溺れる天使は悪魔をもつかむ

明樹

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 思わず二人の世界に入ってしまい、アンバーがいることを忘れていた。

「あのー、そろそろ話してもいいかな?」

 アンバーの声に気づき、慌ててエイルリスがアレンから離れる。
 アレンは名残惜しそうにして、離れる代わりにエイルリスの手を握った、
 そんな二人を、アンバーが目を細めて見てくる。

「いやぁ、好きな人がいるっていいねぇ。羨ましいよ。ところで、二人の話は終わった?俺も話していい?」
「ああ。わかったことがあるなら教えてほしい」

 アンバーがにこりと笑い、エイルリスの横に来て、エイルリスの耳に口を寄せる。
 それを見たアレンが動こうとしたけど、エイルリスが手を強く握って止めた。

「エイルリス、君が捜している悪魔だけど。今は人間界にいるらしいよ。しかも、この学園の近くの街に」
「なに?本当か?どこにいるっ」

 アンバーが、ゆっくりと顔を離す。
 エイルリスは、今にもアンバーに飛びついて問い詰めたい衝動を耐えて、両手を強く握りしめた。
 そうしていないと、興奮で震えそうになるからだ。
 エイルリスの手を握るアレンの手も、強く握りしめたために痛いはずなのに、アレンは動じない。ただ不満そうにアンバーを見ている。
 アンバーは小さく首を傾けて、困った顔をした。

「ごめん。詳しい居場所まではわからないんだ。近くの街にいるとだけ。でも、街を歩いてたら、ばったり会うかもしれないよ」
「そうか…わかった。ありがとう」

 そう言うなり、エイルリスが走り出そうとした。
 だけど、アレンに手を引かれて止められる。

「待って!どこ行くの?」
「悪魔を捜しに行くんだよ!離せっ」

 エイルリスは、強く手を引く。アレンの体がよろけるほど強く引くけど、アレンはそれ以上の力で手を掴んで離してくれない。二人の手が溶けてくっついてるんじゃないかと思うほど、少しも外れない。

「ダメだよ。一人じゃ危険だ。行くなら俺も行くよ」

 エイルリスの頬がピクリと震える。

「…おまえは来るな」
「なんで?俺が悪魔だから?」
「違う」
「俺はルリスを守りたい。だから傍を離れない。ルリスは絶対に一人では行かないで」

 アレンがはっきりとした口調で言う。嫌だとは言わせない強さを感じる。
 エイルリスが黙っていると、アンバーが話に割って入ってきた。

「はい、二人とも落ち着いて。エイルリスは、悪魔を見つけてどうするつもり?最終的には俺が捕まえるから、無茶はしないでほしいな」
「は?あいつは俺が殺す。邪魔すんな」
「ルリス!相手は悪魔だよ?人間のルリスには危険すぎる!」

 エイルリスは、大きく息を吐き出した。
 アレンもアンバーもうるさい。邪魔をするな。アレンとアンバーがいなければ、悪魔の名を知ることも、居場所がわかることも無かった。だけど俺を止めるなら、邪魔でしかない。やはり一人で動いた方が良かったのかもしれない。

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