転生して感覚遮断スキルを手に入れたのでエロトラップダンジョンなんて楽勝のはずでした

鳳梨

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vs触手

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 何処かに行きたい。

 いつからか俺はそう思うようになっていた。
 何時間でも寝られて、美味い飯が食えて、優しくて美人でおっぱいのデカいねーちゃんがいればなお良し。そんな場所に行きたい。
 でもそれはただの願いで、本当にそこへ行く努力なんてする気は無かった。
 会社へ行って仕事をして飯を食って家に帰って寝る、この繰り返し。
 転職なんてする気も起きない。どんなに上司に怒鳴られたって、一応給料は入って来るからだ。その給料も生活費で無くなるけど。
 貯蓄も無い、恋人もいない、夢も無い。
 そんな俺でも願うくらいはいいじゃないか。
 ほら、街の明かりが星空みたいに頭上いっぱいに光って——光って?

「きゃあああっ!」

 甲高い悲鳴と衝撃。俺の視界は上下逆さまで、次第に赤く染まっていく。
 そっか、歩道橋から落ちたのか。
 他人事のように思った直後、視界がブラックアウトした。


 ◆


「ってなワケで気付いたらこの世界にいたんだ!」
「へぇ、お前面白い話をするな。冒険者じゃなく物書きになった方がいいんじゃないか?」
「ちげーよ、作り話じゃねぇ! ホントだホント!」

 古びた石の通路に俺達2人の声が響く。
 なんということでしょう、現代日本で歩道橋からの転落事故(過労により帰宅途中で足を滑らせて転倒)により死んだはずの俺は、異世界に転生してしまったのです!
 よくある小説とは違って世界観説明をしてくれる神様とかは経由していないが、多数の種族が暮らす剣と魔法の世界となれば何となく雰囲気は掴める。しかも初期位置はそれなりに栄えている街の冒険者ギルド前という好立地だ。
 幸い言葉も通じたのでまずはギルドの人に一文無しで住む場所も無いから住み込みで働かせてくれと泣き付き雑用の仕事をゲットした。そして街を探索したり聞き込みをしたり自主トレをして冒険者試験にも合格、幾つかの簡単なクエストもクリアした。
 元の世界ではブラック業務に追われて何の気力も無かったが、ここにはゲームを体験しているかのようなワクワク感が毎日あった。
 そして仲間と共にやって来たのがこのダンジョン。
 少し開けた場所に出ると、焚き火をしていた数頭のゴブリンがこちらに気付いて武器を構える。

「よっしゃ、今度も頼むぜ」
「おうともよ」

 本日の仲間は狼系獣人の戦士ファイター斥候レンジャー系スキルも習得していて、主に両手に持った短いナイフを使った素早い攻撃を得意としている。
 対する俺は分類上は魔法使いウィザードということになっているが、炎や雷といった攻撃系魔法は全く使えない。代わりに使えるのが——

「《視覚遮断ブラインド》! ついでに《聴覚遮断サイレンス》!」
「ゴブッ、ゴブゴブッ!?」

 俺が両手を広げて叫ぶとゴブリン達は一斉に足を止めて周囲を見回し始める。そしてそれぞれが身勝手に動き回り、お互いの武器が当たっては吼えながら攻撃しだした。その混乱に乗じて味方のナイフも煌めく。
 俺がこの世界で得た、どうやら独自らしいスキルがこの《感覚遮断》の魔法だった。視界に入る相手の感覚を任意に選択して奪い取れるというメチャクチャ強力な魔法だ。五感はもちろん、痛覚や疲労なんかもシャットアウトできる優れものである。
 ただ逆に言えば俺はこれしかできない。元の世界でも体力だけはあったのでどれだけ運動してもなかなか疲れないが、足はそんなに早くないし腕力も平均的。武器も素人でも扱いやすい長さのブロードソードと色々使えるナイフが1本という貧弱さだ。
 冒険者としてひよっこで非常にピーキーな性能の俺を、それでも誘ってくれる奴がいるのには理由がある。
 それはこのダンジョンの特性だ。

