ふれたら消える

明樹

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 それからも昊に電話をかけ続けた。切れてはかけ切れてはかけて、まるで精密機械のように無心で動作を繰り返していると、夏樹から着信があった。慌ててタップしようとしてスマホを落とす。急いで拾ってタップして、夏樹が喋るよりも先に聞いた。

「昊に連絡取れたっ?」
「青っ、昊がヤバいかも」 
「えっ?どういうこと?」

 やめろ、何を言うつもりだ?嫌だ、怖くて聞きたくない。夏樹…頼むから昊は大丈夫だと言って。
 そんな俺の願いも虚しく、夏樹の言葉を聞いて血の気が失せる。

「昊から電話があった。明らかにおかしかった。俺に…ありがとうって言うんだよ…まるで最後の言葉みたいに」
「なにそれ…」
「すぐに折り返したけど、出なかった」
「わかった…ありがとう。昊にかけてみるっ」
「あっ、それと祖父母の家にいるって言ってたぞ。だから大丈夫かなとは思ったんだ。だけど…昊が不穏なことを言うから心配でさ。俺も昊にかけるよ。また何かあったら連絡する」
「うん」

 夏樹との電話を切り、すぐに昊に電話をかける。呼出音を聞きながら、出てくれと強く願う。だけど昊は出ない。なんでだよ。夏樹に電話したんだから、俺にもかけて来いよ。
 だんだんと腹が立ってきた。昊、何しようとしてんだよ。何一人で背負おうとしてんだよ。俺に相談しろよな。くそっ…。
 俺はスマホの連絡先から、ばあちゃんの番号を探した。そしてタップしようとした時、メールの着信音がした。慌てて見ると、昊からだった。ドクドクと鳴る心臓が痛い。震える指でメールを開く。
 青、愛してる。生まれてからずっと一緒で、幸せだった。ありがとう。父さん母さんのこと、頼むな。青も幸せになれよ。

「なれるわけないだろ…昊がいないと、なれないよ」

 スマホをソファーに置いて、顔を両手でおおい、深く息を吐き出した。
 なにこれ、最後の言葉みたいじゃん。なんでこんなこと言うの。なんで俺に相談してくれないの。
 絶望してソファーに座っていたけど、すぐに立ち上がる。まだ間に合う。昊を助けに行く。昊が死ぬというなら、俺も一緒がいい。でもできるなら、二人で幸せになる方法を考える。
 とりあえず昊と母さんは、母さんの実家にいる。駅前でレンタカーをかりて行こう。父さんの帰りを待つよりも早いから。
 俺はスマホと鞄を手に玄関へ走り、靴を履いて鍵をかけ、駅に向かって走り出した。
 しかし駅に着く前に着信がきて足を止める。母さんからだ。母さんにも連絡が取れなかったから安心した。昊が傍にいるなら、目を離さないよう頼んでおこう。そう思って電話に出た。俺が口を開くよりも先に、母さんの悲痛な声が聞こえた。
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