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2・はじめての二人暮らし
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「お、カレー美味いな。心海は料理できるから助かる」
二人は一番近くにあるスーパーで、カレーの材料やフライパン、包丁、まな板を購入した。お金は高校生の時にバイトで必死に貯めたお金だ。一応毎月食料を送ってくれると親は言ってくれたが、早くても明日以降だろう。心海は母親にメッセージアプリで今の状況を報告した。すぐ既読がついて「頑張りなさい」と言う言葉が返って来た。
「心海は学校、明日からか?」
「うん。りっくんは明後日からだっけ?」
「おう、なら俺が明日、片付けられるものは片付けておくから」
「ありがとう」
「あ、お前いつものえっちな本持って来たろ?」
ぎくうとなってしまった心海である。心海は生粋の腐男子である。律はそれを知ってもこうして一緒にいてくれる。
「まあお前だって健全な人間だしそれくらいは当たり前だよなあ」
律は否定するどころか、こうして受け入れてくれる。なんてよくできた幼馴染なんだろうと心海は心の中で律を拝んだ。
「とりあえず布団を出そう。もう疲れたからな」
「うん」
二人の借りたアパートは2DKだ。それぞれの部屋があるだけでかなりお高い家賃がかかる。
「心海、布団持ってやる。もう寝間着に着替えようぜ」
部屋に入ると机とベッドが置かれている。律はその上に布団を敷いてくれた。ベッドサイドには小さなテーブルとコンセント。かなり便利そうだ。
「良い部屋にして良かったな」
「うん、またバイト探さないと。りっくんは練習頑張ってね」
「俺の親から5万は仕送り来るからそれを家賃に充てような」
律はしっかりしている。こうして大好きな律と毎日一緒にいられるだけで心海は嬉しい。
心海は服の入った段ボールからパジャマを取り出して着替えた。
「じゃ、おやすみ」
律にぽむぽむと頭を撫でられて心海はフリーズしてしまう。
(今の写真に撮りたかった。頭ぽむぽむとか彼氏じゃん!りっくんの思わせぶり!バカ!)
悶々としながら心海も自室に戻る。
とりあえず明日は大学の入学式だ。早起きして準備をしようと決めてベッドに入った。
***
「わあ、寝坊した!」
時計を見るとすでに七時半を回っている。心海は慌てて着替えて部屋を出た。
「お、起きたか。おはよう」
「りっくん、ご飯作ってくれたの?」
「おう、ハムエッグとサラダとトーストだ。早く食べて行け。昼はテキトーに学食で食ってくれ」
「ありがとう!頂きます!」
心海は手を合わせて食べ始めた。トーストがかりかりで美味しい。
「ふう、美味しかった。じゃあ行って来ます」
「気を付けて行けよ」
(りっくん、何でもできるもんなあ。大学に入ったら彼女とか出来るんだろうか。やだなぁ。りっくんのことだから絶対スパダリなんだろうなぁ。彼女さん羨ましい…)
悶々としている間に学校の最寄り駅に到着する。
心海は電車を降りて学校へ急ごうと走った。
「おっと」
駅の構内で、誰かとぶつかりそうになって心海はその人を見上げた。整った顔立ちにぱっちりした青い瞳。まるでその瞳に吸い込まれそうだ。
(王子様爆誕!)
「あ!えーと、ごめんなさい!」
慌てて謝ると、その人は優雅に笑った。その笑顔があまりに綺麗すぎて、心海は縮み上がることしか出来ない。
「大丈夫。僕はなんともないから。これから学校?」
「あ、急がないと」
「もしかして菊花大かな?僕もそこなんだ」
「えぇ、王子様が?」
「王子様?」
口走ってからしまった、と心海は口を塞いだ。
「ご、ごめんなさい」
しゅんとしながら心海が謝ると、彼は笑う。
「僕は五条瑛太。君は?」
「あ、新田心海です」
行こうか、と彼にいつの間にか手を握られていた。そのまま手を優しく引かれる。
(王子様だし、きっとこういうの手慣れてるんだな。まるで漫画みたいな展開!!まあ俺には無縁か…)
二人は学校に向かって走り出した。
二人は一番近くにあるスーパーで、カレーの材料やフライパン、包丁、まな板を購入した。お金は高校生の時にバイトで必死に貯めたお金だ。一応毎月食料を送ってくれると親は言ってくれたが、早くても明日以降だろう。心海は母親にメッセージアプリで今の状況を報告した。すぐ既読がついて「頑張りなさい」と言う言葉が返って来た。
「心海は学校、明日からか?」
「うん。りっくんは明後日からだっけ?」
「おう、なら俺が明日、片付けられるものは片付けておくから」
「ありがとう」
「あ、お前いつものえっちな本持って来たろ?」
ぎくうとなってしまった心海である。心海は生粋の腐男子である。律はそれを知ってもこうして一緒にいてくれる。
「まあお前だって健全な人間だしそれくらいは当たり前だよなあ」
律は否定するどころか、こうして受け入れてくれる。なんてよくできた幼馴染なんだろうと心海は心の中で律を拝んだ。
「とりあえず布団を出そう。もう疲れたからな」
「うん」
二人の借りたアパートは2DKだ。それぞれの部屋があるだけでかなりお高い家賃がかかる。
「心海、布団持ってやる。もう寝間着に着替えようぜ」
部屋に入ると机とベッドが置かれている。律はその上に布団を敷いてくれた。ベッドサイドには小さなテーブルとコンセント。かなり便利そうだ。
「良い部屋にして良かったな」
「うん、またバイト探さないと。りっくんは練習頑張ってね」
「俺の親から5万は仕送り来るからそれを家賃に充てような」
律はしっかりしている。こうして大好きな律と毎日一緒にいられるだけで心海は嬉しい。
心海は服の入った段ボールからパジャマを取り出して着替えた。
「じゃ、おやすみ」
律にぽむぽむと頭を撫でられて心海はフリーズしてしまう。
(今の写真に撮りたかった。頭ぽむぽむとか彼氏じゃん!りっくんの思わせぶり!バカ!)
悶々としながら心海も自室に戻る。
とりあえず明日は大学の入学式だ。早起きして準備をしようと決めてベッドに入った。
***
「わあ、寝坊した!」
時計を見るとすでに七時半を回っている。心海は慌てて着替えて部屋を出た。
「お、起きたか。おはよう」
「りっくん、ご飯作ってくれたの?」
「おう、ハムエッグとサラダとトーストだ。早く食べて行け。昼はテキトーに学食で食ってくれ」
「ありがとう!頂きます!」
心海は手を合わせて食べ始めた。トーストがかりかりで美味しい。
「ふう、美味しかった。じゃあ行って来ます」
「気を付けて行けよ」
(りっくん、何でもできるもんなあ。大学に入ったら彼女とか出来るんだろうか。やだなぁ。りっくんのことだから絶対スパダリなんだろうなぁ。彼女さん羨ましい…)
悶々としている間に学校の最寄り駅に到着する。
心海は電車を降りて学校へ急ごうと走った。
「おっと」
駅の構内で、誰かとぶつかりそうになって心海はその人を見上げた。整った顔立ちにぱっちりした青い瞳。まるでその瞳に吸い込まれそうだ。
(王子様爆誕!)
「あ!えーと、ごめんなさい!」
慌てて謝ると、その人は優雅に笑った。その笑顔があまりに綺麗すぎて、心海は縮み上がることしか出来ない。
「大丈夫。僕はなんともないから。これから学校?」
「あ、急がないと」
「もしかして菊花大かな?僕もそこなんだ」
「えぇ、王子様が?」
「王子様?」
口走ってからしまった、と心海は口を塞いだ。
「ご、ごめんなさい」
しゅんとしながら心海が謝ると、彼は笑う。
「僕は五条瑛太。君は?」
「あ、新田心海です」
行こうか、と彼にいつの間にか手を握られていた。そのまま手を優しく引かれる。
(王子様だし、きっとこういうの手慣れてるんだな。まるで漫画みたいな展開!!まあ俺には無縁か…)
二人は学校に向かって走り出した。
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