ふれたら消える

明樹

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昊 13

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 暑い。照りつける太陽も、熱が溜まったアスファルトも暑い。暑いのは嫌いだ。なのになんで、俺は今、外を歩いてるんだ?冷房の効いた快適なリビングで好きな本を読んでいたのに。たまに本から顔を上げて、青とたわいのない会話をしていたのに。なのになんで、篠山の後ろを歩いてるんだ。
 俺はだんだんと腹が立ってきた。というか、こいつが家に来た時から腹が立ってるんだけど。

「なぁ、どこに行くんだよ。帰りたいんだけど」

 篠山が足を止めて振り返る。
 日焼けした顔に、汗が浮き出ている。背が高くてスポーツ万能で、中学では女子に人気があったけど、俺は好きじゃない。青の方がかっこいい。去年の文化祭の日、仕方なくつき合うと言ったけど、終わりにしたい。こんな風に会いに来られるのも迷惑だ。決めた。もう俺にかまうなとはっきり言う。

「昊が好きそうなカフェを見つけたんだよ。高校になってから会えなかったし、久しぶりにゆっくり話そう」
「なんで」
「だって俺達、つき合ってるんだし」
「…もう別れる。つき合わない。俺は、おまえのこと好きじゃない」
「ふーん。じゃあ、あのこと青に話すよ?」
「…勝手にしろよ」

 そう言い置いて、俺は家に戻ろうとした。
 しかし腕を強くつかまれて、思わず「痛い」と声を上げた。

「なに?離せよっ」
「嫌だね。昊は俺の恋人なんだから、今からデートするんだよ。それにそろそろ、恋人らしいことしよう」
「は?恋人らしいことってなに」
「セックス」
「は?するかよボケ」
「昊は綺麗きれいな顔してるのに、口が悪いなぁ。ダメだぜ、恋人にそんな口聞いたら」
「誰が恋人だよっ。おまえとは友達でも何でもねぇ!帰るから離せっ」
「ちっ!」

 いきなり篠山が俺を建物の壁に押し付けた。そして腕で俺の首を強く押す。

「やめっ…苦し…」
「その悪い口をふさいでやるよ」

 不気味に笑って篠山が顔を近づけてくる。
 俺は両手で篠山の肩を叩き必死で足をった。だけどビクともしない。何とか顔をそらそうとするけど、首を押さえつけられているから、動かせないし息ができない。
 もうダメだと固く目を閉じた瞬間、押さえつけられていた首が楽になり、息を吐き出して目を開けた。

「こらこら、暴力反対」
「いてぇ!なにすんだよっ」

 怒鳴る篠山の腕をひねりあげて、長身の男が俺を見て微笑んだ。

 
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