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アレンに手を引かれて着いた場所は、高級そうな宿だった。
眩しい笑顔で「入るよ」と扉に手をかけたアレンを、エイルリスは慌てて止める。
「ちょっと待て!なんだここはっ」
「なに…って宿だよ。もう日が暮れかけてるし、今から学園に帰ると夜になるし、馬車を用意してくれたアンバーもいないし、今夜はここに泊まろう」
「え?だって外泊許可を取ってないぞ」
「ふふっ、ルリスは意外と真面目だな。大丈夫、後で取れば。それに、たぶんだけど、アンバーも外泊してるよ?」
「あいつが?」
「うん。この街に、まだあの天使の気配を感じるから。ほら、ここにいたら寒いし早く入ろう」
「う…」
頑なに拒否するほど、エイルリスは嫌ではない。なんなら、アレンと二人で夜を過ごせることを、嬉しく思う自分がいる。
アレンが扉を開けて中に入り、エイルリスも続いた。
入ってすぐは大きな広間になっていて、高級な布が張られたソファーが、幾つか置いてある。
その中の一つに、アレンがエイルリスを座らせ、自身も隣に座った。
こんな宿に泊まるのは何年ぶりだろうか、とエイルリスが周囲を見ていると、宿の主らしい男が寄って来た。
「ようこそいらっしゃいました」
「うん。予約なしで悪いけど、部屋は空いてますか?」
「はい。特別室ですが、よろしいですか?」
「そこでいいよ。案内をお願いします」
「しかし…」
「俺達はルクス学園の生徒です」
そう言って、アレンが胸ポケットから身分証を出した。
戸惑っていた主の顔が、一瞬で明るいものへと変わる。代金の支払いに問題はないとわかったからだ。
ルクス学園は、王族や貴族が通う学園だ。このような高級宿に泊まっても、何ら不思議はない。
「失礼をいたしました。すぐにお部屋へご案内いたします」
「よろしくお願いします」
主が頭を下げてさがり、代わりに実直そうな青年が来た。エイルリスとアレンの前で頭を下げると、「ご案内いたします」と奥の階段を示した。
エイルリスとアレンが、同時に立ち上がる。
青年が、ソファーを見てから二人を見た。
「お荷物はございませんか?」
「無いです。急に泊まることになったので。それに買い物の荷物は、直接学園に届くように送りましたから」
「かしこまりました。では着替えもご用意しますね。こちらへ」
青年の後に続いて歩く。当然、アレンはエイルリスの手を離さない。アンバーと別れてから、ずっと手を繋いでいる気がする。
最上階の部屋に着くと、青年は「後で食事を持ってきます」と頭を下げて去った。
エイルリスは、アレンの手を離すと、窓辺に行き窓を開けた。
「ルリス、寒いよ?」
「大丈夫だ。ここからは街がよく見えるな」
「そうだね」
アレンも隣に来て、夜の街を眺めた。
学園の寮から外を見ても、所々に外灯の灯りがあるものの、暗いだけだ。だが、ここは、たくさんの灯りがあり、とても眩しい。
エイルリスが身を乗り出すようにして外を見ていると、いきなりアレンに抱きしめられた。音を立てて窓を閉め、エイルリスを窓から遠ざける。
「うわっ!なんだよっ」
「寒いから奥に行こう。ていうか、アンバーがいた」
「え?どこに?」
「ここから反対の街の端…。すぐに窓を閉めたけど、見つかったかも」
「はあ?そんな遠い所にいるのを見つけたのか?アンバーも?」
「俺達は人外だから」
「ふーん」
アンバーに見つかったのが不満なのか、アレンの声が不貞腐れているように聞こえる。
アレンは、エイルリスを抱きしめたまま、匂いを嗅ぐようにして、エイルリスの首に顔を寄せてきた。
「おい、やめろ」
「ルリスはいい匂いだな。それに甘い」
「やめっ…」
アレンがエイルリスの首を舐めた。
エイルリスは慌ててアレンから離れ、首を押さえて睨みつける。
くそがっ。触れてもいいが、俺の許可無く舐めるな!しかも俺より目がいいのが腹立つ。絶対俺の方が力が強いはずなのに、なんで俺よりも目がいいんだ。俺は街の端までなんて見えないぞ!
