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授業初日
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(わ、すごいピアノ…!)
樹が所属するマネジメント科では、作曲家や作詞家、マネージャーやディレクター、そしてプロデューサーなどの、ある意味芸能界では裏方を務める職業を目指す生徒が主な対象になっている。
克樹は背の高さを活かしてアイドル科に進んでいた。
要領のいい克樹のことだ。上手くやるだろう。
今日は授業初日。
早速、選択科目である「楽曲創作」が一時限目から入っていた。
風は違う科目を取ったようで、別々になってしまったのが少し残念だったが、自分が学びたくてこの学校に通うことにしたのだ。
一文字たりとも先生の言葉を聞き漏らすまいと決意する。
目の前には大きなグランドピアノ。
一度くらいは弾いてみたいと好奇心が疼く。
樹は席から身を乗り出して、グランドピアノを見つめていた。
「お前か?高山樹ってやつは?」
そんな時、ふと不穏な空気を感じて、樹は恐る恐る上を見上げた。
(本物の肉食狼キタ!!!)
金色の短髪にピアス。この学校の校則は緩いようで、時々こんな生徒を見かける。
「えっと…?そうですけど、貴方は?」
樹が尋ね返すと、彼は樹の隣の椅子に勢い良く腰掛けた。
「俺は櫻木健悟。
アイドル科の二年だ。
お前らひよこの面倒見ろってさ。
お前、それなりに曲書けるんだろうな?」
そう言われてしまうと、自信はない。
樹が黙り込むと健悟は舌打ちした。
顔が整っている分、より怖く感じてしまう。
樹は負けないように声を張り上げた。
「あの、俺。精一杯やります!」
「へえ、じゃあ俺に一曲書いてくれるよな?」
「え…先輩に…ですか?」
「他に誰がいるんだよ。
お前と俺は今日からパートナーなんだよ!
単位にならなかったらぶっとばすからな」
怖い…と樹は反射的に思った。
(大丈夫。ちゃんと考えて先輩にぴったりな曲を書こう)
「分かりました。頑張ります」
ガラリと教室のドアが開く。
やってきたのは牡丹だった。教壇に上がって手を叩く。
「はーい、みんな!
パートナー分からない人いる?
この授業は二年生と一年生の合同で進めるからね!この授業で作られた楽曲がリリースされることもあるの。
みんな、頑張りましょうね」
(リリースなんてすごい。それが出来たらいいなあ)
樹は隣に座っている健悟を盗み見た。
(もう少し優しそうな人だったらよかったんだけど)
「なんだよ?」
きっと睨まれてしまうと、樹は萎縮することしかできない。牡丹は続ける。
「これから楽曲のテーマを決めて、二人で曲を作ってね!
期限は1ヶ月後!
そこで試験をするわ」
いきなりの難題に、樹は困ってしまった。
作曲も少しはして来たが、自分のレベルで試験に合格できるかはわからない。
だが、やるしかないのだ。
「あの、櫻木先輩。
どういうジャンルで行きましょうか?」
「俺はロックが好きだ。
でもお前の曲次第だな」
(櫻木先輩のための曲かぁ)
樹は考えた。人に曲を作るのはこれが初めてだ。
プロデューサーになるにはマルチな能力を持っていなければならない。
作曲や作詞もそのうちの一つだ。
「あの、櫻木先輩の歌が聞いてみたいです」
「ならレコーディングスタジオに行こう。
歌ってやる」
「わぁ!ありがとうございます!」
二人はレコーディングスタジオに向かった。
こんな設備は普通の高校なら絶対にない。
健悟がブース内に入ってヘッドフォンを着ける。
「いいか。よく聞いとけ」
「はい!」
健悟が歌い始める。
その迫力に樹は驚いた。
(この人、リアルで狼じゃないか)
いや、と樹は頭を振る。
健悟とこの荒々しい曲がぴったりなのは間違いない。だが、そんな健悟が優しい緩やかな曲を歌う所が見てみたい。
樹の中でメロデイが湧いてきたので、慌てて書き出した。
「樹、もうすぐ授業が終わる。
曲が出来たら俺に見せに来い」
「はい!」
樹は教材を持って自分のクラスにもどった。
(頑張るぞ!)
