8 / 68
8
しおりを挟む
夜になっている。厚い雲の隙間から月明かりがチラチラ覗いている。この荒廃した世界で、月が見えるなんて、珍しいこともあるもんだな。端末で自分の場所を探ってみると、間もなく宿に到着だ。よかった、予定通り進めたな。無事に宿に到着して、ハクを解き放つ。ルネがハクの言っていたことを教えてくれた。自分で自分のことは出来る、だから心配不要とのことだった。ハクは暴れ馬どころか、すごく優しい子だった。危なっかしい俺たちの面倒を見なければ…と彼女の母性が爆発したらしい。なるほどな。ハクはただの馬じゃない。俺より遥かに色々なことが分かるようだ。そしてそれはルネも同様だ。二人共優しいから俺と一緒に旅をしてくれている。二人に恥ずかしいところはみせられないよな。
「ショーゴ、お腹空いたね」
「ずっと移動だったしね」
宿屋のレストランの席に着いて、俺たちはそれぞれ料理を頼んだ。ここに来るまでどうやって来たかと聞かれて陸路で来たと言ったら物凄く驚かれた。
陸路には強力なモンスターがウロウロしていて、とても進めないらしい。でも俺たちが歩いていた時にはモンスターの姿なんて見当たらなかったけど。きっとラッキーだったんだろう。明日はもっと気を引き締めないとな。宿屋の部屋は2つ取るつもりだったけど、ルネが一緒に寝ると言って聞かなかったので、少し大きな部屋にしてもらった。
俺はそこで装備を外した。ふう、やっと休める。ベッドに横になると、ルネがしがみついてくる。可愛いな。
「ショーゴ、おやすみ」
「おやすみ」
ルネが寝息を立て始める。俺は明日のルートを端末で確認していた。どうやら明日は野宿になりそうだ。モンスター対策はどうにかしないとな。
今日はよく休んでおこう。俺も目を閉じた。
「早く!早くしろ!!」
「ショーゴ!!助けて!!」
ルネが叫んでいる。俺は慌てて起きあがった。男たちがルネを麻袋に入れて拐おうとしている。俺の装備もだ。ルネは必死に抵抗している。男たちの手に噛みついたり殴ったりバタバタしている。
「なにをやっているんだ…」
俺の声に相手は怖気づいたようだ。
「ひぃっ!逃げろ!!」
「待て」
俺はものすごく怒っていた。強盗の腕をぐっと掴む。いつもより何故だか力が漲っている。
「なにをやっているかと聞いている」
ぐぐと男の腕を捻じると強盗は悲鳴を上げた。バキという骨が軋む音。結局奴らは何も盗らずに逃げ出していった。
「旦那!!大丈夫ですかい?!」
宿屋の主人は顔を殴られたのか、痣で青くなっていた。ひどい奴らだな。
「御主人こそ、その怪我…」
「あっしは大丈夫でさぁ。不覚を取っちまいました」
へへと照れたように主人は笑った。
「ショーゴ、怖かったよ!」
ルネが抱き着いてくる。俺はルネを抱き締めた。よかった、無事で。装備はまだ盗られてもいい。でもルネは絶対に守る。俺は気になって外に出た。ハクがこちらに駆け寄ってくる。騒ぎを聞きつけたのだろう。俺は彼女の首元を撫でた。
「ハク、あいつらはどっちへ逃げた?」
「ブル…」
「南東の方だって言ってるよ」
ルネがすかさず翻訳してくれる。俺は端末を見た。南東は中央に向かうためにこれから通る。
「馬はいたか?」
ハクは首を振って否定を示した。馬に乗らずにここまで来られるということは、近くに集落があるのかもしれない。宿の人が知らないってことは、最近出来たばかりか?
