32 / 52
衣装
しおりを挟む
次の日の午前中も皆で課題を進めた。
克樹は健悟に今日も宿題を教えてもらっている。どうやら英語の課題をやっているようだ。
夢プロに入って感じたことだが、英語はこれから芸能界で活動するにあたり、とても大事なものだということが分かった。
そのためか、夢プロは英語を含む外国語の授業
が豊富にある。
夏休み明けからは更に選択科目が増える。
今より忙しくなるのは必至だ。
「いっくうーん、もう疲れたぁー!」
途中の休憩で克樹が飛び付いてくる。
樹はこうして飛び付かれるのは慣れている。
他の人には危ないから絶対にやらないように、とちゃんと注意もしている。克樹もそれは承知しているようだ。
大きなワンコを真正面から受け止める勇気はなかなか備わらない。
「もう、危ないでしょ?」
「いっくーん、寂しかったよおー」
ぎゅむ、と抱き締められて頬擦りされる。
もし尻尾があればパタパタと揺れていたに違いない。樹は想像して笑ってしまった。
「もー、俺ならずっと同じ部屋にいたじゃん」
「やだー、いっくんが隣がいいんだもん」
樹はハッと気が付いた。ここには「seasons」の皆がいるのだ。
「知ってたけど2人ってラブラブだよね」
「知ってたな」
真城と楓が真剣な表情で言う。
「オイ、克樹。俺の隣がそんなに嫌か?」
「いっくんにも俺と一緒に勉強を教えてください!」
克樹が真面目な顔で敬礼しながら言う。
今度は健悟が困ってしまっている。
克樹は小さな頃から人を振り回す才能がある。
「な…いいけどよ」
「僕も櫻木先輩に勉強教えてもらいたいです!」
「俺もだ」
風や疾風までこう言い出して、健悟の怒りは消えたらしい。
「いいよ、全員見てやる。
やるからには一生懸命やるんだぞ」
健悟の言葉に皆が返事をした。
「あ、そうそう」
ぽむ、と真城が手を打つ。
「健悟、衣装が出来たんだよ。知ってた?」
樹はそのことをすっかり忘れていた。自分はプロデューサーなのだから真っ先にそれを知らせるべきだった。自分はまだまだだ。
「おし、着てみるか」
樹と風は出来たばかりの衣装を各自配った。
イメージカラーの入った衣装はやはり見栄えが違う。
「へえ、よく出来てるな」
健悟が着替えを始める。
樹は目のやり場に困ってしまった。
皆それぞれ程よく筋肉のついた、いい体をしている。アイドルという職業は体型も大事だ。皆その条件はクリアしている。
克樹から聞いたが、アイドル科には厳しい体力育成の授業があるらしい。
「健悟は脱いだら写真集とかいけそう」
「誰が脱ぐか」
真城が健悟をからかっている。
こんな場面にも見慣れてきた。
「seasons」はまだ出来たばかりのチー厶だ。
これからどうなるのか、樹は楽しみだった。
克樹達が着替え終わる。
最後にネクタイを締めたら完了だ。
「どうだ?樹」
健悟に問われて、樹はしっかり彼らを見た。
「か…カッコいい、皆。素敵です」
「衣装なんて初めて着るな」
楓が照れたように言う。真城がすかさず言った。
「楓くんは着物のほうが着慣れてるよね」
「あ、あぁ、まあな」
「どうゆうことスか?」
克樹もなんだかんだ言いながら、先輩達と仲良くなって来ている。
「俺の母さんが茶道の師範なんだ。今度機会があれば茶を点ててやる」
「美味しいお菓子もお願いします!」
「分かった」
「よし、衣装も出来たし、課題はこの一週間で終わらせるぞ。
さっさと撮影をしなきゃな」
まだMVを撮り始めてすらいないのだ。
細かな構成は真城と樹が担当する。
今日、克樹達がダンスレッスンをしている間、真城から編集作業を教えてもらうことになっている。
「よーし、課題やるぞー」
克樹達は再びジャージに着替えて、課題に取り組んだのだった。
