異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ

文字の大きさ
28 / 68

28

しおりを挟む
俺とルネはホテルのラウンジにいる。すっかり日が暮れているな。さっきの戦いで少しダメージを食らったから明日の試合の為になるべく回復しないと。ゴルブさんに聞いたら明日の朝には整備が済んでいると言われた。よかった、声を掛けてもらえて。俺だけじゃ気付かなかったもんな。武器や防具にもしっかり手入れが必要なんだ。うーん、俺、素人感満載だな。

「ショーゴ、なに食べる?」

気分としては肉だ。

「このラム肉のソテーにする」

「あ、それ美味しそう。半分ちょうだい」

「うん、いいよ。ルネは?」

「えーとねー、やっぱりカレーかな」

ルネはカレーがなにより大好きだった。このホテルのカレーがこれまた美味いのだ。牛肉が口の中でホロホロするタイプのカレーである。何時間煮込んでるんだろう。注文をして待っていたらダリアさんがふらりと現れた。ダリアさんの急な登場にラウンジは静まり返った。彼女はそれを全く気にしていない。さすがだな。

「ショーゴ、龍姫、私も混ぜてもらっていいか?」

「ダリア、ショーゴから離れて座ってよね?」

むうう、とルネが膨れている。ダリアさんにこんな態度が取れるのは、ルネだからだ。いや、ルネしかいない。他の人がやったら…俺は怖くなって考えるのを中断した。

「ははは、そんなケチくさいこと言うな」

ダリアさんが笑っている。笑うとカイエンさんにそっくりだな。さすが娘さん。俺が一人で戸惑っていると、ダリアさんが俺に顔を寄せてきた。ニンマリ笑っている。

「私は一夫多妻制でも気にしないぞ」

「離れてよね!!ダリア!!!」

えーと、どういうことでしょうか?全く事情が呑み込めない。

「まあ細かいことはいい。食事にしよう」

全然良くないんですけど。げっそりしていたら、食事が届いた。ダリアさんは丸々一匹のローストチキン。え、それ一人前じゃないよね?ダリアさんは食べる前のお祈りをして食べ始めた。

とりあえず俺たちも食べよう。ムシャムシャしていたダリアさんがごくんと肉を飲み込んで言った。

「二人に見せたいものがあってな」

なんだろう?ダリアさんは笑ってチキンを再び食べ始めた。なんかヤバいものを見せられるわけじゃないよな?ちょっと怖いかも。ルネにラム肉のソテーを分けたら、ダリアさんも食べたいと言い始めたので、チキンの足と交換した。こうなるならもう一個頼んでおけば良かったな。チキンもジューシーで柔らかかった。ここの料理、全て美味い。ご飯も進む。ダリアさんは綺麗にチキンを完食していた。すごいな。

「ふふ、美味いな」

食後にコーヒーを飲む。

「見せたいものって何さ?」

ルネが尋ねると、ダリアさんが困ったように笑った。

「私にもよく分からないのでな。龍姫の意見を聞きたい」

「別にいいけどさ」

ズズ、とルネがコーヒーを啜る。この二人は仲がいいのか悪いのか。あまり突付かないでおくか。触らぬ神に祟りなしだしな。さて、腹も落ち着いたことだし、その何かを見に行ってみるか。俺たちはラウンジを後にした。

✢✢✢

「ふぎゃあふぎゃあ!」

「チサト様、お腹空きましたね。おねえ様、ミルクは出来ましたか?」

「あぁ、ミルクは人肌だよな」

「完璧ですわ」

フィーナとピンフィーネ、そしてカーナ、ディア、ブロリアは交代制で三人の赤ん坊たちの世話をしている。シャナ、マヨイはもう間もなく一歳になる。チサトはまだ産まれて六ヶ月程だ。ふぎゃふぎゃとよく泣き、よく笑い、ミルクを沢山飲む。母親と父親がいない代わりに皆で沢山の愛情を与えている。これから大きく成長するのに、沢山の愛情は必要不可欠だ。

「ショーゴ様は大丈夫でしょうか?」

フィーナがチサトをあやしながら姉に尋ねると、彼女は腕を組んだ。

「龍姫のペンダントを探しに行くのは構わんが、業務連絡くらいはして欲しいものだな。あいつは一応モアグリア王城の騎士だぞ」

フィーナはそれがおかしくて噴き出してしまった。チサトも泣き止んで機嫌よく笑っている。姉はショーゴから連絡が来ないことに対して思い切り寂しがっているのだ。全くもって素直ではない。