俺の頭の中を色々な考えが巡る。
「ショーゴ、これからどうするの?」
俺はルネの頭を撫でた。月明かりが優しく俺たちを照らしている。
「とりあえず休もう。俺はまだヘトヘトだ」
「うん」
ハクが再び走っていく。ルネと俺は部屋に戻って休んだ。まだまだ長い道中、休める時に休まないとな。
✢✢✢
早朝、宿屋で朝飯を食べて俺たちは出発している。かなり遠回りをしながらだ。この辺りには高い木々が生えているし目隠しの効果が期待できる。そこで、端末が鳴り出した。当然我等がピンフィーネ団長である。
「ショーゴ、何故遠回りを?理由を話せ」
あぁ、やっぱりそのことか。ピンフィーネさんには正直に話しておいたほうがいいよな。俺は昨日の件について詳しく話した。
「何、賊だと?ショーゴ、絶対に無理をするなよ。今から近くの騎士をそちらへ派遣させる」
「よろしくお願いします」
俺たちは東に向かって進んでいる。昨日のことがあったからわざとだ。俺の考えどおり、南東に集落があるとしたら、ぐるっと後ろに回って裏側から攻めたほうが有利だからな。攻めるなら…だけど。道なき道を俺たちは進む。
「ぁ」
ルネには何か見えたらしい。龍は目もいいんだな。ハクにも視認できているようだ。
「何かあった?」
「うん、小さいけど家がいくつかあるよ…でも」
やっぱり集落か。ルネはなにか言いたそうにして口を噤んだ。どうしたんだろう?しばらく歩くと向こうからもくもくと黒い煙が出ている。な、なんだ?火事か?このまま周りの木に燃え移ったりしたら俺たちもやられちまう。
「ハク!乗せてくれるか?」
「ブルル」
「僕も行くよ!」
ルネが龍の姿に戻る。俺はハクに飛び乗った。
全速力でハクを走らせる。ルネが飛びながら言った。
「やっぱりモンスターだよ、ショーゴ!人間を襲ってる!さっきもしかしてって思ったんだけど」
なるほどな。俺は騎乗から敵に切りかかった。なんだか、面倒なことに巻き込まれちまった。ルネがモンスターにかぶりつく。
「グギャッ」
ボンと敵は黒い煙のようになって消滅する。なんなんだ?最後の一体を倒した。火はルネが傍にあった布で消し止めてくれた。あちらこちらに死体が倒れている。男がほとんどだったけど、女性もいた。子供がいなかったのはまだよかった。全部見て回ったけど、生きている人間は一人もいなかった。奥には宝物庫と思われる部屋があった。もしかして盗んだものかもしれない。ルネに見てもらったらその通りだと言われた。こんなに宝を貯め込んでどうするつもりだったんだろう?何かに使う予定だったのか?
「おーい!!」
馬に乗った騎士さんたちがこちらにやってくる。俺も彼らに手を振った。
「わぁ、こりゃ酷いですね」
「あ!こいつ国際手配されているやつ!」
「悪いことはできねえな」
どうやらこの集落は最近出来たばかりみたいだ。賊の集まりだったらしい。ここを新しい拠点にして、近くにある宿の客を食い物にしようと狙っていたらしい。それがたまたま俺たちだったみたいだ。ある意味不運だったのか?俺たちじゃない。賊たちがだ。
「ショーゴ殿、あとは我々が処理しますので!あとこれを!」
騎士さんの一人に渡されたのは立派な弓と矢筒だった。
「これ…」
俺が驚いていると、騎士さんが笑う。
「団長よりお預かりしたものです。ショーゴ殿なら上手く扱うと仰っていました」
「あ、ありがとう」
俺は弓と矢筒を背負った。恐ろしいほど軽いな。
そばで待っていてくれたルネとハクの元に戻ると、龍の姿だったルネにまた押し倒されてキスされた。ルネはあっという間に人間の姿に戻る。どうやらルネは俺とキスすることで変身に集中出来るらしい。ちょっと嬉しい。毎回押し倒されるのには慣れないけど。
「ショーゴ、その弓素敵だね!」
青い瞳をキラキラさせて、ルネは言った。
俺は戸惑いを隠せなかった。、それは、俺が小学生の頃から弓道を習っていたからだ。大学に入ってからはあまりやらなくなっていたけれど、体は覚えているものだ。矢を番えず、弓の弦を引き絞ってみる。ああ、変わらない感触だ。新しい武器がこうして俺の元にきたのだ。
「とりあえず先に進もう」
ルネをハクに乗せて、荷物も持ってもらった。周りの木々がだんだん低くなってきているな。向こうには高い山々が見える。そんな折だった。大きな龍が俺たちの前に立ち塞がってきたのだ。あまりの巨大さにびっくりした。でも龍からは殺意や敵意を感じない。ルネがハクから飛び降りた。