健悟の歌を思い出す。樹の胸は高鳴っていた。
樹が所属するマネジメント科では、作曲家や作詞家、マネージャーやディレクター、そしてプロデューサーなどの、ある意味芸能界では裏方を務める職業を目指す生徒が主な対象になっている。
克樹は背の高さを活かしてアイドル科に進んでいた。
要領のいい克樹のことだ。上手くやるだろう。
今日は授業初日。
早速、選択科目である「楽曲創作」が一時限目から入っていた。
風は違う科目を取ったようで、別々になってしまったのが少し残念だったが、自分が学びたくてこの学校に通うことにしたのだ。
一文字たりとも先生の言葉を聞き漏らすまいと決意する。
目の前には大きなグランドピアノ。
一度くらいは弾いてみたいと好奇心が疼く。
樹は席から身を乗り出して、グランドピアノを見つめていた。
「お前か?高山樹ってやつは?」
そんな時、ふと不穏な空気を感じて、樹は恐る恐る上を見上げた。
(本物の肉食狼キタ!!!)
金色の短髪にピアス。この学校の校則は緩いようで、時々こんな生徒を見かける。
「えっと…?そうですけど、貴方は?」
樹が尋ね返すと、彼は樹の隣の椅子に勢い良く腰掛けた。
「俺は櫻木健悟。
アイドル科の二年だ。
お前らひよこの面倒見ろってさ。
お前、それなりに曲書けるんだろうな?」
そう言われてしまうと、自信はない。
樹が黙り込むと健悟は舌打ちした。
顔が整っている分、より怖く感じてしまう。
樹は負けないように声を張り上げた。
「あの、俺。精一杯やります!」
「へえ、じゃあ俺に一曲書いてくれるよな?」
「え…先輩に…ですか?」
「他に誰がいるんだよ。
お前と俺は今日からパートナーなんだよ!
単位にならなかったらぶっとばすからな」
怖い…と樹は反射的に思った。
(大丈夫。ちゃんと考えて先輩にぴったりな曲を書こう)
「分かりました。頑張ります」
ガラリと教室のドアが開く。
やってきたのは牡丹だった。教壇に上がって手を叩く。
「はーい、みんな!
パートナー分からない人いる?
この授業は二年生と一年生の合同で進めるからね!この授業で作られた楽曲がリリースされることもあるの。
みんな、頑張りましょうね」
(リリースなんてすごい。それが出来たらいいなあ)
樹は隣に座っている健悟を盗み見た。
(もう少し優しそうな人だったらよかったんだけど)
「なんだよ?」
きっと睨まれてしまうと、樹は萎縮することしかできない。牡丹は続ける。
「これから楽曲のテーマを決めて、二人で曲を作ってね!
期限は1ヶ月後!
そこで試験をするわ」
いきなりの難題に、樹は困ってしまった。
作曲も少しはして来たが、自分のレベルで試験に合格できるかはわからない。
だが、やるしかないのだ。
「あの、櫻木先輩。
どういうジャンルで行きましょうか?」
「俺はロックが好きだ。
でもお前の曲次第だな」
(櫻木先輩のための曲かぁ)
樹は考えた。人に曲を作るのはこれが初めてだ。
プロデューサーになるにはマルチな能力を持っていなければならない。
作曲や作詞もそのうちの一つだ。
「あの、櫻木先輩の歌が聞いてみたいです」
「ならレコーディングスタジオに行こう。
歌ってやる」
「わぁ!ありがとうございます!」
二人はレコーディングスタジオに向かった。
こんな設備は普通の高校なら絶対にない。
健悟がブース内に入ってヘッドフォンを着ける。
「いいか。よく聞いとけ」
「はい!」
健悟が歌い始める。
その迫力に樹は驚いた。
(この人、リアルで狼じゃないか)
いや、と樹は頭を振る。
健悟とこの荒々しい曲がぴったりなのは間違いない。だが、そんな健悟が優しい緩やかな曲を歌う所が見てみたい。
樹の中でメロデイが湧いてきたので、慌てて書き出した。
「樹、もうすぐ授業が終わる。
曲が出来たら俺に見せに来い」
「はい!」
樹は教材を持って自分のクラスにもどった。
(頑張るぞ!)
健悟の歌を思い出す。樹の胸は高鳴っていた。
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