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1・二人で上京
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新田心海は今年から大学生になる。そのために都内に上京してきた。心海は長野県出身である。周りを見渡せば山が四方に見える長野県から急に都内に出るのはかなりの勇気が要った。
「すごい。山がないし高い建物しかない」
心海は特急あずさの窓から外を眺めてそう呟いた。都内には有名なテーマパークに行くために家族で何度か遊びに来ている。だがこれからはここに住むのだ。まさか自分がと、心海はまだ実感が湧いていない。
「心海、お茶飲むか?」
「りっくん、ありがと」
幼馴染である田村律にお茶のペットボトルを手渡されて、心海はにっこり笑った。実は心海は律が男性として大好きである。だが男である自分が同性の彼に「好きです」と伝えるのは不可能だと思った。何より、今のこの良好な関係が崩れるかもしれないかと思うと勇気が出ない。だが今のままでいいのかと思うと、焦る気持ちも出て来る。せっかく大好きな幼馴染が自分と一緒に上京してくれるのだ。しかも一緒に暮らしてくれると言ってくれている。律は贔屓目に見なくてもイケメンだ。身長も高く筋肉が程よくついた引き締まった体をしている。小柄で地味な自分とは違う。
「心海、お前はサークルとかはいんの?」
「うん、漫研に入る。メールで先輩が誘ってくれたの」
「ああ、あのヲタ女か」
ははと律が笑う。
「もう、りっくんだって先輩にいっぱい勉強見てもらってたくせに」
「それはそれ、だろ」
律がペットボトルのお茶を一口飲んだ。
「りっくんはやっぱりサッカー?」
「ああ、なんだかんだそれで推薦通ったからなあ。どうもコーチが相当厳しいらしい」
「へえ。きっとりっくんならすぐにレギュラーになっちゃうね」
「おいおい。俺より上手い奴なんてごろごろいるんだぞ」
「そうなんだ」
心海もお茶を口に含む。茶葉の渋味が美味い。
「とりあえず練習で遅くなるからお前は気にしないで先に休めよ?」
「分かった」
新宿駅から地下鉄に乗り込んで新居になるアパートにようやくたどり着いた。一人では行き倒れていたかもしれないと心海は内心震えた。それだけ都内の路線図は複雑である。
「わあ、ガスコンロ、IHなんだ。すごーい」
「家具ついてるの有難いよな」
「とりあえずお腹減っちゃった」
「母さんたちが持たせてくれたおにぎり食べようぜ。食べたらスーパーに食材の買い物行って、必要な荷物をほどこう」
「りっくん、なんでそんなに落ち着いてるの?ここ東京だよ?」
心海が驚いて言うと、律が笑った。
「まあお前があたふたするのは分かってたっつーか」
「どうせ俺はあたふたするよ」
ぷうと膨れると悪いと謝られる。心海はにっこり笑って許した。
律のこういう所が大好きだ。心海はカバンの中から保冷剤がくっついた大きなタッパーを二つ取り出した。これにぎっしりおにぎりとおかずが詰められている。
「電子レンジ使ってみていい?」
「ブレーカーが怖いよな。まあやってみよう」
心海が電子レンジでおかずの入ったタッパーを温めている間、律が段ボールを開けて片付けられるものを片付けてくれている。
「あったまった」
「よし、食うか」
二人はいただきますをして食べ始めた。
「すごい。山がないし高い建物しかない」
心海は特急あずさの窓から外を眺めてそう呟いた。都内には有名なテーマパークに行くために家族で何度か遊びに来ている。だがこれからはここに住むのだ。まさか自分がと、心海はまだ実感が湧いていない。
「心海、お茶飲むか?」
「りっくん、ありがと」
幼馴染である田村律にお茶のペットボトルを手渡されて、心海はにっこり笑った。実は心海は律が男性として大好きである。だが男である自分が同性の彼に「好きです」と伝えるのは不可能だと思った。何より、今のこの良好な関係が崩れるかもしれないかと思うと勇気が出ない。だが今のままでいいのかと思うと、焦る気持ちも出て来る。せっかく大好きな幼馴染が自分と一緒に上京してくれるのだ。しかも一緒に暮らしてくれると言ってくれている。律は贔屓目に見なくてもイケメンだ。身長も高く筋肉が程よくついた引き締まった体をしている。小柄で地味な自分とは違う。
「心海、お前はサークルとかはいんの?」
「うん、漫研に入る。メールで先輩が誘ってくれたの」
「ああ、あのヲタ女か」
ははと律が笑う。
「もう、りっくんだって先輩にいっぱい勉強見てもらってたくせに」
「それはそれ、だろ」
律がペットボトルのお茶を一口飲んだ。
「りっくんはやっぱりサッカー?」
「ああ、なんだかんだそれで推薦通ったからなあ。どうもコーチが相当厳しいらしい」
「へえ。きっとりっくんならすぐにレギュラーになっちゃうね」
「おいおい。俺より上手い奴なんてごろごろいるんだぞ」
「そうなんだ」
心海もお茶を口に含む。茶葉の渋味が美味い。
「とりあえず練習で遅くなるからお前は気にしないで先に休めよ?」
「分かった」
新宿駅から地下鉄に乗り込んで新居になるアパートにようやくたどり着いた。一人では行き倒れていたかもしれないと心海は内心震えた。それだけ都内の路線図は複雑である。
「わあ、ガスコンロ、IHなんだ。すごーい」
「家具ついてるの有難いよな」
「とりあえずお腹減っちゃった」
「母さんたちが持たせてくれたおにぎり食べようぜ。食べたらスーパーに食材の買い物行って、必要な荷物をほどこう」
「りっくん、なんでそんなに落ち着いてるの?ここ東京だよ?」
心海が驚いて言うと、律が笑った。
「まあお前があたふたするのは分かってたっつーか」
「どうせ俺はあたふたするよ」
ぷうと膨れると悪いと謝られる。心海はにっこり笑って許した。
律のこういう所が大好きだ。心海はカバンの中から保冷剤がくっついた大きなタッパーを二つ取り出した。これにぎっしりおにぎりとおかずが詰められている。
「電子レンジ使ってみていい?」
「ブレーカーが怖いよな。まあやってみよう」
心海が電子レンジでおかずの入ったタッパーを温めている間、律が段ボールを開けて片付けられるものを片付けてくれている。
「あったまった」
「よし、食うか」
二人はいただきますをして食べ始めた。
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