「ルネシア、ショーゴとは番になれたのですか?」
この声、聞き覚えがあるな。確かルネのお姉さんだ。
「まだだよ。僕はショーゴを龍の仕来たりに巻き込みたくない」
「あなたって子は」
「大体、母様のペンダントを失くしてる時点で僕に龍姫の役割を果たせないって証明してるようなものじゃないか!」
ルネがこんなに感情的になるのは見たことがない。
「ルネシア、加護は必ず元に戻します。あなたにも村に戻ってきて欲しい。皆そう思ってますよ」
「姉さん…」
龍は再び飛び去っていった。お姉さん、優しいな。
「姉さんもこうと決めたら梃子でも動かないんだから」
はああとルネがため息を吐いている。俺は笑ってしまった。ルネもそうだからだ。血は争えないのかもしれないな。しばらく歩くと木のない開けた場所に出た。日も暮れてきたし、そろそろ寝る準備をした方がいいかもしれない。俺は小学生の時に一度キャンプをしたことがあるだけだ。つまり素人である。
「火なら僕、熾せるよ」
乾いた木々を集めて、ルネがふう、と息を吐くと、もう火が付いてしまった。もしかして魔力?すごいな。さて、夕飯の支度をしようかな。食べないと元気出ないし。
ハクが持ってくれていた荷物の中から銅製の小さな鍋を取り出す。近くの川から水を汲んできて沸騰させる。いくら水が綺麗でも、生水は怖いもんな。団長がくれた栄養食を水に溶かすと熱いスープの出来上がりだ。ルネと代わりばんこにスープを飲んだ。そんなに驚くほど不味くない。ハクは近くに生えている草をむしゃむしゃ食べている。
テントを設営して、と。
中で端末を見ながらルートを確認する。うーん、今日は色々あったからあまり進めなかったな。
「ショーゴ、どう?」
ルネが不安そうな顔で尋ねてくる。
「大丈夫だからな。ほら、寝よう」
ルネの頭を撫でると、うんと頷いてルネは目を閉じた。俺も眠ろう。
「ショーゴ、お腹空いたね」
「ずっと移動だったしね」
宿屋のレストランの席に着いて、俺たちはそれぞれ料理を頼んだ。ここに来るまでどうやって来たかと聞かれて陸路で来たと言ったら物凄く驚かれた。
陸路には強力なモンスターがウロウロしていて、とても進めないらしい。でも俺たちが歩いていた時にはモンスターの姿なんて見当たらなかったけど。きっとラッキーだったんだろう。明日はもっと気を引き締めないとな。宿屋の部屋は2つ取るつもりだったけど、ルネが一緒に寝ると言って聞かなかったので、少し大きな部屋にしてもらった。
俺はそこで装備を外した。ふう、やっと休める。ベッドに横になると、ルネがしがみついてくる。可愛いな。
「ショーゴ、おやすみ」
「おやすみ」
ルネが寝息を立て始める。俺は明日のルートを端末で確認していた。どうやら明日は野宿になりそうだ。モンスター対策はどうにかしないとな。
今日はよく休んでおこう。俺も目を閉じた。
「早く!早くしろ!!」
「ショーゴ!!助けて!!」
ルネが叫んでいる。俺は慌てて起きあがった。男たちがルネを麻袋に入れて拐おうとしている。俺の装備もだ。ルネは必死に抵抗している。男たちの手に噛みついたり殴ったりバタバタしている。
「なにをやっているんだ…」
俺の声に相手は怖気づいたようだ。
「ひぃっ!逃げろ!!」
「待て」
俺はものすごく怒っていた。強盗の腕をぐっと掴む。いつもより何故だか力が漲っている。
「なにをやっているかと聞いている」
ぐぐと男の腕を捻じると強盗は悲鳴を上げた。バキという骨が軋む音。結局奴らは何も盗らずに逃げ出していった。
「旦那!!大丈夫ですかい?!」
宿屋の主人は顔を殴られたのか、痣で青くなっていた。ひどい奴らだな。
「御主人こそ、その怪我…」
「あっしは大丈夫でさぁ。不覚を取っちまいました」
へへと照れたように主人は笑った。
「ショーゴ、怖かったよ!」
ルネが抱き着いてくる。俺はルネを抱き締めた。よかった、無事で。装備はまだ盗られてもいい。でもルネは絶対に守る。俺は気になって外に出た。ハクがこちらに駆け寄ってくる。騒ぎを聞きつけたのだろう。俺は彼女の首元を撫でた。
「ハク、あいつらはどっちへ逃げた?」
「ブル…」
「南東の方だって言ってるよ」
ルネがすかさず翻訳してくれる。俺は端末を見た。南東は中央に向かうためにこれから通る。
「馬はいたか?」
ハクは首を振って否定を示した。馬に乗らずにここまで来られるということは、近くに集落があるのかもしれない。宿の人が知らないってことは、最近出来たばかりか?
