断罪されてムカついたので、その場の勢いで騎士様にプロポーズかましたら、逃げれんようなった…

甘寧

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「どういう事だ!!」

 ロドルフは声を荒らげながらダンッ!!と乱暴に机を叩きつけた。その手には握り潰された伝書が握られている。

「何故アリアナが拘束されている!?」
「…表立ては兵らの士気低下をもたらし、任務の進行を邪魔したと言うのが理由ですが、本来の理由は団長であるウィルフレッド様に身体の関係を迫った事が要因だと言われております」

 怒鳴りつけるロドルフを目の当たりにしても、淡々とした態度を崩さずに言い返され、ロドルフは更に熱くなる。

「そんなはずはない!!アリアナは私の為だと…!!」

 この期に及んで今だにそんなことを言っているロドルフに呆れつつも、執事の男は話を進めた。

「この件に関しまして、御父上である国王陛下からの伝言がございます『早急に城へ戻れ。今の内に身の振り方を考えておくんだな』とのお言葉です」
「は?」

 ロドルフは目を白黒させて戸惑った。

(身の振り方を考えろ?それはどういう意味だ?)

 顔を俯かせて頭を働かせているが、自分が廃嫡されるという可能性を出させずにいる。どこまでも自分本位だという事だ。
 その様子に、執事の男は呆れるように溜息を吐くと「私からは以上です」と伝え踵を返した。

 そこで思い出したように「ああ、そういえば」と呟いた。

「貴方、リーゼ嬢を監禁しているでしょ?早く解放した方がよろしいですよ?…万が一にも、手を出すなんて愚かなことはしないよう…私が伝える言葉です」

 それだけ言うと、静かに部屋を出て行った。
 しばらく呆然とドアを眺めていたが、我に返るとギリッと歯を食いしばった。

「どいつもこいつもなんなんだ!!私が何をしたと言うんだ!!」

 苛立ちをぶつける様に椅子を蹴り飛ばし、怒号が部屋に響きわった。

 周りがアリアナが妃に相応しくないなどと言うから、は皆が納得できるようにしたまでだ。

「それなのに、何故だ!!」

 先ほど出て行った執事の蔑むような目を思い出した。

 従者があんな目を王族に向けて言い訳がない。ましてや私は次期国王だぞ!!

 苛立ちのあまり、拳に力が籠る。

 このまま城に帰れば、きっと叱られるどころではないことは分かっている。その為に、前もって『身の振り方』などと言う言葉で伝えてきたのだろう。

(どうすればいい…どうすれば、今の状況を打破できる…?)

 父である国王を黙らせ、アリアナを無事に取り返すすべは……

 しばらく考えた後に「そうだ」と呟いた。

「……リーゼが私の子を孕んでしまえば……」

 ニヤッと不気味な笑みを浮かべた。

 王族の子を孕んだとなれば、嫌でも婚姻を結ばなければならない。そうなれば、リーゼは自分から逃げられない。それに、周りの人間も跡取りが出来たことで黙らせることができる。

 父の言う身の振り方にしても、自分が父親になれば追及してくることはないだろう。

 ほとぼりが冷めた頃合いで、アリアナを側室にすればいい。

「本来はアリアナとの子が先だったが、仕方ない…」

 リーゼは生意気な奴だが、身体付きは上等だ。あれなら十分愉しめるだろう。…そういえば、叔父上が前に関係を持ったような事を言っていたが、あれは完全に私の勘違いだったな。

「私がリーゼの初めてを奪ったら、叔父上はどうするだろうか…」

 今まで叔父であるウィルフレッドと散々比べられてきた。比べられても、ロドルフにはウィルフレッドに勝る要素はなく、何度も虚しさと不甲斐なさと劣等感で押し潰されそうになった。

「ようやく、叔父上に一泡吹かせられる!!」

 あはははは!!と高笑いをしながら、ロドルフはリーゼの部屋へと向かった。


❊❊❊


「リーゼ、入るぞ」
「きゃっ!!」

 ノックもなしに部屋に入ると丁度着替えの最中で、絹のような白い肌を露わにしていた。

「な、殿下!!ノックはしてください!!」

 目を吊り上げて怒るが、頬を真っ赤に染めて豊満な胸を必死に隠そうとしている姿は、ただ男を挑発しているだけに見える。
 ロドルフは堪らずリーゼの手を取ると、荒々しくベッドに押し倒した。

 すると、目の前には淡いピンクの下着姿のリーゼが転がった。その姿を見たロドルフは、思わず「ゴクッ」と喉が鳴る。

 リーゼは流石に顔を青ざめて、逃げようとするがすぐに捕まり両手を拘束された。

「何するんですか!!」
「言わずとも分かっているだろ?」

 ロドルフの目は完全に血走っており、まともに話ができるとは思えない。それほど切羽詰まっているという事が分かる。

「私はアリアナ様じゃありませんよ。貴方の下半身のお相手はアリアナ様でしょう?」
「ははははっ!!この状況でも随分と生意気な口を聞くな。だが、口の聞き方には気を付けた方がいいぞ?お前だって酷くされるのは嫌だろ?…それとも、酷くされた方がいいのか?」

 気持ち悪い笑みを向けながら、足をなぞってくる。ぞわっと全身に悪寒と鳥肌が立つ。自分でも驚くほど身体の拒否反応が半端ない。

(こんな男に抱かれるなんて、死んだ方がましよ!!)

 リーゼは舌を噛み切ってやろうかと思ったが、それを察したロドルフがリーゼの口に指を入れて阻止した。

「馬鹿な真似は考えるな」
「……んふ……ッ!!」

 口に指を入れられたままで、喋る事もままならず涎が口の端から垂れてくる。

「あはははは!!みっともない姿だな。どうだ?嫌いな男に組み敷かれている気分は。私はひどく気分がよい!!よく私の顔を見ておけよ。お前の純潔を奪うのは誰か。この胎は誰の子種を受け入れるのか。しっかり見ておけよ」
「ッ!!」

 屈辱と悔しさで涙が滲んでくる。だが、ここで泣けば更にロドルフを悦ばせることになると、必死に抑え込んだ。

 ロドルフは首筋に軽くキスをすると、胸元に顔を埋め執拗にキスをしてくる。

(吐きそう……)

 この時点で、我慢していた涙は決壊し溢れていた。

(……ウィル様……!!)

 届かないと分かっていても、縋りたくなってしまった。

 ──と、ウィルフレッドの名を呼んだ瞬間、ドアが勢いよく開いた。

「リーゼ様!!」

 その声はカナンだった。
























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