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11・厄介な人
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「それなら再来週くらいに遊園地に行こうか?」
次の日の朝、心海は律からの返事を瑛太に伝えていた。
「うん、楽しみ!いっぱい遊ぼうね!」
「うん、遊ぼう」
瑛太が笑う。だが、今日はその笑顔に陰りがある気がして、心海は心配になった。
「瑛太くん?何かあった?」
「…うん」
瑛太がため息を吐いている。その表情も絵になってしまうのだからイケメンは得だなぁと心海は他人事ながらに思った。
「色々あってね。ちょっと相手が気まぐれな人だから」
どうやら人間関係の悩みのようだぞと心海も察する。
「そうなんだ。あんまり思い詰めないでね」
「ありがとう、ここちゃん。そういえば、持ち込みの原稿作ってるんだっけ?」
「そうなの。16ページのネームは難しくてね。でも出来たんだ。後で読んでもらえる?」
「うん、もちろん。そろそろ講義が始まるし、行こうか」
「うん!」
講義も終わり昼休みに入っている。心海はすっかり定位置になった漫研の部室にいた。瑛太にネームを読んでもらっているのだ。
「ここちゃんの漫画ってほのぼのしてるよね。キャラクターも可愛いし」
「そうゆうのしか描けないみたい」
「どこに持ち込むの?作品のジャンルで出版社は変えたほうがいいと思うけど」
「やっぱりそういうものなんだ」
「得意不得意あるからねー。また完成したら見せてね」
「うん、ありがとう」
「ここちゃん、いたいたー」
箱を抱えた漫研の先輩が声を掛けてくる。心海は立ち上がった。
「お疲れ様です!」
「漫画描くなら道具いるでしょ?うち、姉貴が同人作家だから古くなった道具を譲ってもらったんだ。まだ使えると思うけど」
「え!いいんですか?」
「いいよいいよ。頑張ってる後輩を応援するのは当たり前でしょ」
「ありがとうございます。助かります」
箱を開けると付けペンやペン先、インクや細い筆が入っていた。一番下にあったのはトレス台である。
「あの、いくらお支払いすれば?」
「あー、いいの、いいの。姉貴も要らなくてくれたんだし」
無料で?と心海は固まってしまう。
「あ、じゃあジュース奢って?それならいいでしょ?」
「はい、喜んで!」
✢✢✢
バイトを終えたあと、心海は大きな文房具店で原稿用紙とスクリーントーンを買ってきた。バイトをもっと頑張ろうと決意を新たにしてだ。ペンを握ってインクに付ける。それで線を引くとすごく不安定だ。
「こんなに描き心地が違うんだ」
この間はサインペンでペン入れをしたので、あまりの違いに驚いてしまう。
「とりあえず夕飯作ったら練習だな」
心海は気合いを入れて立ち上がった。
「ただいまー」
「りっくん、おかえり」
「お、漫画描いてたのか?」
「うん、今日ね、道具をもらったんだけど難しくてさ」
「練習してんのか」
「そう」
とりあえず夕飯を食べようと手を合わせる。
「なぁ、心海?」
「ん?何かあった?」
「瑛太、大丈夫か?」
「なんで?」
律の口から瑛太の名が出るのはなんだか違和感がある。
「小さい子にめちゃくちゃからかわれててよ」
「はい?」
「まぁ俺もチラッと見かけただけだからな」
今朝、瑛太が言っていた相手というのはその人のことだろうか、と心海は思った。
(瑛太くんが小さい子に翻弄される…のはなんだか考えにくいけど)
「明日また聞いてみるね」
「おう。そうしてくれ」
その日心海は、ペンで線を引く練習をし続けたのだった。
次の日の朝、心海は律からの返事を瑛太に伝えていた。
「うん、楽しみ!いっぱい遊ぼうね!」
「うん、遊ぼう」
瑛太が笑う。だが、今日はその笑顔に陰りがある気がして、心海は心配になった。
「瑛太くん?何かあった?」
「…うん」
瑛太がため息を吐いている。その表情も絵になってしまうのだからイケメンは得だなぁと心海は他人事ながらに思った。
「色々あってね。ちょっと相手が気まぐれな人だから」
どうやら人間関係の悩みのようだぞと心海も察する。
「そうなんだ。あんまり思い詰めないでね」
「ありがとう、ここちゃん。そういえば、持ち込みの原稿作ってるんだっけ?」
「そうなの。16ページのネームは難しくてね。でも出来たんだ。後で読んでもらえる?」
「うん、もちろん。そろそろ講義が始まるし、行こうか」
「うん!」
講義も終わり昼休みに入っている。心海はすっかり定位置になった漫研の部室にいた。瑛太にネームを読んでもらっているのだ。
「ここちゃんの漫画ってほのぼのしてるよね。キャラクターも可愛いし」
「そうゆうのしか描けないみたい」
「どこに持ち込むの?作品のジャンルで出版社は変えたほうがいいと思うけど」
「やっぱりそういうものなんだ」
「得意不得意あるからねー。また完成したら見せてね」
「うん、ありがとう」
「ここちゃん、いたいたー」
箱を抱えた漫研の先輩が声を掛けてくる。心海は立ち上がった。
「お疲れ様です!」
「漫画描くなら道具いるでしょ?うち、姉貴が同人作家だから古くなった道具を譲ってもらったんだ。まだ使えると思うけど」
「え!いいんですか?」
「いいよいいよ。頑張ってる後輩を応援するのは当たり前でしょ」
「ありがとうございます。助かります」
箱を開けると付けペンやペン先、インクや細い筆が入っていた。一番下にあったのはトレス台である。
「あの、いくらお支払いすれば?」
「あー、いいの、いいの。姉貴も要らなくてくれたんだし」
無料で?と心海は固まってしまう。
「あ、じゃあジュース奢って?それならいいでしょ?」
「はい、喜んで!」
✢✢✢
バイトを終えたあと、心海は大きな文房具店で原稿用紙とスクリーントーンを買ってきた。バイトをもっと頑張ろうと決意を新たにしてだ。ペンを握ってインクに付ける。それで線を引くとすごく不安定だ。
「こんなに描き心地が違うんだ」
この間はサインペンでペン入れをしたので、あまりの違いに驚いてしまう。
「とりあえず夕飯作ったら練習だな」
心海は気合いを入れて立ち上がった。
「ただいまー」
「りっくん、おかえり」
「お、漫画描いてたのか?」
「うん、今日ね、道具をもらったんだけど難しくてさ」
「練習してんのか」
「そう」
とりあえず夕飯を食べようと手を合わせる。
「なぁ、心海?」
「ん?何かあった?」
「瑛太、大丈夫か?」
「なんで?」
律の口から瑛太の名が出るのはなんだか違和感がある。
「小さい子にめちゃくちゃからかわれててよ」
「はい?」
「まぁ俺もチラッと見かけただけだからな」
今朝、瑛太が言っていた相手というのはその人のことだろうか、と心海は思った。
(瑛太くんが小さい子に翻弄される…のはなんだか考えにくいけど)
「明日また聞いてみるね」
「おう。そうしてくれ」
その日心海は、ペンで線を引く練習をし続けたのだった。
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