俺の頭の中を色々な考えが巡る。
「ショーゴ、これからどうするの?」
俺はルネの頭を撫でた。月明かりが優しく俺たちを照らしている。
「とりあえず休もう。俺はまだヘトヘトだ」
「うん」
ハクが再び走っていく。ルネと俺は部屋に戻って休んだ。まだまだ長い道中、休める時に休まないとな。
✢✢✢
早朝、宿屋で朝飯を食べて俺たちは出発している。かなり遠回りをしながらだ。この辺りには高い木々が生えているし目隠しの効果が期待できる。そこで、端末が鳴り出した。当然我等がピンフィーネ団長である。
「ショーゴ、何故遠回りを?理由を話せ」
あぁ、やっぱりそのことか。ピンフィーネさんには正直に話しておいたほうがいいよな。俺は昨日の件について詳しく話した。
「何、賊だと?ショーゴ、絶対に無理をするなよ。今から近くの騎士をそちらへ派遣させる」
「よろしくお願いします」
俺たちは東に向かって進んでいる。昨日のことがあったからわざとだ。俺の考えどおり、南東に集落があるとしたら、ぐるっと後ろに回って裏側から攻めたほうが有利だからな。攻めるなら…だけど。道なき道を俺たちは進む。
「ぁ」
ルネには何か見えたらしい。龍は目もいいんだな。ハクにも視認できているようだ。
「何かあった?」
「うん、小さいけど家がいくつかあるよ…でも」
やっぱり集落か。ルネはなにか言いたそうにして口を噤んだ。どうしたんだろう?しばらく歩くと向こうからもくもくと黒い煙が出ている。な、なんだ?火事か?このまま周りの木に燃え移ったりしたら俺たちもやられちまう。
「ハク!乗せてくれるか?」
「ブルル」
「僕も行くよ!」
ルネが龍の姿に戻る。俺はハクに飛び乗った。
全速力でハクを走らせる。ルネが飛びながら言った。
「やっぱりモンスターだよ、ショーゴ!人間を襲ってる!さっきもしかしてって思ったんだけど」
なるほどな。俺は騎乗から敵に切りかかった。なんだか、面倒なことに巻き込まれちまった。ルネがモンスターにかぶりつく。
「グギャッ」
ボンと敵は黒い煙のようになって消滅する。なんなんだ?最後の一体を倒した。火はルネが傍にあった布で消し止めてくれた。あちらこちらに死体が倒れている。男がほとんどだったけど、女性もいた。子供がいなかったのはまだよかった。全部見て回ったけど、生きている人間は一人もいなかった。奥には宝物庫と思われる部屋があった。もしかして盗んだものかもしれない。ルネに見てもらったらその通りだと言われた。こんなに宝を貯め込んでどうするつもりだったんだろう?何かに使う予定だったのか?