眩しい笑顔で「入るよ」と扉に手をかけたアレンを、エイルリスは慌てて止める。
「ちょっと待て!なんだここはっ」
「なに…って宿だよ。もう日が暮れかけてるし、今から学園に帰ると夜になるし、馬車を用意してくれたアンバーもいないし、今夜はここに泊まろう」
「え?だって外泊許可を取ってないぞ」
「ふふっ、ルリスは意外と真面目だな。大丈夫、後で取れば。それに、たぶんだけど、アンバーも外泊してるよ?」
「あいつが?」
「うん。この街に、まだあの天使の気配を感じるから。ほら、ここにいたら寒いし早く入ろう」
「う…」
頑なに拒否するほど、エイルリスは嫌ではない。なんなら、アレンと二人で夜を過ごせることを、嬉しく思う自分がいる。
アレンが扉を開けて中に入り、エイルリスも続いた。
入ってすぐは大きな広間になっていて、高級な布が張られたソファーが、幾つか置いてある。
その中の一つに、アレンがエイルリスを座らせ、自身も隣に座った。
こんな宿に泊まるのは何年ぶりだろうか、とエイルリスが周囲を見ていると、宿の主らしい男が寄って来た。
「ようこそいらっしゃいました」
「うん。予約なしで悪いけど、部屋は空いてますか?」
「はい。特別室ですが、よろしいですか?」
「そこでいいよ。案内をお願いします」
「しかし…」
「俺達はルクス学園の生徒です」
そう言って、アレンが胸ポケットから身分証を出した。
戸惑っていた主の顔が、一瞬で明るいものへと変わる。代金の支払いに問題はないとわかったからだ。
ルクス学園は、王族や貴族が通う学園だ。このような高級宿に泊まっても、何ら不思議はない。
「失礼をいたしました。すぐにお部屋へご案内いたします」
「よろしくお願いします」
主が頭を下げてさがり、代わりに実直そうな青年が来た。エイルリスとアレンの前で頭を下げると、「ご案内いたします」と奥の階段を示した。
エイルリスとアレンが、同時に立ち上がる。
青年が、ソファーを見てから二人を見た。
「お荷物はございませんか?」
「無いです。急に泊まることになったので。それに買い物の荷物は、直接学園に届くように送りましたから」
「かしこまりました。では着替えもご用意しますね。こちらへ」
青年の後に続いて歩く。当然、アレンはエイルリスの手を離さない。アンバーと別れてから、ずっと手を繋いでいる気がする。
最上階の部屋に着くと、青年は「後で食事を持ってきます」と頭を下げて去った。
エイルリスは、アレンの手を離すと、窓辺に行き窓を開けた。
「ルリス、寒いよ?」
「大丈夫だ。ここからは街がよく見えるな」
「そうだね」
アレンも隣に来て、夜の街を眺めた。
学園の寮から外を見ても、所々に外灯の灯りがあるものの、暗いだけだ。だが、ここは、たくさんの灯りがあり、とても眩しい。
エイルリスが身を乗り出すようにして外を見ていると、いきなりアレンに抱きしめられた。音を立てて窓を閉め、エイルリスを窓から遠ざける。
「うわっ!なんだよっ」
「寒いから奥に行こう。ていうか、アンバーがいた」
「え?どこに?」
「ここから反対の街の端…。すぐに窓を閉めたけど、見つかったかも」
「はあ?そんな遠い所にいるのを見つけたのか?アンバーも?」
「俺達は人外だから」
「ふーん」
アンバーに見つかったのが不満なのか、アレンの声が不貞腐れているように聞こえる。
アレンは、エイルリスを抱きしめたまま、匂いを嗅ぐようにして、エイルリスの首に顔を寄せてきた。
「おい、やめろ」
「ルリスはいい匂いだな。それに甘い」
「やめっ…」
アレンがエイルリスの首を舐めた。
エイルリスは慌ててアレンから離れ、首を押さえて睨みつける。
くそがっ。触れてもいいが、俺の許可無く舐めるな!しかも俺より目がいいのが腹立つ。絶対俺の方が力が強いはずなのに、なんで俺よりも目がいいんだ。俺は街の端までなんて見えないぞ!
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