ふれたら消える

明樹

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「なんか疲れた」

 首にかけていたタオルを机に置いて、ソファーにダイブした。
 駅で柊木と別れて急いで家に帰った。滝のように流れる汗が気持ち悪くてイライラする。俺はリビングの冷房を強めにして風呂場に向かった。水に近い温度でシャワーを浴び、適当に身体を拭いて裸のままリビングに戻る。かなり冷えた室温が火照った身体に気持ちいい。丁寧に身体と髪を拭きパンツをくと、力尽きてソファーに倒れ込んだのだ。

「あー快適…。やっぱ祭りまで家でゆっくりしとけば良かったなぁ」

 横目で壁にかけてある時計を見る。青が帰ってくるまであと一時間。服を着て髪をセットして…と考えてるうちにまぶたが重くなり眠ってしまった。

「…う、こう、起きて…風邪ひくよ」
「ん…」

 青の声だ…頭を撫でられている。大きな手だな…気持ちいい。でもまだ眠い…もう少しだけ…。
 俺が夢うつつでモゾモゾと動いていると、頬に柔らかい感触がした。なんだと目を開けると、青が驚いた顔で俺から離れた。俺は欠伸あくびをしながら起き上がる。そして青を見て首を傾けた。

「…おかえり。わり…寝るつもりなかったんだけど。もう時間?」
「まだ…大丈夫。俺もシャワー浴びてくるから、昊は早く服着ろよ。部屋めちゃ冷えてるし風邪ひくよ」
「わかった…てか青、さっき俺になんかした?」
「…よく眠ってたから頬をつっついた」
「おま…幼稚なことしてんなよな。俺の寝顔で遊んでたのかよ」
「無防備に寝てる昊が悪い」
「くそっ、今度し返してやる」
「いつでもどうぞ」
「生意気、早く行けよ」
「昊も早く服着て」

 青が笑いながらリビングを出ていく。大きな背中を見て俺の胸がキュンとする。
 というかキュンてなんだよ、乙女かよ。頬に感じたあの感触…一瞬キスされたのかと勘違いしたじゃねぇか…はず…。
 俺は両手で顔を軽く叩くと、着替えを取りに二階へ上がった。
 服を着て洗面所に行き髪を乾かしてセットする。ついでに歯を磨いていると、風呂場から青が出てきた。
 久しぶりに見る青の裸。まだ中学生のくせに、腹筋が割れている。その下の黒い毛におおわれたモノが視界に入り、俺は慌てて目を逸らした。

「…悪ぃ、すぐに出るから」
「別にいいよ?ゆっくり磨いてくれて」
「いや、もう終わる。おまえも急がなくていいからな」
「うん。昊その服にしたんだ?俺も同じのにしよ」
「は?ペアルックかよ」
「双子コーデって言うんだって。いいじゃん、はぐれなくて済みそう。いや?」
「嫌…じゃないけど」
「やった!あ、昊、颯人と夏樹が来たら家に上げてて」
「わかった」

 俺は口をすすいで洗面所を出た。俺はこんなにもドキドキしてるのに、青はなんにも感じてないんだな。照れる様子もなく堂々としている。まあそうか。普通兄弟に裸を見られても動揺しないか。俺は青を好きだから、こんなにも動揺する。青の身体…かっこいいな。触れて抱きしめたら、どんな気持ちになるんだろ。
 胸を押さえてリビングのドアに手をかけたその時、インターフォンが鳴って飛び跳ねた。
 


 
 
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