銀の王子は金の王子の隣で輝く

明樹

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「待ってください。話の内容が衝撃すぎて頭の中が整理できない…」

 レナードが僕に手のひらを見せ、もう片方の手で口を押さえてブツブツと言う。

「待てない、時間がない。結論を言うと姉上は病が再発して死んだ。助けようとした僕の目の前で。この国は女が王でなければならない。でも王女は死んだ。ならば王族の血を引き王女とそっくりの僕が、王女のふりをして王になるしかないと決まった。ずいぶんと昔に、男が女のふりをして女王となった例があるらしいよ。これでわかった?僕の名はフィルだけど今はフェリという名の王だ。国が混乱するから誰にも話してはダメだよ。まあレナードはそんなことしないとわかってるけど」
「…かしこまりました。この戦いが落ち着き城に戻りましたら、もっと詳しく聞かせてください。あなたにとって、あまりにも無茶な話しだ…!」
「レナードは人柄も優しいね。おまえなんか偽物だ、王じゃないって怒ってもいいのに」
「怒りません。腹など立っておりません。あなたが女だろうが男だろうが、俺はついて行きます。あなたは王たりえる人物ですよ」
「…そう思ってくれるんだ…ありがとう」

 ホッと息を吐いて顔を上げると、レナードの背後からトラビスが大股で歩いてくる姿が見えた。

「トラビスが痺れを切らしたみたい」
「えっ?」

 レナードが慌てて振り向く。そしてトラビスの姿を認めると、急いで走り寄る。二人が短い会話を交わした後に、レナードが兵団に向かって走っていった。
 代わりにトラビスが歩いてきて僕の前で止まる。少し拗ねているように見える。 
 僕は背の高いトラビスを見上げて謝った。

「ごめん…長かった?」
「長いです。二人でどんな話を?」
「どんなって…僕がフェリの弟で今は姉上の代わりをしているという話を…」
「最後、レナードがあなたに向かって手を伸ばしかけてましたが?あれはどういう?」
「え、そうだった?」

 首を傾げる僕に向かって、トラビスが大きく息を吐き出した。
 僕はトラビスの横をすり抜けながら睨む。
 トラビスが素早く僕の隣に並んで歩きながら「なんです?」と聞いてきた。
 
「ラズールもだけど、おまえもうるさい」
「俺が?ラズールと一緒にしないでください」
「僕が誰とどんな話をしようと勝手だろ。ちゃんと考えて話してるから余計なことを言ったりしない」
「わかってます。…これは俺の気持ちの問題です…すいません」
「…やっぱりおまえとラズールは似てる。前にラズールもそんなことを言ってたよ」
「まあ…そうですね。俺とラズールは同じ気持ちですから。不本意ですが」
「…おまえがなにを言ってるのかわからない。もういい、気持ちを切り替えろ。作戦通りにいくぞ」
「はい。ただ無茶はしないでくださいよ」
「…状況による」
「フィル様!」

 僕はトラビスの脇腹を殴った。痛くも痒くもない程度の力だ。こいつはうるさい。僕のことを心配しての発言だとわかってるけどうるさい。昔は僕のことを煙たがっていたのに、今はどうしてこうも絡んでくるのか。

「今より私語は慎め。出陣だ」
「はっ!」

 僕の言葉にトラビスの雰囲気が変わる。周りの空気までもが変わる。さすが若くして将軍にまでなっただけはある。
 僕も自分の配置につく。
 前列の中央の位置で馬に乗ったレナードが号令をかけた。
 











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