4 / 4
目覚めと、勇気
しおりを挟む
なぜ女子たちが男子たちに暴力を行っていたのか、理由は知る術もない。
ただ、女子3人が男子4人を圧倒していたことは、事実である。
人数比で劣る女子の方が、男子を完全に支配していたのである。
しかも戦うどころか、その前から男子が女子に屈服していたのである。
戦う前からすでにその構図が構築されていたということは、その前に既に叩きのめされていたことになる。
当時の私には、通常では考えられなかった世界が、目の前で現実として起きたことが衝撃であった。
当然ながらその夜は、試験勉強など、まったく手につかなかった。
私は興奮が冷めやらず、それまで経験することもなかった異質な性的な欲望を、感じざるを得なかった。
眠ることなく一晩中、想像を膨らませてしまったのは、言うまでもないことである。
男子4人は翌日以降、しばらく大人しかったのを、よく覚えている。
女子3人も見かけたが、特に変わった様子はなく、他の不良女子たちとともにたむろしていた。
何が起こったのか、私と当人たち以外は、おそらく誰も知らない。
ただ、私の中では、この日を境に大きな変化が生じていた。
例の女子3人も含め、不良女子たちとわたしとの距離が近づいたとき、背筋に緊張感が走るようになったのである。
ひとつ間違えば、自分も彼女たちから、あの日の男子たちのように屈辱感を味わされるかもしれない。
最初はそれが、恐怖感だったように思う。
しかし、日々あの場面を思い出す度に、次第にそれが、期待感へと移っていたように思う。
いつの間にか想像の世界の中で、あの男子4人に自分を同化している自分に、気が付いていたのであった。
あの場面こそ、私のM性の原点であったことは、間違いないものと思っている。
強い女性を崇拝する気持ちは、この日から、いま現在にまで至っているのである。
月日が経ち、しばらくすると例の男子4人は、再び徐々に威勢を張りだしていた。
あの日の出来事で傷めていた心も、少しは癒えたのだろうか。
私にも再びお金をせびるようになっていた。
が、私は、それ以前のわたしとは違っていた。
再び威圧感を与えてきた男子たち。
しかし、彼らの声にはどこか以前ほどの力強さが感じられない。
私は彼らの目をまっすぐ見据えた。
以前の自分ならすぐに目をそらしていたはずなのに、いまはむしろその怯えた表情に小さな余裕さえ感じている。
「どうした?やれば?」
その言葉が自分の口から出た瞬間、自分でも信じられなかった。
しかし、それに返してきたのは、彼らの沈黙だった。
お互いに視線を交わしたあと、彼らは何も言わずに背を向けて歩き去った。
あの日、彼女たちが教えてくれたこと。それは、恐れないことで手に入る「力」だったのかもしれない。
彼女らが、わたしのM性を目覚めさせてくれたことは、間違いない。
それと同時に、社会で生きて行くための勇気を、見せ付けてくれたようにも思っている。
彼女らと話すことは、在学中は一切なかった。
いったい今頃、どこで何をしているのだろうか……。
人生が終わる前に、一度はお会いしてみたいと、願うものである。
ただ、女子3人が男子4人を圧倒していたことは、事実である。
人数比で劣る女子の方が、男子を完全に支配していたのである。
しかも戦うどころか、その前から男子が女子に屈服していたのである。
戦う前からすでにその構図が構築されていたということは、その前に既に叩きのめされていたことになる。
当時の私には、通常では考えられなかった世界が、目の前で現実として起きたことが衝撃であった。
当然ながらその夜は、試験勉強など、まったく手につかなかった。
私は興奮が冷めやらず、それまで経験することもなかった異質な性的な欲望を、感じざるを得なかった。
眠ることなく一晩中、想像を膨らませてしまったのは、言うまでもないことである。
男子4人は翌日以降、しばらく大人しかったのを、よく覚えている。
女子3人も見かけたが、特に変わった様子はなく、他の不良女子たちとともにたむろしていた。
何が起こったのか、私と当人たち以外は、おそらく誰も知らない。
ただ、私の中では、この日を境に大きな変化が生じていた。
例の女子3人も含め、不良女子たちとわたしとの距離が近づいたとき、背筋に緊張感が走るようになったのである。
ひとつ間違えば、自分も彼女たちから、あの日の男子たちのように屈辱感を味わされるかもしれない。
最初はそれが、恐怖感だったように思う。
しかし、日々あの場面を思い出す度に、次第にそれが、期待感へと移っていたように思う。
いつの間にか想像の世界の中で、あの男子4人に自分を同化している自分に、気が付いていたのであった。
あの場面こそ、私のM性の原点であったことは、間違いないものと思っている。
強い女性を崇拝する気持ちは、この日から、いま現在にまで至っているのである。
月日が経ち、しばらくすると例の男子4人は、再び徐々に威勢を張りだしていた。
あの日の出来事で傷めていた心も、少しは癒えたのだろうか。
私にも再びお金をせびるようになっていた。
が、私は、それ以前のわたしとは違っていた。
再び威圧感を与えてきた男子たち。
しかし、彼らの声にはどこか以前ほどの力強さが感じられない。
私は彼らの目をまっすぐ見据えた。
以前の自分ならすぐに目をそらしていたはずなのに、いまはむしろその怯えた表情に小さな余裕さえ感じている。
「どうした?やれば?」
その言葉が自分の口から出た瞬間、自分でも信じられなかった。
しかし、それに返してきたのは、彼らの沈黙だった。
お互いに視線を交わしたあと、彼らは何も言わずに背を向けて歩き去った。
あの日、彼女たちが教えてくれたこと。それは、恐れないことで手に入る「力」だったのかもしれない。
彼女らが、わたしのM性を目覚めさせてくれたことは、間違いない。
それと同時に、社会で生きて行くための勇気を、見せ付けてくれたようにも思っている。
彼女らと話すことは、在学中は一切なかった。
いったい今頃、どこで何をしているのだろうか……。
人生が終わる前に、一度はお会いしてみたいと、願うものである。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
M性に目覚めた若かりしころの思い出 その2
kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、終活的に少しづつ綴らせていただいてます。
荒れていた地域での、高校時代の体験になります。このような、古き良き(?)時代があったことを、理解いただけましたらうれしいです。
一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
筆下ろし
wawabubu
青春
私は京町家(きょうまちや)で書道塾の師範をしております。小学生から高校生までの塾生がいますが、たいてい男の子は大学受験を控えて塾を辞めていきます。そんなとき、男の子には私から、記念の作品を仕上げることと、筆下ろしの儀式をしてあげて、思い出を作って差し上げるのよ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる