診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第18章 回復と未来を目指して

348話 家が莉子の絵で埋まる

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 建築家にお願いして1週間後には、もう屋上のプレハブ建設が始まった。

工期は約1か月。

その代わり、2階のアトリエにあった莉子の絵や道具がすべて我が家の4階の廊下や寝室、2階のリビングに置かれて溢れた。歩く場所が狭い……。

そしてアトリエの改造が始まった。早いよ~。

同時に、本館5階の宿直室が循環器の研究室になるので、狭いなりに“うんと高級感”を出してもらうようお願いした。

朝礼でも伝えたし、掲示板にも移動計画や新設の診察室一覧を掲示した。
もちろん移動する先生方には事前に許可をもらった。

心配していた循環器の渡辺先生は快くOKしてくれた。本当にありがたい。
ここは3名の医師がいるから、みんなでミーティングが出来るようにキッチンを休憩室にしたんだ。

泌尿器科は2名の先生がいるが、ここもOK。

皮膚科の河野真知子先生は、
「5階の高級感あるところならグレードアップですね?」と喜んでいた。(笑)

健康診断科の朝井陽翔先生は、
「急にグレードアップして、おまけに静かそうだし、休憩室付きなんて良いですねえ~」
と、これまた喜んでくれた。

爪ケアのスタッフ4人は戸惑っていた。
「どういう風になるんだろう?」と不安そうだったが、今よりもっと高級感のある造りにする予定だ。
すべての改造が終わるのは2か月後。

問題は5階の個室にいるヴォクシブ5名。
彼らにちょうどいい寮が見つからず、しょうがないから一時的にレジデンスに入ってもらうことになった。

嫌がるかと思ったが、なんて素直な子たちだろう。
言われたままに動いてくれるんだ。

その代わり、一般の人と顔を合わせないで済むように1フロアで固め、寝室と荷物部屋の2室をそれぞれ使ってもらうことにした。

他の空き部屋はなるべく音楽事務所のスタッフに移動して入ってもらい、このフロアだけは外部の人が歩かないようにした。

さらに、普段メンバーが集まるリビングを作るために、部屋の間の壁を壊して2室を1室に改造。
まあ、それでも狭いけどないよりはずっといい。

まだリハビリが必要なトーマ君もいるし、リュウ君も肋骨の骨折で静養が必要。
ここなら病院から徒歩5分ほどだが、シャトルバスが送ってくれるのでリハビリ通いも楽だ。

他の3人はとても良好で、投薬を続ければいいだけ。
最近は皆の表情がすごく明るくなったことが、何よりうれしい。

ここなら練習用スタジオや2号館の音楽事務所も近くて便利だ。
社長が「良い物件が見つからない」と言うのも分かる。

このレジデンスより条件が良いところを探すのは至難の業だ。

朝食の場所はホテルのダイニングルームが大きいので、ちょっとだけ仕切りを付けた。
一般のお客さんの視線を遮って、ゆっくり食べてもらいたい。


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