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第一章
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しおりを挟む次の日、空が白み始める日の出前に目が覚めた。
浴室に併設された洗面台で顔を洗って、部屋で着替えを済ませる。シグルドさんが迎えに来るまで時間がありそうだから、少し教会内を見て回ろうと部屋を出た。
僕がいた隣の部屋が司祭様の執務室で、その奥が礼拝堂への扉だと昨日ルークが教えてくれた。扉を開けると、祭壇に一番近い長椅子のそばに出た。
礼拝堂は朝の空気のせいもあってか、静かで厳かな雰囲気だった。
祭壇の後ろには、蔦の形に彫られた木製のサッシにはめ込まれた、アーチ状の大きなガラス窓がある。そこから<世界樹>が見えるようになっていた。遠くに見える<世界樹>は、登り始めた陽の光を浴びて神々しく輝いている。
「おはよう、ユイ。早起きだね」
「おっ、おはようございます。シ……司祭様」
びっくりした!
<世界樹>に見とれていて、シグルドさんが入ってきたことにも全然気づかなかった。
「部屋にいないから、何処に行ったのかと思ったよ」
「すみません。すぐ戻るつもりだったのですが……」
「いや、いいんだよ。どうだい?初めて見た<世界樹>は」
「……神秘的で、荘厳ですね。それに、なんだか見守られているようで──」
──自分は独りじゃないと思える。
「そうか。この国の教会はここと同じように、礼拝堂から<世界樹>が見えるように建てられているんだ。機会があったら、別の教会も訪ねてみるといい」
「はい、ぜひ」
「では、孤児院の方に行こうか」
孤児院は教会のすぐ隣に建てられていて、教会の裏口から中庭を横切るとキッチンに続く勝手口があった。扉を開くと、院長を務めるルーシーさんが朝食の準備をしていた。
「おはよう、ユイ。昨夜はよく眠れたかしら?」
「おはようございます。ぐっすりでしたよ。今日からよろしくお願いします、院長」
「ええ。こちらこそ、よろしくね」
そうこう話していると、キッチンの奥にあるダイニングに4人の子ども達が入ってきた。女の子2人は2~5歳くらいで、男の子2人は10歳前後くらいに見える。
そして最後にルークが入ってきた。僕と目が合うと、ふわりと微笑んでくれた。
「おはようございます。しさい様、いんちょう先生!」
女の子のひとりが元気にあいさつをした。それに倣って他の子ども達も各々あいさつをすると、自分の席に着いた。
「おはよう、みんな。昨日話したとおり、今日から新しい家族が加わる。ユイ、あいさつを」
司祭様に促されて、僕は一歩前に出た。
できるだけ笑顔で、子ども達を不安にさせないように……。
「はじめまして。今日からここでお世話になる、ユイといいます。分からないことばかりなので、みんなに教えてもらえると嬉しいです。よろしくお願いします」
子ども達はじっと僕を見つめて、しばし沈黙が流れる。ルークが先んじて拍手をしてくれて、慌てて子ども達も拍手をしだした。
僕の自己紹介が終わると、院長が子ども達を紹介してくれた。その後みんなで朝食を取りながら、今日の役割分担を確認する。これがいつもの会話なのだろう。
食事中も子ども達はチラチラ僕の方を見て、目が合うとパッと視線を逸らすを繰り返した。
まぁ、そう簡単には受け入れられないよね。子ども達とは、おいおい仲良くなろう。
考え事をしながら食事をしていた僕は、そのとき誰かが呟いた言葉に気がつかなかった。
「キレイなひと………」
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