診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第16章 光 ― スポットライトの向こうへ

313話 NATSU写真集発売コンサート・御礼祭り

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  オープニングは、2号館正面玄関の外で──

ダンサー10人による歓迎のダンスから始まった。

MCはみずきさん。音楽はスピーカーで流す。
──まあ、そんなに大きな音は出せないけどね。

救急車が来たら、本館の玄関の外で踊るそうだ。
──涙ぐましい臨機応変さだ。

だから消防署には、
「この日はイベントがあるので、なるべく11時までは除外していただけませんか」とお願いしておいた。
実際どうなるかは分からないけど……まあ、患者が重なれば来るのはしょうがない。

プログラムやスケジュールは「任せてください」と言ってくれた芸能組。
その内容は、事務所スタッフを圧倒するほどの完成度だった。
──下手にこちらが作って押し付けなくて正解だった。
舞台を手掛けるみずきさんやレオさんがいるんだから、
俺たちが考えようというのは、そもそも間違いだったんだ。

まず、会場構成。
• 4階の音楽スタジオでは、ピアノとバンドメンバーによる歌と演奏
• 3階のダンススタジオでは、時間をずらして音楽に合わせたダンス披露
• その合間には「ファンと一緒に踊ろう!」というプログラムもあり、みずきさんがレクチャー
• 伴奏には、夏のキーボードを貸し出したそうだ

うちの監視カメラは、ほぼ全域を網羅している。
地下の駐車場、正面玄関、駅の方を向いたカメラ、本館1階の3方向──
外の音も、窓を少し開けていれば聞こえる。
俺たちは、テレビ・パソコン・タブレットを並べて、
監視カメラの映像を見ながら、ずっと“現場”を見守っていた。

お客さんがどれくらい来てくれるか、正直すごく心配だった。
でも、ネットでのアンケートでは700人以上が「YES」。

朝のオープニングダンスには、
アプローチも道路もファンで埋まり、駅前の交番から交通整理の応援も来てくれた。
──事前に内容を知らせておいたのが功を奏した。

700人以上がこの駅で降りて、病院に向かえば──
そりゃあ、人が溢れるのは当然だ。
俺たちはカメラの映像を見ながら、「うわ~」とか言ってた(笑)

オープニングダンスが終わって20分後、
本館1階では弦楽合奏が始まった。

曲はビバルディの《四季》春・夏・秋・冬の4楽章すべて。
そのほか、軽めのポピュラー曲。
合間の休憩タイムにはキーボードだけのBGMも。

この間に、夏のグッズ販売も大盛況。
──なんせ、1000円以上買わないと特典がもらえないからね。

本館入口では、メグちゃん考案のピンクの封筒入り「夏の御礼メッセージ」を配布。
ファンたちは「ええ~?」と驚きながら、嬉しそうに受け取っていた。

これを一声かけながら渡していたのは、病院スタッフ。交代制で対応してくれた。

実はこれは先着1000名とHPで知らせた。
つまりこれが無くなれば1000人が来てくれたことになる。

レジは、自動精算機3台に加え、流行りの簡易型を6台新規導入。
キャッシュレス専用で、処理をスムーズに。

──これは今後も増やす予定。
販売は病院スタッフ12人が担当。

メグちゃんはその背後で、台車からの品出しや質問対応をこなしていた。
──実に能力を発揮する子だ。本当に感心した。

夏の等身大パネルとの記念撮影も大人気。
病院の撮影クラブが撮影を担当。

3種類×2台ずつ用意したけど、それでも行列ができていた。

──全員が3種類すべて撮りたいんだから、そりゃそうだ。

でも、コンサート会場と違って時間に余裕があるから、
お客さんも焦らず、ゆったり楽しんでくれていたのが救いだった。

全体の動線は、山野さんによるロープ張りのおかげでスムーズに。
ネットでやり方を調べてくれたらしい。
──うれしいねえ。打てば響くような人だよ。

俺たちはダイニングテーブルで映像を眺めながら、
食べたり飲んだりしていたから、常に満腹状態だった。

──これもストレスの一種なのかなあ?
やっぱり、「好きで家にこもる」のと、

「一歩も外に出るなと言われる」のとでは、全然違うんだよな。
莉子も同じ気持ちだったと思う。

さて、あとは──フードの方だ。


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