあちゃんだ。

6月6日は莉子の作詞家としてのデビューになるんだよ。
莉子の才能が誇らしいよ。

夏の曲は残念ながら作り直しになった。
レオさん曰く、どんなに頑張ってもコード進行に無理があるのだそうだ。

プっ、レオさんにして無理なのか。面白い。
でも、夏は最初の一曲でめげる必要なんかないよ。
どんどん作ればいいよ。

それと、ダンスしながら歌うのもあるから、これからはみずきさんの指導次第だね。

コンサートまで、あと2か月。
ダンススタジオに酸素ボンベを夏の分も入れて11人分設置しておいた。

写真集はすでに出来上がり、スタジオの5階に収まっている。
取りあえず2500冊作ったそうだ。

写真集はめちゃめちゃカッコいい。
表紙に夏の得意な毛筆で書いたサインが大きく出てるんだよ。

墨と金色を少し使っている。
なんてアートっぽくてモダンなんだろう。

最後の方は、夏の白衣姿。俺と一緒に並んでいる写真。
結構、俺の写真が出てるんだよね。

困るけど、夏と一緒にいることが多いからかな?

他に、スタッフたちと並んで撮った写真が、パッチワークのように貼ってあった。

顔が本当に豆粒のように小さいから、誰の顔なんて分かりにくいけど、
それでも一緒に写った人には記念になったと思う。

グッズも、どんどん納品されている。

それから、コンサートのパンフレット。こちらは2200枚印刷された。
そしてパンフレットの表紙も同じように筆文字のサインだ。

両方とも山本君の会社に頼んだから、大喜びだった。


この5階の倉庫や、下のスタジオの管理を任されているのは——

持田香菜さん、25歳。ニックネームは「かなピン」
もうみんなに、かなピンと呼ばれてる。

3階のエレ前にドリンクバーを置いたから、その管理もお願いした。


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