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「どうです?まだ痛みますか?」
「大丈夫…触らなければ痛くない」
「大切なあなたを怪我させてしまったこと、もう一度謝ります。申し訳ごさいませんでした。俺にはどのような罰を…」
「罰は与えない。部屋を飛び出した僕が悪かったんだ。リアムに会ったところで、どうしようもないのに…」
「フィル様…」
ベッドの端に座って俯く僕の隣に、ラズールが座る。そして僕の肩を抱き寄せて、頭上から優しい声を出した。
「腕と足首に塗った軟膏はよく効きますので、二日ほどもすれば腫れは引きます。ですがその二日は、できれば安静にしていただきたい」
「ずっと寝てればいいの?」
「それが望ましいですが。しかしそうもいかないでしょうから移動の時は俺が抱えます。遠慮なく命じてください」
「そうだね…おまえのせいなんだし」
「そうです、俺のせいです。痛みを感じる度に俺のことを思い浮かべてください」
「ふふっ、なにそれ…変なの」
僕が笑いながら顔を上げると、ラズールが目を細めてこちらを見ていた。あまりにも愛おしそうに見てくるから、恥ずかしくなって目を逸らす。
ラズールは、僕が生まれた時から傍にいて、ずっと世話をしてくれている。だからか僕を主というより弟のように思ってくれてるんだと思う。でも、家族にも向けられたことのない目で見つめられると、どう反応すればいいのかわからなくなる。
ラズールが包帯の巻かれた僕の腕に触れながら、低く名前を呼ぶ。
「フィル様」
「なに?」
「安静にしなければならないのですが、本日は女王としての最初の仕事をしていただきます。よろしいですか?」
「いいよ。領地の見回り?税収の見直しとか?」
「それらは追い追いに。我が国は先日前王が逝去され、王の交代という大変な時期です。そのような時に大変迷惑なのですが仕方ありません」
「だからなんのこと?」
ラズールは一旦口をつぐみ、顔を近づける。
「…バイロン国の第二王子への対応です。このまま追い返すわけにはいかない。かといって臣下達が相手をするわけにもいかない。相手は王族ですから、あなたが直接お会いして、弔問に来られた礼を述べなければいけません」
「会う…の?リアムに…?それは…王子としてではなく…」
「もちろん、フェリ様としてです。役目を果たせますか?」
僕は胸を押さえて俯いた。
手のひらに大きく脈打つ鼓動の振動が伝わってくる。
リアムに会えることは嬉しい。すごく嬉しい。だけど僕は姉上のフリをしないといけない。好きだという気持ちを出してはいけない。愛する人を前にして、僕は冷静でいられるの?
「言い方を間違えました。果たせますかではなく、果たさないといけません。あなたはもう、この国の女王なのですから。隣国の王子は我が国の双子の秘密を知っています。フィル様、心を惑わされぬように。それでは俺は食事と着替えを持ってきます。その間に気持ちを切り替えてくださいね」
「…わかっ…た」
ラズールが立ち上がり離れて行く。
扉が閉まる音を聞いて、僕は深く溜息をついた。
「大丈夫…触らなければ痛くない」
「大切なあなたを怪我させてしまったこと、もう一度謝ります。申し訳ごさいませんでした。俺にはどのような罰を…」
「罰は与えない。部屋を飛び出した僕が悪かったんだ。リアムに会ったところで、どうしようもないのに…」
「フィル様…」
ベッドの端に座って俯く僕の隣に、ラズールが座る。そして僕の肩を抱き寄せて、頭上から優しい声を出した。
「腕と足首に塗った軟膏はよく効きますので、二日ほどもすれば腫れは引きます。ですがその二日は、できれば安静にしていただきたい」
「ずっと寝てればいいの?」
「それが望ましいですが。しかしそうもいかないでしょうから移動の時は俺が抱えます。遠慮なく命じてください」
「そうだね…おまえのせいなんだし」
「そうです、俺のせいです。痛みを感じる度に俺のことを思い浮かべてください」
「ふふっ、なにそれ…変なの」
僕が笑いながら顔を上げると、ラズールが目を細めてこちらを見ていた。あまりにも愛おしそうに見てくるから、恥ずかしくなって目を逸らす。
ラズールは、僕が生まれた時から傍にいて、ずっと世話をしてくれている。だからか僕を主というより弟のように思ってくれてるんだと思う。でも、家族にも向けられたことのない目で見つめられると、どう反応すればいいのかわからなくなる。
ラズールが包帯の巻かれた僕の腕に触れながら、低く名前を呼ぶ。
「フィル様」
「なに?」
「安静にしなければならないのですが、本日は女王としての最初の仕事をしていただきます。よろしいですか?」
「いいよ。領地の見回り?税収の見直しとか?」
「それらは追い追いに。我が国は先日前王が逝去され、王の交代という大変な時期です。そのような時に大変迷惑なのですが仕方ありません」
「だからなんのこと?」
ラズールは一旦口をつぐみ、顔を近づける。
「…バイロン国の第二王子への対応です。このまま追い返すわけにはいかない。かといって臣下達が相手をするわけにもいかない。相手は王族ですから、あなたが直接お会いして、弔問に来られた礼を述べなければいけません」
「会う…の?リアムに…?それは…王子としてではなく…」
「もちろん、フェリ様としてです。役目を果たせますか?」
僕は胸を押さえて俯いた。
手のひらに大きく脈打つ鼓動の振動が伝わってくる。
リアムに会えることは嬉しい。すごく嬉しい。だけど僕は姉上のフリをしないといけない。好きだという気持ちを出してはいけない。愛する人を前にして、僕は冷静でいられるの?
「言い方を間違えました。果たせますかではなく、果たさないといけません。あなたはもう、この国の女王なのですから。隣国の王子は我が国の双子の秘密を知っています。フィル様、心を惑わされぬように。それでは俺は食事と着替えを持ってきます。その間に気持ちを切り替えてくださいね」
「…わかっ…た」
ラズールが立ち上がり離れて行く。
扉が閉まる音を聞いて、僕は深く溜息をついた。
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