「おねえ様から一言、ショーゴ様にメッセージを送れば解決すると思うのですが…?」

フィーナの言葉にピンフィーネはむううと口を尖らせた。

「そんなの絶対にヤダ」

「あらあら」

ピンフィーネの子供じみた態度にフィーナは苦笑を隠し切れない。フィーナはそっと天に祈った。

(ショーゴ様、おねえ様が寂しがっています。出来るだけ早くメッセージを下さいな)

それをルネは感じ取ったとか、取っていなかったとか、真相は彼にしか分からない。
✢✢✢

「何ここ?」

俺たちは地下にいた。随分下ってきた気がするな。そう、日本で言うなら地下鉄のホームがある場所くらいまでには下ってきている。周りは灯りがぼんやりと灯っているけれど、視界が不明瞭なのは間違いない。

「龍姫、ここは始まりの神殿だ」

「げ」

ダリアさんの説明にルネが反応した。始まりの神殿ってなんだ?ダリアさんが先導しながら答えてくれた。

「この世界には8つ、神殿があったようだ。全て最古龍が管理していた。龍の加護は本来、この8つの神殿の力を得て成り立っていた」

「でもそれじゃあまりに大変だから、あのペンダントに神殿の力を封じたんだよね」

「その通りだ、龍姫。ちゃんと知っているなんて偉いじゃないか」

「それくらい僕にだって分かるんだからね!」

「ははは、まあそう怒るな」

コツコツとダリアさんの靴音が響く。だんだん怖くなってきた。ダリアさんが足を止める。

「見てみろ」

彼女が指を差す。ガラスケースの中にペンダントが光りながら浮いていた。ルネが言っていたものとデザインが確かに合致する。
でもペンダントから強い光が四方に発せられている。
なんの光だろう?

「あの光はなんだ?龍姫。私では触ることも敵わん」

「触らないほうが賢明だよ。あの光は神殿たちが呼んでいるんだ。小さい頃オババ様たちに聞いたことがある。あー、面倒くさー」

ルネはため息を吐いている。そんなに面倒なことなのか?

「やはり非常事態だったか。ショーゴ、私はお前を明日見極めてやる。龍姫と共にいるのが相応しいかどうかな」

そう言われると緊張するな。

「ダリアは本当に心配性なんだから」

ルネが俺の腕にしがみついてくる。

「ショーゴは強いよ、安心して?」

「ふっ、楽しみにしている」

俺たちは再び階段を上がって、ホテルの部屋に戻った。あー、疲れた。ルネもベッドにダイブしている。

「ショーゴ、寝ちゃお」

「うん」

今日は発情もないようだから良かったな。俺は安心して目を閉じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~

トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。 突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。 有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。 約束の10年後。 俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。 どこからでもかかってこいや! と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。 そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変? 急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。 慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし! このまま、俺は、絆されてしまうのか!? カイタ、エブリスタにも掲載しています。

【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。 しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!? でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。 そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。 主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱! だから、…俺は主人公じゃないんだってば!

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

魔力ゼロのポーション屋手伝い

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
15歳で測定する魔力の量によって、人生の大部分が左右されてしまう世界。 そんな世界で、運命の日を迎えたひとりの平凡な少年──リクは、抱いた淡い期待を大きく裏切られる。魔力が前代未聞のゼロと言い渡されたのだ。 深い絶望とともに頭を抱えていたとき、森でポーション屋を営んでいるというくたびれた男が声をかける。路頭に迷っていたリクは、店で手伝いをしてはどうかという彼の誘いを受けることにする。 捨てかけた夢を拾ってもらった少年と、拾った男。ふたりが絆を深めていく、ポーション屋でのお話です。 一人称おじさんくたびれ男性×魔力ゼロ以外平凡青年のBLです。 カクヨムにも載せています。(完結済み)

動物アレルギーのSS級治療師は、竜神と恋をする

葉空
BL
SS級治療師、ルカ。それが今世の俺だ。 前世では、野犬に噛まれたことで狂犬病に感染し、死んでしまった。次に目が覚めると、異世界に転生していた。しかも、森に住んでるのは獣人で人間は俺1人?!しかも、俺は動物アレルギー持ち… でも、彼らの怪我を治療出来る力を持つのは治癒魔法が使える自分だけ… 優しい彼が、唯一触れられる竜神に溺愛されて生活するお話。

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

処理中です...