単純に婚約破棄したかっただけなのに、生まれた時から外堀埋められてたって話する?

甘寧

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第6話

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「なんで、こいつがおんねん!!アリアの護衛なら婚約者の僕がやるんが普通やろ!?」
「兄様が今回の元凶ですよね?そんな事したら相手の闘争心を煽るだけですよ?」
「そう言うことだ。お前はしばらくアリアから距離を取ってもらう」
「なんでや!!」

ヴェルナーとリュディガー、それにおじ様が言い合っている中、私はリュディガーから目が離せなかった。
リュディガーは私の一つ下で、一人っ子の私はリュディガーを弟の様に想い幼い頃から可愛がってきたが、久しぶりに見たリュディガーは立派な男の人になっていた。

背も高くなり私が見上げる様になっていたし、ぷにぷにだった体は鍛え上げられ、まるで別物。

──それより何より……

顔がいい。
いや、決してヴェルナーの顔が悪いとは言ってないんだが、これは好みの問題。
リュディガーもヴェルナー同様モテる。
リュディガーはヴェルナーとは逆タイプで紳士的で色気が半端ない。
目元の涙ボクロが良いアクセントになり、その威力は倍増。ちょっと見つめられただけで鼻血を吹き出す令嬢もいるほど。
ただ、ヴェルナーとは違い女性だろうと嫌なものは嫌とはっきり言うし、当然はべらかしたりはしない。
そして何より糸目じゃない!!……別に糸目が嫌いってわけじゃないけど……糸目はヴェルナーの……ゴニョゴニョ……まあ、とにかく!!私が言いたいのは

──婚約するならリュディガーが良かった……

「は……!?」
「え……!?」

何故かみんなの視線が私に向けられた。

「えっ、えっ、何?」

戸惑ってる私の元にヴェルナーがやって来た。
その表情は今まで見た事ない表情で、室内の温度が一気に下がるほど。

──な、なんで、こいつこんな怒ってんの!?

薄ら開けられた目からは怒気をヒシヒシと感じ、ヒュッと息を飲む程だった。

「……今、なんつった?」
「えっ?はっ?」
「僕じゃのうてリュディガーが良かった言うたよな?」

その言葉を聞いて初めて心の声が漏れていたことに気がついた。
その瞬間、恥ずかしくなりカァーと顔が沸騰した様に熱くなるのが分かった。
その様子を見たヴェルナーは激しい舌打ちをかました挙句、思いっきり壁を殴りつけ部屋を出て行ってしまった。

「……………………………」

部屋の中に静寂が訪れた。
その静寂を破ったのはおじ様。

「……ごほんっ。ま、まあ、とりあえず、リュディガーがアリアの護衛につく」

おじ様は何も無かったかのように振舞った。
いや、無理でしょ。とはみんなの顔が物語っていたが、誰もその事には触れなかった。

「アリアちゃん。うち的にはどっちの息子を貰ってくれも構わへんけど、あのアホの事もう少し見とってくれん?」
「え?」
「あのアホなぁ、アリアちゃんじゃないと駄目やねん。だってなぁ──……」
「母上!!余計な事言わないでください。……折角のチャンスなんですから……」

おば様が何か言おうとしたのを遮ってリュディガーが口を挟んできた。
因みにうちのお父様とお母様はずっとこの場にいるのに、黙って事の次第をニヤニヤしながら見ていた。

──何なのあの顔は……?

ヴェルナーといい、お父様お母様といい、何を考えているのかさっぱり分からない。

「アリア、改めて宜しくお願いしますね?」

リュディガーの声に「はっ!!」と我に返ると、私の手を取り唇を落としてきた。
あまりにもスマートにやるもんだから、一瞬何が起こったのか分からなかったが、意識してしまうとボボボッと一気に顔が熱くなった。

その様子をクスクスと楽しそうに見ているリュディガーが恨めしい。

──クソっ……顔がいい。……あれ?

私はふと思ったことがある。

「あの、おじ様?リュディガーが護衛につくのはいいのですが、あの、リュディガーもそれなりに女性人気が高いわけで……これは、敵を増やすだけなのでは……?」
「…………ん゛?」

いやいや、ちょっと考えたら分かること!!

──ヴェルナーだけでは飽き足らず、リュディガーまで手を出した悪女って言われるじゃん!!

絶対護衛だって言っても信じてくれない。恋は盲目とはよく言うのよ!?
リュディガーとおじ様には悪いけど、これ以上敵を作るのはマジで命の危険を感じるからお断りするに限る。

「あの、大変恐縮なんですが、この話は──……」
「大丈夫ですよ。私は兄様とは違い、しっかり大切な人を守ってみせます。だから、私を護衛から外すなんて言わないでください……」

今にも捨てられそうな仔犬のような目をして言われてしまった。
私は昔からリュディガーのこの顔に弱いんだ……

「ぐぬぬぬ………」

けど、今はこの顔に負けては駄目!!こっちだって命がかかってるんだから!!

そう思いながらチラッとリュディガーを見ると、必死に懇願する姿が見えた。その姿はまさに耳を垂らし、尻尾をシュンとさせた仔犬そのもの。

「……分かった……リュディガーにお願いする」

──はぁ……駄目だ。負けた……

私が白旗をあげると、リュディガーはニヤッと不敵な笑みを見せた。

──えっ?何今の笑いは?

「ごめんなぁ~、うちのバカ息子が迷惑ばかりかけてもうて」
「おば様……」
「嫌やわぁ~!!ママって呼んでぇなぁ!!」
「じゃあ、私はパパかな?」
「えっ、えっ、えっ、えぇぇ!?」

リュディガーに問いかけようとした途端、おば様に抱きつかれてしまった。
更にはパパ、ママ呼びを強要され慌てふためく私を誰も助けてはくれず、最終的には「……ま、ママ……ぱ、パパ?」と呼ばされた。


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