診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第15章 進むべき道へ

295話 お祝いの歌・夏輝

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 4月2日、宮本君が本館の朝礼に出てくれた。
というか、俺が呼んだんだけどさ。

今日は、2号館の外科チームにも川瀬にも来てもらった。

<朝礼にて>

「おはようございます。今日は本当に、最高にうれしい日です。
外科医の宮本君が、専門医になって帰ってきてくれました。
宮本君、おめでとう!!」

皆はワーッと拍手をくれた。

手で彼に、台に乗ってと合図をした。

「おはようございます、菜の花の皆さん。
お待たせしました。ようやく専門医になって、帰ることができました。
院長先生や岩城先生、理事や他の皆さん——本当にありがとうございました。
心から感謝申し上げます」

そう言うと、もう声が震えて、今にも泣き出しそうだった。

「はい、では——理事から宮本君へ、お祝いに1曲歌いたいそうです。
いいでしょうか?」

わーっと、すごい歓声と拍手が返ってきた。

後ろには、夏がキーボードを持ってきている。
ピアニストのまあちゃんにも協力してもらっている。

前奏が鳴る。夏にしては珍しい歌だ。
マイクを握って、歌い始めた。

♬ 固いきずなに 思いを寄せて ♬
乾杯……今君の人生は……

泣かせるつもりはなかったけど、宮本君も奥さんも、ボロボロ泣いてしまった。

俺だってさ、後ろを向いてるもん。
今日は莉子も来ていて、何回もハンカチで目を拭っていた。
もう朝から、スタッフが涙腺崩壊だよ。

終わった後は、話しにくい。思わず、大きなため息を漏らした。

「では、今日の朝礼を終わります。
皆さん、気を取り直して仕事をしてください。解散」

少し、みんなの笑い声が聞こえた。

みんなが夏の前を通って、「ありがとう。良かったよ」と声をかけながら戻っていった。

宮本君と夏が、抱き合っていた。
菜の花の唯一の友達だもんね。

奥さんも、「本当にありがとうございます」と伝えるのが精いっぱいのようだった。

歌って、どうしてこんなに人を感動させるんだろうねえ。

医者は身体を治すけど、歌は心を癒して元気にするよ。

今日の歌は録画してあるので、休憩室で見られるようにする。

2号館や救命センターでも、聞いてくれたかなあ?

もちろん、HPでも流すし、インスタにもUPする。
菜の花タイムズにも出す。

だから、事務所の広報担当・神崎さんにも出てもらった。

あ~……なんだか、一区切りができたような気がする。


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