「……よし、終わったな。数が少なくてよかった。魔力の残りはどうだ?」
「そこそこ余裕はあるかな。帰るまでは保つと思う」
「何事も無ければな」
「フラグ立てんなって」
「フラグ? とは何だ?」
「うーんと、不吉なこと言うなって感じ」

 現代語の一部はさすがに通じないか、というのは置いておいて。
 俺は血みどろになって倒れているゴブリンから装飾品を剥ぎ取りながら(これらはまとめて売ると結構いい金になる)、彼らの勃起したままのペニスをちらりと見てすぐ視線を外した。
 ここは淫靡の迷宮と呼ばれている。現代人にもわかりやすく言うとエロトラップダンジョンだ。
 何でも異常性癖を持った古い大魔道士が生命エネルギーを吸収する為に建築した迷宮らしい。生命エネルギーは生物が命を落とした時の他、性的絶頂の瞬間に放たれているらしく、つまりこのダンジョンは宝物で冒険者を誘い込み、捕らえてはありとあらゆる手段でイかせようとしてくるのだ。
 ゴブリンも元々生殖本能が旺盛だがここでは輪を掛けてヤバイ存在になっている。本来なら同性の生物は殺害して食らうのだがこのダンジョンでは見境無く犯してくる厄介な存在だ。他にも恐ろしい存在がうようよいる。

 さて、このダンジョンで俺が引っ張りだこな理由がおわかり頂けただろうか。
 そう、俺の《感覚遮断》魔法は性的な感覚もシャットアウトできる。
 従来なら捕まって快楽漬けにされたら為す術が無いのだが、俺のスキルがあれば抵抗可能。更に相手の感覚を奪うことで反撃の可能性も高まるのだ。
 実際帰還率の高くないこのダンジョンにおいて、俺は帰還率100%、しかも他者の救援などではない完全成功を何度も成し得ている。
 褒美が豪勢でなければ危険なダンジョンに踏み入る者はいないだけあってここで手に入るアイテムは高価な物ばかりなのだが、これまでの探索で俺はかなりの財を手に入れた。
 一見すればただの革鎧や剣も、実は魔法のエンチャントにより防御力や攻撃力のボーナスが付いている。俺は俺がそんなに強くない代わりにそれ以外を強化することに成功したのだ。
 広大なダンジョンの全てを踏破したわけではないが潜る度に探索は進んでいて、情報を買いに来る奴もいる。ほとんどは同じく攻略を目指す冒険者だが、物書きがネタの参考にさせてくれと取材に来た時は笑ってしまった。
 ちなみに他のクエストに行こうと誘われたこともあるが何となく怖くて大して行けていない。俺はシティアドベンチャーやドラゴン退治なんかより、俺が必要とされてそこそこ見知った迷宮を巡る方が好きだったのだ。

「……あれ、あんな道あったか?」
「ああ、あるけど行ったことはねぇな。……行ってみるか?」

 今回も高く売れそうな宝石を宝箱から発見し、帰路に着いていた最中。もう少しで出口というところで、仲間が分かれ道を指差した。
 行きでは死角になっていて見えないし深層を目指すぞと息巻いているので忘れがち、いつも帰りに気付くが帰還を優先して通過してしまう道だった。入口付近で探索の穴があるのは何か気持ち悪いから見てみたいのだが。
 どんな迷宮でもそうだが、強い冒険者は常に事態を楽観視しない。「帰ろう、帰ればまた来られるから」の精神をこれまでの仲間達は持っていたから行こうと提案してもいつも却下されていた。
 だが今回初めて組んだ彼はどうやら好奇心が旺盛すぎるらしい。そっと分かれ道で先を覗き込み、パタパタと尻尾の先が落ち着きなく揺れていた。
 これ、迷ってる。もう少し押したらいけそうだ。

