ふれたら消える

明樹

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 モニターを見るのもめんどくさくて直接玄関に行き扉を開けると、夏樹が笑顔で立っていた。

「よう、おまえ不用心だな」
「おまえか颯人だと思ったから開けたんだよ。外暑かっただろ。青がまだだから入れよ」
「あー早く来すぎたかも。ごめん」
「大丈夫だって。あ?」
「こんにちはぁ」

 夏樹の後ろから颯人が顔を出した。颯人は夏樹より背が低く細いから、すっぽりと隠れていたらしい。

「なんだ、おまえもいたのか。見えんかったわ」
「夏樹さんが背が高いからねっ、俺は小さくない!それよりもっ、驚かそうと思って隠れてたのに。相変わらず昊はクールビューティだな」
「何言ってんだおまえ。それにそんなことで驚くかよ。とりあえず二人とも入れ。ここは暑い」
「お邪魔します」
「お邪魔しまーす」

 夏樹と颯人が靴を揃えて玄関を上がる。
 黒シャツにグレーのズボンの夏樹と白のTシャツに紺のズボンの颯人とジャガード織りの生成りTシャツに黒のズボンの俺と。俺達は服の好みも似ているから、四人でいると気楽で落ち着ける。
 二人をリビングに通して喋っていると、着替えた青が降りてきた。
 俺は青を見て露骨に顔を歪めた。

「おまえ…マジで同じ服着んの?」
「いいじゃん。このTシャツ気に入ってるし。それに昊、嫌じゃないって言ってたじゃん」
「夏樹に颯人、どう思う?」

 本当は、青と同じであることが嬉しい。服でもペンでも同じ物を持ってると嬉しい。でも素直にそんなことは言えない。だからきっと、代わりに夏樹と颯人に「いいよ」と言って欲しかったんだ。
 夏樹と颯人が、俺と青を交互に見て頷く。

「いいじゃん。二人とも、その服よく似合ってるよ」
「うんうん、その色いいね。どこで買ったの?俺も欲しい」
「は?颯人までお揃いにすんのかよ」
「あ、それいいね。俺も買おうかな。どうせなら四人で揃えて遊びに行こうぜ」
「夏樹まで。本気で言ってる?」
「本気で言ってる」

 夏樹が笑って言う。笑ってるから冗談なのかと思うけど、こういう顔の時の夏樹は、逆に冗談を言わない。
 俺はソファーの横に立つ青を見上げて、眉間に皺を寄せた。

「青、こいつらも買うってさ」
「いいね、皆でお揃い楽しそうじゃん。これ着てどこに行く?」
「なんだよ、青も賛成なのかよ」
「うん、だって絶対楽しいと思うよ」
「まあ…そうだろうけど」
「とりあえず考えるのは後にして、そろそろ祭りに行こう」

 そう言って夏樹が立ち上がり、颯人と俺も続いて立った。
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