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アレンの誘い
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夏の暑さがピークに差しかかった頃、学園が長期休みに入った。
しかし、帰る家などないエイルリスは、寮に残り、勉強などをして過ごしていた。
ほとんどの人がいなくなった学園の敷地内は、静かで過ごしやすい。とても快適だ。
エイルリスは、朝から夜まで図書館にこもり、時おり庭を歩いて、ベンチでのんびりと雲の動きを眺め、眠くなればうたた寝をした。
心の内のドス黒いモノが浄化されそうな穏やかな時間だと思うが、決してドス黒いモノが消えることはない。ただ、憎い悪魔のことを考えなくて済む時間を持てた。
ある日の午後、エイルリスは、周りに誰もいないことを確認して、翼を出した。とても久しぶりに出した。
老夫婦と暮らしている時は、月に一度の頻度で出してはいたが、学園に来てからは初めてだ。
久しぶりに出した翼を見て、軽く笑う。
いつ頃からか、エイルリスの白い翼の先端に、黒い羽根が混じるようになった。初めは一枚、少し経つと二枚と増えた。最後に見た時は、十枚程度だったと思う。それが、また増えている。
いつか、悪魔のように全て黒に変わってしまうのだろうか。いつか、憎い悪魔と同じモノになってしまうのだろうか。
エイルリスは翼をしまい、深く息を吐き出して空を仰ぐ。こんなにも晴れ渡った美しい空を見ても、何とも思わない。
感動という感情は、両親と兄を失った日に消えてしまった。老夫婦と暮らしている間は、少しは喜びも悲しみも感じていたように思う。だけど今は、怒りの感情しか持っていない。
しばらく空を見ていたけど、眩しくなり目を閉じた。瞼の裏のチカチカと点滅する光が消えてから目を開けると、すぐ目の前にインディゴブルーの瞳があった。
エイルリスは、目を逸らさずに言う。
「なんだおまえ。ここで何をしている」
「エイルリスを捜してたんだ。上を向いてるからどうしたのかなと思って。寝てたの?」
「考えごとをしていただけだ。おまえ、家に帰ったんじゃないのか。なぜここにいる」
アレンが隣に座る。
俺の許可も無しに…とエイルリスが睨むけど、アレンは全く気にしていない。
「学園での生活を報告して、戻って来たんだよ」
「ほとんどの生徒は、休みが終わるまで家にいるのに、なぜこんなに早く戻って来たんだ」
「え?だってエイルリスがいるから。たくさんの時間、一緒に過ごせるじゃん」
「嫌だ。俺は一人で過ごしたい」
「えー、そうなの?じゃあさ、一日おきでいいから、遊ぼうよ」
「嫌だ」
遊ぶって何だ。遊ぶ時間があれば、勉強をしていたい。学園の勉強ではない。そんなもの、数ヶ月あれば全て終える。俺は、悪魔を倒す勉強をしたいのだ。アレンが傍にいると、できないじゃないか。
エイルリスは立ち上がると、ベンチを離れた。
しかし案の定、アレンが「待って!」とついて来る。「怒ったの?」とか「週に三日でいいから遊ぼうよ」とか「遊びが嫌なら勉強しよう?」とか、とてもうるさい。
しかし、帰る家などないエイルリスは、寮に残り、勉強などをして過ごしていた。
ほとんどの人がいなくなった学園の敷地内は、静かで過ごしやすい。とても快適だ。
エイルリスは、朝から夜まで図書館にこもり、時おり庭を歩いて、ベンチでのんびりと雲の動きを眺め、眠くなればうたた寝をした。
心の内のドス黒いモノが浄化されそうな穏やかな時間だと思うが、決してドス黒いモノが消えることはない。ただ、憎い悪魔のことを考えなくて済む時間を持てた。
ある日の午後、エイルリスは、周りに誰もいないことを確認して、翼を出した。とても久しぶりに出した。
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久しぶりに出した翼を見て、軽く笑う。
いつ頃からか、エイルリスの白い翼の先端に、黒い羽根が混じるようになった。初めは一枚、少し経つと二枚と増えた。最後に見た時は、十枚程度だったと思う。それが、また増えている。
いつか、悪魔のように全て黒に変わってしまうのだろうか。いつか、憎い悪魔と同じモノになってしまうのだろうか。
エイルリスは翼をしまい、深く息を吐き出して空を仰ぐ。こんなにも晴れ渡った美しい空を見ても、何とも思わない。
感動という感情は、両親と兄を失った日に消えてしまった。老夫婦と暮らしている間は、少しは喜びも悲しみも感じていたように思う。だけど今は、怒りの感情しか持っていない。
しばらく空を見ていたけど、眩しくなり目を閉じた。瞼の裏のチカチカと点滅する光が消えてから目を開けると、すぐ目の前にインディゴブルーの瞳があった。
エイルリスは、目を逸らさずに言う。
「なんだおまえ。ここで何をしている」
「エイルリスを捜してたんだ。上を向いてるからどうしたのかなと思って。寝てたの?」
「考えごとをしていただけだ。おまえ、家に帰ったんじゃないのか。なぜここにいる」
アレンが隣に座る。
俺の許可も無しに…とエイルリスが睨むけど、アレンは全く気にしていない。
「学園での生活を報告して、戻って来たんだよ」
「ほとんどの生徒は、休みが終わるまで家にいるのに、なぜこんなに早く戻って来たんだ」
「え?だってエイルリスがいるから。たくさんの時間、一緒に過ごせるじゃん」
「嫌だ。俺は一人で過ごしたい」
「えー、そうなの?じゃあさ、一日おきでいいから、遊ぼうよ」
「嫌だ」
遊ぶって何だ。遊ぶ時間があれば、勉強をしていたい。学園の勉強ではない。そんなもの、数ヶ月あれば全て終える。俺は、悪魔を倒す勉強をしたいのだ。アレンが傍にいると、できないじゃないか。
エイルリスは立ち上がると、ベンチを離れた。
しかし案の定、アレンが「待って!」とついて来る。「怒ったの?」とか「週に三日でいいから遊ぼうよ」とか「遊びが嫌なら勉強しよう?」とか、とてもうるさい。
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