溺れる天使は悪魔をもつかむ

明樹

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アレンの秘密

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「おい、大丈夫かよ」
「こんなの、ルリスの怪我に比べたら、かすり傷だよ。平気平気」
「平気じゃないだろ。我慢するな」

 アレンを連れて小川に来た。
 小川の水は、学園のはるか遠くにそびえ立つ山から流れてきているからきれいだ。でも、殺菌はされてないから、傷にかけていいのか、エイルリスは悩んだ。
 アレンの胸の下辺りの服が溶けて穴があいている。顕になった肌は、真っ赤に膨れ、膿が溜まってるようだった。
 しかし、服に穴があくなんて、かなり危険なモノじゃないか?あいつ…かなりヤバいやつだな。
 そんなことを思いながら、アレンを小川の縁に座らせる。
「大丈夫だから」と笑うアレンを無視して、エイルリスは冷やすのがいいと判断した。
 アレンにハンカチかタオルを持っていないか確認する。

「アレン、ハンカチを持ってるなら出せ。俺は持っていない」
「持ってるよ。はいこれ」

 アレンが、ズボンのポケットから、くしゃくしゃになったハンカチを出した。
 エイルリスは、嫌そうにして受け取る。

「これ、洗ってるのか?」
「洗ってるよ!ポケットに突っ込んでたから汚く見えるけど、きれいだよ!」
「…まあいい。貸せ」
「はい」

 ハンカチを濡らして固く絞り、アレンに渡す。でもアレンが受け取らないので、少し苛立ちながら「おい」とハンカチを突き出す。

「早く取れよ。冷やさないとダメだろ」
「ルリスがやって」
「は?なんで」
「自分では痛くてできない。だからルリスがやって」
「おまえ、俺の怪我よりは軽いから平気だって言ってたじゃねぇか!自分でやれっ」
「えー、ルリスにやってほしいなぁ」
「ちっ」

 いつまでたってもアレンが受け取りそうにないから、エイルリスは渋々、ハンカチをアレンの胸に押しつけた。
 アレンは、ほんの少し唇を噛んだけど、穏やかな笑みは絶やさない。
 かなり痛いはずだけど、こいつ、痛みに鈍いのか?…とエイルリスはアレンと目を合わせる。そしてアレンの顔から胸へと視線を下ろし、ハンカチを外して傷を見た。
 
「ここ、火傷みたいになってないか?とりあえず小川の水で冷やしたけど、医務室に行けよ。きれいな水で洗って薬をもらってこい」
「ルリスも一緒に来てくれるなら」
「…わかった」
「ほんと?ありがとう!」

 怪我してんのに元気だな。そんなに元気なら一人で行けるだろうがよ。
 エイルリスは心の中で文句を言う。口に出して言ったところで、アレンは「一緒がいい」とごねそうだ。だから仕方なく、本当は早く図書室に行きたいのに仕方なく、アレンと並んで医務室へと戻った。
 

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