「うーん、気にはなるが一旦帰ってからでもいいんじゃ……」
「ちょっと先を見るぐらいよくね? 意外と近くに宝があるかもしれねぇぞ?」
「それで死んだら元も子もないだろ」
「大丈夫だって。俺の魔法もまだ使えるし、お前の《罠探知トラップセンス》のスキルは高い。危なかったらすぐ戻ればいいさ」
「……そうか? じゃあ少しだけ……」

 やった。そう言って奴は道の先へとそろそろと歩み始める。
 実際彼はこれまでソロ中心で色々なダンジョンを巡って来ただけあって、ここまでも多くの罠を見抜いて発動させずに回避したり解除したりしている。俺の魔力が温存できているのもそのお陰だ。
 とは言え緊張はどうしたってする。真っ直ぐな通路は人1人が通れる幅しかなく薄暗い。ただダンジョン全体がそうなのだが、天井のそこかしこが薄らと光っており松明無しでも何とか行動はできる。
 それでも目を凝らし物音に注意しながら進むこと暫し。途中で90度曲がった先に小部屋があった。
 正面には古い宝箱があるが既に開いている。中身は部屋の入口からは見えない。

「行き止まり……だな。罠は?」
「見たところ何も無い。後はその宝箱だが……」

 仲間がじりじりと部屋の中に踏み込み、宝箱に近付いていく。
 これ見よがしに冒険者を誘っているだけあって一番罠が仕掛けられやすい場所だ。蓋が開いているのも油断させる気なのかもしれない。それか、別の冒険者が中身を持ち去った後だろうか。
 とにかく俺も後に続きながら、2人でその中を覗き込む——!

「…………何も無いな」
「マジかよ」

 宝箱は空っぽだった。中の埃の積もり具合から見て開いてから相当時間が経っているらしい。
 罠の方も無く、仲間と顔を見合わせて肩を竦める。見るからに何かありそうだったのに拍子抜けというのはこのことか。考えてみれば入口付近なら誰かが既に探索していてもおかしくないのだが、これまで来ていなかった分期待が膨らんでしまっていた。
 俺達はほぼ同時に落胆とも安堵ともつかない溜息をつく。メチャクチャ緊張したのに警戒して損した。これならせめて魔物でも出て来てほしかった。

「じゃあ帰るか」
「そうしよ」

 そうして2人で通路に戻り、曲がり角を再度曲がった直後。
 身体が宙に浮いた。

「————え」
「チィッ!」

 こういう時の反射神経はやはり差が出る。俺が愕然としながらただ落下する一方で仲間は後方にジャンプして無事な床に着地する。「掴まれ!」と伸ばされた手を掴みに行くことすらできなかった。彼がどんどん頭上に離れる。
 床が開くという典型的落とし穴。発動のキーは一度小部屋に入ってから再度通路の床を踏むことだったか。一度通った道だったから2人共完全に油断していた。
 終わった。俺は恐怖で落下先を見ることもできずギュッと身体を丸める。だが走馬灯が巡るより早く、べちゃっと重く濡れた音と柔らかな感覚が背中にあった。
 見れば先程と同じような大きさの小部屋の床全体がうねっている。いや違う、これは——
 触手だ。濃さが様々なピンク色をした数多の触手で埋め尽くされた部屋に俺は落ちたのだ。

「《触覚遮断ラップアップ》! ……典型的だなオイ!」
「大丈夫か、すぐ助ける! ちょっとの間我慢してろ!」

 触手は早速新たな獲物の四肢に絡み付いて来る。頭上からの声が聞こえるまでもなく、自分自身に魔法を掛けた。
 落下した先が針の筵とかシンプルに硬い床でなくてよかった。即死を免れたばかりかこれぞエロトラップダンジョンという仕掛けなら俺のスキルの出番だ。この魔法があれば俺は強い。
 太さも形状も様々な触手はぬとぬととした液体を纏っていて、それが触れた所が軽くピリピリする。この感じ、やっぱり触覚だけを封じてもダメっぽい。

