異世界で王城生活~陛下の隣で~

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19問題発生!

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 王宮調理場です。

 困った事が1つ。
 私はこちらの文字は読めたが、こちらの人は日本語が読めない。(分かってはいたよ)
 レシピを見せてもチンプンカンプンなのは当然の事。
 でもって、こちらの言葉で書き直さないと思い、ペンを持ったがどうやら私はこちらの文字は読めるが、まだ書くのは小学生並みという事が分かった。
 なんてこった!
 取敢えず、レシピを読み上げ、それをマクベスさんに清書して貰い、それを料理長に渡した。
 文字がしっかり書けるように勉強しなくては駄目ね。
 やることがまた一つ増えてしまった……

 プリンの方はというと、私も説明しながら一緒にやったけど作ったのはデザート専門のパティシエさん。
 陶器の器で綺麗に出来上がって来た。
 試食したマチルダ妃は大絶賛!私のお披露目パーティーでプリンのお披露目もされることになった。

 ドレスも出来上がってきた。ダンスも先生が来てくれて、一通り踊れることも分かって一安心。
 そうしてお披露目の日を迎えるのですが……困ったことが。

 露天風呂が完成してから殆ど毎日通い詰めていて、自室での入浴はしていなかった。
 お披露目の準備でお肌の手入れをすると言われたのは良いんだけど。
 久しぶりに侍女ズの二人に髪を洗われていると……

「ユリカ様、これは……」
 メアリーアンの声が浴室に響いた。
「ン、どうかした?」
 何だろうと首を反らしアンを見る。
「髪が黒く生えています!」

 その言葉にドキリとしたのは言うまでもない。

 あ―――!そうだった。旅行に行く前にサロンで髪を染めて。
 この世界に来てひと月経つんだよね。
 地毛が伸びて来て……うっ、このままではプリンになっちゃうじゃん!

「アン、この国の人たちは髪を染めないの?」
「えっ、髪をですか……」
「うん、もう見た目で分かる通り私のこの色は染めているの。この一か月で伸びたから元色が出て来ているのよ」
 メアリーアンとクローディアが目を丸くしている。

「ユリカ様、髪色を変えることが出来るのは魔女や魔術師が作る薬だけです。ユリカ様は魔力をお持ちで!」
「ないない、魔力なんてある訳ないじゃん。これは染料で染めているの」
「そんな、ことが出来るのですか?」
「うん、みんなやってるわ」
「はぁー、驚きました。特別な薬を飲まなくても自由に髪色を変えることが出来るなんて。やはりユリカお姉さま様の世界は凄いですね!」
 クローディアちゃんことディアも羨ましいとばかりに目を輝かせていた。

「そっか、簡単に髪を染められる薬は無いのね、どうしよう」
 この髪が伸びるまでどのくらいかかるのか、それまで茶と黒ツートンのまま?
 やだなー(汗)

「ユリカ様、そんなことよりもっと大変なことがあります!」
 アンにとても困った顔をしながら告げられた。
「黒髪は聖女の証です!」

「へっ?」

 それから大変なことになった。
 メアリーアンは内密に陛下に報告に行き、クローディアが私の仕度を整え終わるころには陛下とキャステルさんが私の部屋に駆けつけて来たのだった。

「ユリカが黒髪だと言うのは本当のことか?」

 珍しく息を切らせた陛下が訊いて来た。

「そうですよ。元は……少し茶が入ってるけど、基本黒髪だもん」
「黒髪に黒い瞳、ユリカは聖女なのか?」
「聖女って何ですか?癒しや治療とか浄化とかできるってやつですか?」
「ああ、そうだ」

 普段冷静な陛下が興奮しているみたい。

「わたしそんな力は持ってませんから」
 私の両肩を鷲掴みして伸びてきている1センチほどの黒髪を覗き込む陛下。
「しかし」

「陛下、魔導士のオルトランを呼び検証して貰ったらどうだ?」

 キャステルさんの言葉に陛下もようやく平常心を取り戻した。

「ああ、そうか。うん、そうしよう。すぐにオルトランを呼ぶように」

 陛下の言葉を受けキャステルさんが扉の向こうに控えていた侍従に指示を出しに行く。

「魔導士って怖い人?」
 私はなんだか不安になって来た。
「否、オルトランは魔術師、魔導士どちらでも良いのだが怖くはない。が、ちょっと変人でもある」
「えっ、なにそれ?」

 そんな話をしているといきなり扉の前に白い煙が立ち上りローブを羽織った男性が現れた!

「うっわ!」
 心臓が止まるかと思ったじゃん!

「オルトラン、王宮内で転移は使うなと言ってあるだろう。ちゃんと扉から来い!」
 びっくりしてよろけた私の肩を抱きながら陛下が叱り飛ばす。

「ん-、だって急用だっていうからさー」

 何だか惚けた感じの人だ。
 年は陛下よりも若い。魔導士なんて言うからお爺ちゃんが来るのかって想像してた。

「で、何の用?あれ、このが異世界人?」
「ああ、ユリカだ」
「ふーん。初めましてユリカちゃん、僕はジュノアール・オルトラン。魔導士だよ、よろしくね」
 何だか私より年上だと思うけど、屈託のない笑顔で挨拶されてしまい、驚いた。

「友梨香です。よろしくお願いします」

「で、どうして僕が呼ばれたのかな?」

「実はユリカが召喚無しでこの世界に来たので、聖女ではないと思っていたのだが。
 目が黒目の他に髪迄黒いと分かったのだ」

 ユリウスの言葉にオルトランが大きな目を何度かパチパチと瞬きしてユリカの髪を凝視してきた。
「ユリカちゃんは魔力持ち?ナニコレ?魔法で髪色を変えてるの?」
 不思議そうに友梨香の髪を一束取り眺めている。

「ちがいます。私の国には染める薬があり、みんな自由に色を変えて楽しんでるんです」
「へぇー、凄いな」

「それでだな」
 ユリウスは添う言葉をかけながら、ユリカの髪を持っているオルトランの手を払う。

「ユリカが聖女なら歴代の聖女と同じく魔力もある筈だ。それを調べて欲しい」
「なるほねー、いいよ、見てあげる」

 オルトランはユリウスに払われた手でユリカの両手を掴むとじっと彼女の瞳を見つめる。
「大丈夫、深呼吸して目を瞑っていてくれれば直ぐに終わるからね」
 少し怯えたユリカにそう告げると少年のような笑顔で微笑む。
「はい」
 友梨香は言われた通り深呼吸をして瞳を閉じた。
 何だか暖かい物が彼の手から流れてくる。
 不思議な気持ちに満たされ心地よさの後にいきなり目が回る様な感じが……
 突然体の力が抜け崩れそうになるのをシリウスが慌てて支える。
 友梨香は意識を失ったのだった。




**********

※お読み下さりありがとうございます。
 本日は21時過ぎにもう1話アップ予定です。
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