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しばらくは三人で行動していたが、途中でアンバーが「行きたい所があるから別行動しよう」と離れた。
「日が暮れる前に街の中央の噴水の前で」と言いながら去って行ったけど、合流するつもりはない。
アンバーの姿が見えなくなるとすぐに、アレンがエイルリスの手を握る。
「ルリス、あの人を待つことないよ。待ち合わせの時間を気にせずに行動しよう」
「そうだな」
アレンも同じ考えだったようで、エイルリスは微かに笑って頷いた。
街へはフォラスを捜す目的で来たけど、アレンと歩く街は楽しかった。
エイルリスは物欲がない。必要最低限の物しかいらない。
それが、生活に必要のない物なのに、アレンに勧められて買ってしまった。なぜかアレンも、楽しそうに同じ物を買っていたけど。
買い物の後は観劇に行った。
両親や兄と行った記憶はないが、老夫婦とは、何度か観に行ったことがある。老夫婦が好きだったらしく、「楽しいよ」と連れて行ってくれた。帰りにカフェに寄って食べたケーキが美味しかったことを覚えている。
老夫婦は、エイルリスにたくさんの幸せをくれた。老夫婦がいなければ、今頃どうなっていたかわからない。
エイルリスは懐かしさで胸がいっぱいになり、無意識に「ケーキ」と呟いていたらしい。
すこぶる耳がいいアレンが聞きつけて、目についたカフェに連れ込まれた。
嬉しそうに案内された奥の席へとアレンが進む。その間も、エイルリスと手を繋いだままだ。
エイルリスは、機嫌のいいアレンを見て、小さく息を吐いた。
そういえばこいつ…甘い物が好きだったよな。初めて会った時に、嬉しそうにパンケーキを食べてた。…俺は、どうして甘い物が苦手になったんだろう。老夫婦と食べたケーキは、甘くて美味しいと感じていたのに。どうして…。ああそうか。甘い物は、老夫婦との暮らしを思い出させるからだ。老夫婦がいなくなり、俺には復讐だけが生きる目的になった。だから老夫婦との暮らしを懐かしく思わないように、幸せを思い出して心が弱くならないように、甘い物が苦手だと思い込もうとしていたのかもしれない。
カフェでは、アレンがケーキを、エイルリスは紅茶を頼んだ。
店員が注文を聞いて離れた後、アレンが困った顔をする。
「ルリスはケーキ食べたかったんじゃないの?」
「別に食べたかったわけじゃない。俺は甘い物が嫌いだ」
「それ、前にも言ってたよな。でもほんとは、食べたいんじゃないの?」
「今は…いらない」
「そっか。じゃあ、また今度食べような」
「そうだな」
エイルリスが目を細めて頷く。
アレンの笑顔が眩しい。悪魔なのに、とても眩しい。
次、ケーキを食べる機会があるだろうか。その時、俺の傍にアレンがいるだろうか。
運ばれてきたケーキを見て、目を輝かせているアレンを見て、エイルリスの鼻の奥がツンと痛くなり、なぜか泣きそうになった。
「日が暮れる前に街の中央の噴水の前で」と言いながら去って行ったけど、合流するつもりはない。
アンバーの姿が見えなくなるとすぐに、アレンがエイルリスの手を握る。
「ルリス、あの人を待つことないよ。待ち合わせの時間を気にせずに行動しよう」
「そうだな」
アレンも同じ考えだったようで、エイルリスは微かに笑って頷いた。
街へはフォラスを捜す目的で来たけど、アレンと歩く街は楽しかった。
エイルリスは物欲がない。必要最低限の物しかいらない。
それが、生活に必要のない物なのに、アレンに勧められて買ってしまった。なぜかアレンも、楽しそうに同じ物を買っていたけど。
買い物の後は観劇に行った。
両親や兄と行った記憶はないが、老夫婦とは、何度か観に行ったことがある。老夫婦が好きだったらしく、「楽しいよ」と連れて行ってくれた。帰りにカフェに寄って食べたケーキが美味しかったことを覚えている。
老夫婦は、エイルリスにたくさんの幸せをくれた。老夫婦がいなければ、今頃どうなっていたかわからない。
エイルリスは懐かしさで胸がいっぱいになり、無意識に「ケーキ」と呟いていたらしい。
すこぶる耳がいいアレンが聞きつけて、目についたカフェに連れ込まれた。
嬉しそうに案内された奥の席へとアレンが進む。その間も、エイルリスと手を繋いだままだ。
エイルリスは、機嫌のいいアレンを見て、小さく息を吐いた。
そういえばこいつ…甘い物が好きだったよな。初めて会った時に、嬉しそうにパンケーキを食べてた。…俺は、どうして甘い物が苦手になったんだろう。老夫婦と食べたケーキは、甘くて美味しいと感じていたのに。どうして…。ああそうか。甘い物は、老夫婦との暮らしを思い出させるからだ。老夫婦がいなくなり、俺には復讐だけが生きる目的になった。だから老夫婦との暮らしを懐かしく思わないように、幸せを思い出して心が弱くならないように、甘い物が苦手だと思い込もうとしていたのかもしれない。
カフェでは、アレンがケーキを、エイルリスは紅茶を頼んだ。
店員が注文を聞いて離れた後、アレンが困った顔をする。
「ルリスはケーキ食べたかったんじゃないの?」
「別に食べたかったわけじゃない。俺は甘い物が嫌いだ」
「それ、前にも言ってたよな。でもほんとは、食べたいんじゃないの?」
「今は…いらない」
「そっか。じゃあ、また今度食べような」
「そうだな」
エイルリスが目を細めて頷く。
アレンの笑顔が眩しい。悪魔なのに、とても眩しい。
次、ケーキを食べる機会があるだろうか。その時、俺の傍にアレンがいるだろうか。
運ばれてきたケーキを見て、目を輝かせているアレンを見て、エイルリスの鼻の奥がツンと痛くなり、なぜか泣きそうになった。
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