「《性感遮断アセクシャル》! 早くしてくれよ、長居したくない!」
「ああ!」

 これらの魔法は使用している間ずっと魔力を消費し続ける。
 魔力っていうのは……説明するのが難しいんだが、身体の中にそういうタンクがあって、そこが空っぽになると魔法が使えなくなる。感覚的に残量がわかるんだが、今は残り3分の1って感じだ。
 自分に掛ける分には魔力消費量は大分少ないから数時間は保つだろう。仕方無い、助けが来るまでこの状態で待とう。
 だが何も感じないとはいえ、四方八方がウネウネしている空間はまず目が回りそうだ。
 触手は獲物が妙に元気なことに違和感を抱いているのかいないのか、四肢に大量に巻き付いて動きを止めようとする。服の中にも容赦無く忍び込んで来るが、動ける範囲でナイフを引き抜くと切り裂いた。
 飛び散る体液で服が濡れて重くなるが気にしてはいられない。量から言って全滅させるのは困難だろうが責め苦を軽減できれば御の字。与えられる性感は小さければ小さい程魔法の魔力消費量も低く済むのだ。

「……っく!」

 だが多勢に無勢。袖口や襟首、服の裾を引き摺り出して隙間から触手が何本も内部に侵入して来る。下半身も例外ではなく、どこかを斬っている間に別の場所に巻き付かれる。
 耳や口、脇の下や脇腹、乳首や股間、尻の穴や足の裏。いつしか全身で触手が蠢き、体液塗れになった状態は感覚遮断が無かったら大変なことになっていたろう。既に何度も絶頂していたに違いない。
 触手は前の世界で見たエロ本に登場した通りの醜悪な見た目をしている。吸盤を持つ物はあらゆる肌に吸い付いてキスマークのような後を残し、粒々の突起がたくさん付いた物は乳首や竿、亀頭を包んで音を立てながら捏ねる。それでも全く快楽は無いし触られているという感覚すら希薄なのだからスキル様々だ。
 とはいえ視覚的には全身を触手に犯されているので気分が良いものではない。俺は最早闇雲にナイフを振っていたが、太い触手に巻き付かれて力負けしている最中にそれも奪われてしまった。剣も腕を拘束されている間に鞘ごと外されて部屋の隅の方に運ばれてしまう。
 触手は随分賢かった。エンチャントされた防具は壊せないと悟ると器用に正規の方法で外していく。人間が着込んだり外したりする物である以上、それをされたら脱げてしまうのは当然だ。
 他に着ていた服も同様に奪われていき、俺の裸体が触手の海の中で晒される。そうして初めて俺は自分の身体が変えられつつあることに気付いた。

「え……や、やめろ……! 《痛覚遮断ペインキラー》!」

 何も感じないながらに捏ねられ続けて赤く膨らんでいる乳首に、鎌首を持ち上げた触手がゆっくりと迫る。その先端には細い細い針が煌めいていて、暴れようとしても両腕は頭上に固定されているし両足は無様に大股開きになっていた。
 これ、ヤバイかも。今更気付いてももう遅かった。
 針が左右の乳首に同時に刺さる。何とか痛みの遮断が間に合ったお陰で何も感じないが、だからこそ恐ろしい。針が細いせいか血は一瞬滲んだだけで塗りたくられる粘液に紛れて以後見えない。
 それよりも何か投与されたのだろう、見る間に乳首が乳輪ごと発情した女性のもののようにピンク色に大きく膨らむ。男として恥ずかしい見た目になってしまった部分に触手が絡み付く様子は目に毒だが自分の視界を奪うわけにはいかない。捏ねて潰されて擦り上げられる動きでどれだけの快楽を得るのか想像しただけで恐ろしい。
 そして針を持つ触手は下へと降りていく。臍と亀頭と裏筋、2つの陰嚢にそれぞれ注射をすると、もう完全な無感覚ではいられなかった。

ゴロゴロ……グルグル……!
「っはぁっ……! なん、だこれ……!」

 腸が激しく動いて音を立てる。下っているという感じではないが、何かに反応しているのは間違い無い。
 同時に性感が無いはずなのにみるみる性器が勃起し特に先端が疼く。ズクズクと煮立ったような感覚があるのはその下、大きく膨れている袋は勝手に大量の精子を生産し始めていた。
 見るも無惨な姿になっても俺は助けを待つしかない。仲間は一旦上へ上がっており姿が見えないが、それは逆に好都合だった。後で見られてしまうにせよ、その時間は短い方がいい。

 実のところ、こんなにはっきりと罠に引っかかったのは初めてだった。これまでも発動はしたがスライムに埋もれかけたり血気盛んなワーウルフに舐められ犯されかけたりしたが、感覚遮断を駆使して仲間と共にからくも難を逃れている。
 大丈夫、今回も魔法は正常に働いている。これだけされても耐えられるなんて逆にすごいじゃないか。俺はそんなことさえ思っていた。危機的状況から目を逸らしたい心理がとかは考えたくない。
 ——だから俺はこのスキルの落とし穴に気付いていなかった。
 触覚が遮断されるのは全身。それは内臓も例外ではない。そして触れられてもわからないということは、俺から見えない部分で身体に何かされていても気付かないということだ。
 何だか尻に違和感がある。そう思った時にはもう遅かった。
 ボゴッ、と。触手に巻き付かれていた俺の下腹が歪に膨らむ。何が起こったかすぐにはわからなかったが、その膨らみが動き回る様子は触手と同じだとわかると全身から血の気が引いた。

「ひっ……ッ!」
ゴロゴロゴロ! ギュルギュル!

 いつの間にか俺の尻穴に触手が入り込み、中を犯しまくっていた。
 ゴツゴツとして幾つも突起物の付いた長い触手は奥まで進み、結腸をも通り越して腹を波打たせながら内壁を擦る。内容物をかき混ぜ、自らの粘液を塗りたくる合間、連動して勝手に動く腸が不気味な音を立てる。
 入口付近では細い触手が束となって前立腺を裏側から時に揉み解し、時に突き刺すように押し込み、時にフェザータッチで摩る。
 それ以外のあらゆる部分も丁寧に嬲られ、孔は大量の触手を咥え込み限界まで拡げられていたが俺には「何かされている」という薄らとした感覚しか無かった。

「早く……なぁ、早、……ッ!」

 もしこの状態で感覚遮断魔法が切れたらどうなるのか。
 考えただけでゾッとする想像に俺は切羽詰まった悲鳴を上げた。だがそれも口の中にまで触手が入り込んで来て尻切れトンボになる。
 触手は妙に甘ったるく、舌を絡め取ると同時に口内を蹂躙する。やがて口の中いっぱいにその甘さが広がると息苦しさもあって思わずその粘液を飲み込んだ。
 呪文ひとつで魔法は発動するが、逆に言えば声を出せなければ発動できない。溺れたように感じるのは耳に侵入した触手が激しく動き回り、ヌチャヌチャと粘った水音を響かせているせいもあった。
 でも大丈夫だ、まだ耐えられる。苦しさと屈辱で涙が滲み視界が暈けるも、俺は自分にそう言い聞かせた。
 だって魔力はまだある。先程のペースなら全然……——え?