「おーい!!」
馬に乗った騎士さんたちがこちらにやってくる。俺も彼らに手を振った。
「わぁ、こりゃ酷いですね」
「あ!こいつ国際手配されているやつ!」
「悪いことはできねえな」
どうやらこの集落は最近出来たばかりみたいだ。賊の集まりだったらしい。ここを新しい拠点にして、近くにある宿の客を食い物にしようと狙っていたらしい。それがたまたま俺たちだったみたいだ。ある意味不運だったのか?俺たちじゃない。賊たちがだ。
「ショーゴ殿、あとは我々が処理しますので!あとこれを!」
騎士さんの一人に渡されたのは立派な弓と矢筒だった。
「これ…」
俺が驚いていると、騎士さんが笑う。
「団長よりお預かりしたものです。ショーゴ殿なら上手く扱うと仰っていました」
「あ、ありがとう」
俺は弓と矢筒を背負った。恐ろしいほど軽いな。
そばで待っていてくれたルネとハクの元に戻ると、龍の姿だったルネにまた押し倒されてキスされた。ルネはあっという間に人間の姿に戻る。どうやらルネは俺とキスすることで変身に集中出来るらしい。ちょっと嬉しい。毎回押し倒されるのには慣れないけど。
「ショーゴ、その弓素敵だね!」
青い瞳をキラキラさせて、ルネは言った。
俺は戸惑いを隠せなかった。、それは、俺が小学生の頃から弓道を習っていたからだ。大学に入ってからはあまりやらなくなっていたけれど、体は覚えているものだ。矢を番えず、弓の弦を引き絞ってみる。ああ、変わらない感触だ。新しい武器がこうして俺の元にきたのだ。
「とりあえず先に進もう」
ルネをハクに乗せて、荷物も持ってもらった。周りの木々がだんだん低くなってきているな。向こうには高い山々が見える。そんな折だった。大きな龍が俺たちの前に立ち塞がってきたのだ。あまりの巨大さにびっくりした。でも龍からは殺意や敵意を感じない。ルネがハクから飛び降りた。
「ルネシア、ショーゴとは番になれたのですか?」
この声、聞き覚えがあるな。確かルネのお姉さんだ。
「まだだよ。僕はショーゴを龍の仕来たりに巻き込みたくない」
「あなたって子は」
「大体、母様のペンダントを失くしてる時点で僕に龍姫の役割を果たせないって証明してるようなものじゃないか!」
ルネがこんなに感情的になるのは見たことがない。
「ルネシア、加護は必ず元に戻します。あなたにも村に戻ってきて欲しい。皆そう思ってますよ」
「姉さん…」
龍は再び飛び去っていった。お姉さん、優しいな。
「姉さんもこうと決めたら梃子でも動かないんだから」
はああとルネがため息を吐いている。俺は笑ってしまった。ルネもそうだからだ。血は争えないのかもしれないな。しばらく歩くと木のない開けた場所に出た。日も暮れてきたし、そろそろ寝る準備をした方がいいかもしれない。俺は小学生の時に一度キャンプをしたことがあるだけだ。つまり素人である。
「火なら僕、熾せるよ」
乾いた木々を集めて、ルネがふう、と息を吐くと、もう火が付いてしまった。もしかして魔力?すごいな。さて、夕飯の支度をしようかな。食べないと元気出ないし。
ハクが持ってくれていた荷物の中から銅製の小さな鍋を取り出す。近くの川から水を汲んできて沸騰させる。いくら水が綺麗でも、生水は怖いもんな。団長がくれた栄養食を水に溶かすと熱いスープの出来上がりだ。ルネと代わりばんこにスープを飲んだ。そんなに驚くほど不味くない。ハクは近くに生えている草をむしゃむしゃ食べている。
テントを設営して、と。
中で端末を見ながらルートを確認する。うーん、今日は色々あったからあまり進めなかったな。
「ショーゴ、どう?」
ルネが不安そうな顔で尋ねてくる。
「大丈夫だからな。ほら、寝よう」
ルネの頭を撫でると、うんと頷いてルネは目を閉じた。俺も眠ろう。
17
あなたにおすすめの小説
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
【16+4話完結】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。
カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。
異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。
ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。
そして、コスプレと思っていた男性は……。
動物アレルギーのSS級治療師は、竜神と恋をする
葉空
BL
SS級治療師、ルカ。それが今世の俺だ。
前世では、野犬に噛まれたことで狂犬病に感染し、死んでしまった。次に目が覚めると、異世界に転生していた。しかも、森に住んでるのは獣人で人間は俺1人?!しかも、俺は動物アレルギー持ち…
でも、彼らの怪我を治療出来る力を持つのは治癒魔法が使える自分だけ…
優しい彼が、唯一触れられる竜神に溺愛されて生活するお話。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる