陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ

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6・激突

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「ここちゃん、随分デジタルイラストに慣れたね」

「えへへ、そうかな」

心海は講義の間に漫研の部室にいるようになった。ここなら絵を描いていても好奇の目で見られることもない。原稿を作ろうとしたら、まずはネームからと言われて、心海はウンウン言いながら話を考えた。3pは思っていたより大変そうだ。だが、印刷会社に入稿する締切も迫ってきている。心海は描いていたイラストを保存して、リュックからクリアファイルに挟んでおいた原稿用紙を取り出した。もちろん、大事な漫研の備品である。結局ネームは去年のカレンダーを切って作った。そのネームを元に原稿用紙に下書きをしていく。とにかく自分の伝えたいことを伝えなければ作品として成立しない。心海はわかりやすさに重点を置いてセリフや構成を考えた。

(ここ、分かりにくいかなぁ?でもこの流れならこうした方が…)

「ここちゃん」

ぴたり、と冷たい物を頬に当てられて、心海は飛び上がった。

「ごめんね、そんなに驚かすつもりじゃ」

相手は瑛太である。心海はホッとして笑った。

「大丈夫だよ。ちょっとびっくりしちゃっただけ」

「ジュース、飲める?」

瑛太が缶ジュースを手渡してきて、心海はどうしたものかと考えた。

(今度、俺が差し入れすればいいのか)

ようやく一つの解に辿り着き、ジュースを受け取る。

「ありがとう、瑛太くん」

「ちょっと休憩しないと疲れちゃうからね」

手渡されたジュースはぶどう味の炭酸だった。まだ4月だと言うのに夏日が続いている。
このまま夏になれば更に暑くなるのが目に見えるようだ。

「熱中症気を付けなくちゃね」

「そうだね、そういえば、このサークル、夏コミも参加するみたいだよ」

「え…?もう夏の話?」

「うん、先輩たちが話してた」

どうやらこれからますます忙しくなりそうだと心海は不安になったが、絵が描けるのは純粋に嬉しい。とりあえず今日はコマ割りをしようと定規を取り出した。3pのなんちゃって漫画のコマ割りはすぐに終わる。次の段階に入ろうと、心海は下絵を描き始めた。

「やば!次、講義だ!」

ふと時計を見れば、講義の時間が迫ってきている。心海は慌てて片付けて教室に向かった。

✢✢✢

「ふええ…」

「満身創痍だね、ここちゃん」

再び部室に戻るとそう先輩に声を掛けられる。
既に夕方だ。心海は帰ることにした。夕飯の買い物にも行かなければいけない。

「ここちゃん、一緒に帰らない?」

そう声を掛けてきたのは瑛太だ。

「うん、もちろん」

(うわー、BL漫画ならこのまま色々しちゃう展開だ)

不思議なドキドキを感じながら心海は歩いていた。

「心海!」

名前を呼ばれれば律がいる。

「りっくん!なんでここに?」

「こいつが瑛太か」

律がずんずん瑛太に近寄り胸倉を掴む。

「お前、心海が優しいからってべたべたくっついてんじゃねーぞ」

「君だってそうなんじゃないの?」

心海はこの一触即発の空気に震えることしか出来なかった。

「り、りっくん、瑛太くん、お願い、喧嘩しないで」

オロオロしながら二人に頼んだが、二人は睨み合っている。結局律が舌打ちをして、瑛太から離れた。

「心海、行くぞ」

「ま、待ってよ!りっくん!瑛太くんは何も…」

「お前は俺のだ。他のやつにやるわけない」

「え…」

急な告白に頭が付いてこない。

「ご、ごめんね。瑛太くん。また明日ね」

「ここちゃん、僕も君を諦めるつもりはないよ」

「そんな…」

律がどんどん遠ざかるのを見て、心海は慌てて後ろを追いかけた。

(これが修羅場ってやつ?なんでこんなことになっちゃうんだ)

律のことは大好きだが、瑛太にはちゃんと謝ってほしい。だが、それを自分が言うと角が立ちそうで怖くなる。心海は律にようやく追いついていた。

「りっくん、待ってよ!」

振り返った律に抱き締められる。

「俺はお前がずっと好きなんだ。他の奴らなんか見て欲しくない」

「りっくんって意外とヤンデレ要素があったんだねえ」

「は?なんだよ、それ。で、お前はどうなんだよ」

「りっくんが瑛太くんに謝るまで保留します」

「はぁあ?あんな、なんでも持ってますみたいなやつに頭下げるとか!」

「りっくん、世の中舐めたらおしまいだよ」

「分かったよ。でも心海は俺のことどう思ってるんだ?」

「大好きに決まってるでしょ!!親友だもん!」

律の顔が真っ赤になる。それは心海もだ。

「俺、お前があいつに取られるんじゃないかって心配になったんだ」
 
「取られるわけ無いでしょ。だって俺だよ?」

「その自信なんなんだ」

なんだか心の距離が一気に縮まったような気がするが、心海は慌てないぞ、と誓った。やっと親友だと宣言出来たのだから。
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