「んっ……ンーッ! ンーッ!」

 数多の責め苦に気を取られていて自分の魔力残量に気付いていなかった。
 遮断している対象が強く、多ければ多い程魔力消費は増える。触手に全身を弄ばれ、作り替えられた身体はそれに耐える為に加速度的に魔力を使っていた。
 残りの魔力はもう僅かだった。数分……いや数秒しか保たないだろう。回復するには魔法薬を飲むか充分な休息を摂るぐらいしかなく、現状では当然どちらも望めない。こうしている間にも目に見えて減っていく。
 必死に暴れても触手の1本も振り払えない。だが頭上では幾本ものロープが下り、仲間以外にも数人の顔が穴から覗く。途中で合流した別パーティだろう、救出を手伝ってくれるようだ。

「待ってろ、今行くからな!」

 心強い声もロープを伝って下りて来る姿もずっと待ち侘びていたはずなのに。
 見ないで、という言葉を声にすることもできなかった。
 魔力タンクがゼロになり、全ての魔法が解ける。

「————ッッ!!!♡♡♡」
ブッシャァァッビュルルルルルルビクビクビクッ!

 その瞬間、俺の全身が弾けた。
 雷に打たれたなんてものではない。そのまま死ななかったのが不思議な程の快楽がいっぺんに襲いかかったのだ。
 意識は真っ白になり、ただ気持ち良いという感覚だけが存在する。
 100回同時に射精したかのような大量の白濁液を噴き上げた後も、延々と絶頂は続いた。

「ァッ……♡ ……ッ♡ ゥ、ッぐ……♡」
ブジャーッ! ビクンビクンッ! ブシュッ!

 声すらまともに出せないまま、全身を痙攣させて無意識にヘコヘコと腰を揺らしながら何度も射精する。
 本来一時に出せる精液には限度があるはずだが、握り拳程の大きさに肥大した股間の袋は煮え滾るような衝動と共に次から次へと精子を作り続け、そこを揉み解す触手に押し出されるように先へ進む。限界まで勃起しきった竿は腹に着きそうな程持ち上がっており、これまた絡み付く触手がその粒で裏筋や膨らみ切った亀頭を擦り上げるまでもなく白濁液を噴出して腹を汚した。
 その腹の内部はと言えば、凄まじい勢いで触手が体液を吐き触手自体と相俟ってぽっこりと膨らんでいる。その状態で触手が暴れる度に雷鳴のような激しい音と条件反射的な強烈な便意が襲うが、みっちりと尻に触手が詰まった状態では何も出せない。

ゴロロロロ! ギュルルルル!
「ぅあ、ださ、出させてっ……! あっ、あ゛ーッ♡ んん゛ん゛ン゛ン゛ッ♡」
キュゥゥゥンガクガクガクブシャッ!

 懇願虚しく代わりに前立腺をドスドスと突き上げられ、切ない声を上げながら後ろでの絶頂も得る。尻穴を強く締め上げると同時に腰が震え、その後身体が弛緩すると漏らすように白濁液を垂れ流した。
 何処を触られても性感帯となっているが、特に乳首は顕著だった。神経が直接露出したかのように敏感で、先程の粒々の触手に擦り上げられるのはもちろん、吸盤に吸い上げられたり先端が硬い触手に弾かれたりするだけで軽く達してしまう。

「あぁンッ♡ あ゛ッ♡ イぐっ♡ お゛っ♡」
ドチュッドチュッ! グチュグチュバチュンバチュンドゴッ!
「ぇあ゛あ゛あ゛っ♡ ケツ、こわれ……おっごぉっ♡」

 呼吸すらままならないほど気持ち良い。触手が触れている部分はもちろん、そうでない肌も空気の流れがぶつかるだけでゾクゾクと鳥肌が立つ。手や足の指をギュッと握り締め、背を弓形にしてもう何度目かわからない絶頂に至る。
 自分が出しているものだと信じられないぐらいのすっかり雌じみた嬌声と醜く濁った喘ぎ声が入り混じる。
 激しい水音が全身で起こり、極太の触手が高速でピストンを始めると意識が明滅する。突かれる度に腹が膨らみ、引き抜かれる度にビチャビチャと中身を漏らす。尻穴の縁も腸壁も熱く溶けてどうなっているのか最早わからず、前立腺もそうでない所もごちゃ混ぜになってただただ快楽だけがある。目一杯拡げすぎて痛みもあるが、それもスパイスのようなもので気持ち良いことに変わりはなかった。
 もし性感を防いでいなかったら、度重なる責め苦に耐え切れず途中でショック死していたかもしれない。だが幸か不幸か充分に開発を施された身体は限界を超えてなお辛うじて生きていた。
 それでももう少し救援隊が下りて来るのが遅かったら手遅れになっていたかもしれない。……いや、現状でももうある意味手遅れか。

「……おい、大丈夫か!?」

 数多の武器と魔法が閃き、触手を次々葬っていく。最初は新たな獲物かと息巻いていた触手も、人数の多さに形成不利と悟ったか壁と床の小さな隙間に潜り込んで逃げて行った。
 後に残ったのは夥しい触手の死骸と甘い香り、そして全身をドロドロにした——俺。
 尻から触手が引っこ抜かれるとぽっかり空いたままになる穴から全ての中身を垂れ流し、肌に吸い付いていた触手が引き剥がされる度に気持ち良いが寂しいと思ってしまう。
 もっとイきたい——意識を失う前に過ぎったのはそれだけだった。


 ◆


「……お前ら、あのダンジョンへ行くのか? だったら俺も連れて行ってくれよ」

 冒険者ギルドで何やら相談していた2人組に声を掛ける。
 どれだけ被害者が出ようとも、お宝に目が眩んだ連中は後を絶たない。帰って来ない奴も相当いるが、中には途中で負けて救出される奴もいる。
 そういう奴らの末路は大体3つしかない。
 心身がぶっ壊れて鍵の掛かる病院で一生世話になるか、娼婦や男娼になるか、あるいは——

「俺は感覚遮断の魔法が使える。敵の動きを封じる他に、いざという時逃げる余裕を作ってやるよ。……そ。気持ち良くなって何もできなくなるのを防いでやるのさ。それにもう何度も潜ってるんだ、一部なら道案内もしてやるよ」

 ——あの時の快楽が忘れられず、もう一度ダンジョンへ向かうか。

「どうだい、報酬はちゃんと帰れた時だけでいいし、それに万が一の時は俺を置き去りにしていいぜ。悪くない話だろ?」

 俺の下半身がまた疼く。
 俺を満足させられるのはもうあのダンジョンにしかない。肥大化したままの陰嚢は精子を山程作るが大量の夢精にしかならず、乳首や竿はちょっとした刺激ですぐに勃つのにどれだけ弄っても射精には至らず、尻穴は指を突っ込んだり普通の男に掘られても絶頂できない。
 だから1人でもダンジョンに潜りたいところだが、そのまま死にたいわけではないから適度に仲間はいた方がいい。
 一部の手練れには俺のことが噂になっているが、どうやらこのルーキー達はそれを知らないらしい。良かった、助かるなんて言って喜んでいる。
 田舎から出て来たばかりだろうか、若くてまだ可愛げが残っている青年達だ。ゴブリンかオークの巣辺りに案内するのもいいかもしれない。俺はオナホみたいに扱われたいが、こういうキラキラした若者が魔物のオモチャになる姿を見るのも好きだ。
 おっと、もちろんこれはあくまで妄想であって無事に帰れるのが一番。モルフォ蝶の鱗粉やアルラウネの花粉を吸い込んで帰還後に勃起が治らなくなり3Pぐらいが丁度良いか。俺の身体が満足しきれるものではないだろうが何も無いよりはマシだ。

「OK、じゃあ交渉成立だな。一緒に頑張ろうぜ」

 俺達は固い握手を交わし、ダンジョンへ向かう。
 果たして次は何が待ち構えているのか、俺の胸は高鳴っていた。
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