克樹は健悟に今日も宿題を教えてもらっている。どうやら英語の課題をやっているようだ。
夢プロに入って感じたことだが、英語はこれから芸能界で活動するにあたり、とても大事なものだということが分かった。
そのためか、夢プロは英語を含む外国語の授業
が豊富にある。
夏休み明けからは更に選択科目が増える。
今より忙しくなるのは必至だ。
「いっくうーん、もう疲れたぁー!」
途中の休憩で克樹が飛び付いてくる。
樹はこうして飛び付かれるのは慣れている。
他の人には危ないから絶対にやらないように、とちゃんと注意もしている。克樹もそれは承知しているようだ。
大きなワンコを真正面から受け止める勇気はなかなか備わらない。
「もう、危ないでしょ?」
「いっくーん、寂しかったよおー」
ぎゅむ、と抱き締められて頬擦りされる。
もし尻尾があればパタパタと揺れていたに違いない。樹は想像して笑ってしまった。
「もー、俺ならずっと同じ部屋にいたじゃん」
「やだー、いっくんが隣がいいんだもん」
樹はハッと気が付いた。ここには「seasons」の皆がいるのだ。
「知ってたけど2人ってラブラブだよね」
「知ってたな」
真城と楓が真剣な表情で言う。
「オイ、克樹。俺の隣がそんなに嫌か?」
「いっくんにも俺と一緒に勉強を教えてください!」
克樹が真面目な顔で敬礼しながら言う。
今度は健悟が困ってしまっている。
克樹は小さな頃から人を振り回す才能がある。
「な…いいけどよ」
「僕も櫻木先輩に勉強教えてもらいたいです!」
「俺もだ」
風や疾風までこう言い出して、健悟の怒りは消えたらしい。
「いいよ、全員見てやる。
やるからには一生懸命やるんだぞ」
健悟の言葉に皆が返事をした。
「あ、そうそう」
ぽむ、と真城が手を打つ。
「健悟、衣装が出来たんだよ。知ってた?」
樹はそのことをすっかり忘れていた。自分はプロデューサーなのだから真っ先にそれを知らせるべきだった。自分はまだまだだ。
「おし、着てみるか」
樹と風は出来たばかりの衣装を各自配った。
イメージカラーの入った衣装はやはり見栄えが違う。
「へえ、よく出来てるな」
健悟が着替えを始める。
樹は目のやり場に困ってしまった。
皆それぞれ程よく筋肉のついた、いい体をしている。アイドルという職業は体型も大事だ。皆その条件はクリアしている。
克樹から聞いたが、アイドル科には厳しい体力育成の授業があるらしい。
「健悟は脱いだら写真集とかいけそう」
「誰が脱ぐか」
真城が健悟をからかっている。
こんな場面にも見慣れてきた。
「seasons」はまだ出来たばかりのチー厶だ。
これからどうなるのか、樹は楽しみだった。
克樹達が着替え終わる。
最後にネクタイを締めたら完了だ。
「どうだ?樹」
健悟に問われて、樹はしっかり彼らを見た。
「か…カッコいい、皆。素敵です」
「衣装なんて初めて着るな」
楓が照れたように言う。真城がすかさず言った。
「楓くんは着物のほうが着慣れてるよね」
「あ、あぁ、まあな」
「どうゆうことスか?」
克樹もなんだかんだ言いながら、先輩達と仲良くなって来ている。
「俺の母さんが茶道の師範なんだ。今度機会があれば茶を点ててやる」
「美味しいお菓子もお願いします!」
「分かった」
「よし、衣装も出来たし、課題はこの一週間で終わらせるぞ。
さっさと撮影をしなきゃな」
まだMVを撮り始めてすらいないのだ。
細かな構成は真城と樹が担当する。
今日、克樹達がダンスレッスンをしている間、真城から編集作業を教えてもらうことになっている。
「よーし、課題やるぞー」
克樹達は再びジャージに着替えて、課題に取り組んだのだった。
31
あなたにおすすめの小説
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる