銀の王子は金の王子の隣で輝く

明樹

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「そこまでですクルト王子。それ以上は、バイロン国の品位を落としかねません」
「ゼノ…リアムの飼い犬めが」

 ゼノが静かに言葉を発した。
 それに対し、クルト王子がゼノを睨みつける。
 ゼノが僕に向かって頭を下げる。

「第一王子の数々の暴言をお許しください。フィ…フェリ様には辛い事情があるとお察しします。そしてリアム様は、あなたのその姿を見たとしても、心変わりは致しません。幼い頃よりお傍で仕えてきた俺には、わかります」
「…ありがとう」

 僕の声が震えた。
 ゼノの優しい言葉が嬉しかった。
 ゼノは小さく頷くと、入口に向かい「ジル」と声をかける。そして誰かと二言三言話してこちらを向く。

「何をしている」

 クルト王子が、厳しい口調でゼノに問いただした。
 天幕の外で、大勢が移動する足音がする。
 ゼノはクルト王子の隣に来ると、地面に膝をついた。

「フェリ様、外にいる全てのバイロン兵を引かせました。ここには我々三人しか残っておりません」
「おまえっ!勝手なことをするなっ」
「クルト王子、あなたを守るためです。条件をのまなければ、あなたはここで殺されてしまいます」
「だからそうなる前に、こいつを殺そうとっ」
「クルト王子、これ以上醜態をさらさぬように願います。こちらの女王は、あなたより若いのに立派ではありませんか」
「男装して捕虜に化けて他国に潜入するような王が立派なものか!」

「ああ…」と思わず僕の口から息がもれた。
 そうか。捕虜としてバイロン国にいた僕のことに気づいていたのか。
 しかし男だとは気づいていないようだ。
 僕はクルト王子から離れて椅子に座る。背中のボタンは、いつの間にかラズールがつけてくれている。
 僕は音を立てて扇子を開くと、口元を隠した。

「王子は気づかれていましたか…」
「銀髪を隠して地味な姿をしていたが、俺は気づいた。あの時は逃げられて悔しかったぞ」
「逃げるのに苦労しましたよ。危うく死にかけるところでした」
「そのまま死んでいれば、簡単にイヴァルが手に入ったものを。残念だ」
「そう簡単には渡せません」
「しかし貴様以外に後継者がいないと聞いているが」
「…いますよ」
「嘘をいうな。バケモノの言うことは信用できぬ」
「あなたとは、まともな会話ができそうにありませんね。トラビス、クルト王子はおまえの天幕で監禁するように。ぼ…私はレナードの天幕に行く。ラズール、そこの二人を連れて来て」
「かしこまりました」
「はい」

 トラビスとラズールの返事を聞きながら天幕の外に出て、近くにいた騎士二人にトラビスと共にクルト王子を見張るように命じる。
 そして途中の天幕にバイロンの騎士を預け、ゼノを連れてレナードの天幕に来た。
 
 
 

 
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