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91.先客あり
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「あら? 意外な組み合わせ」
ラジの部屋には、昨日のホームランをかっ飛ばす際にやむなく力を頂戴したスパイ男がいた。
「えっと、モフモフじゃなくてワイルドでもなくて」
「モゥブンだ」
「え? モブ? なんか妹が言ってたような」
なんの意味だっけ? 妹の麻里がたまに教えてくれる言葉は謎が多い。
「モーさん」
「違う。モゥブンだ」
中高年の一部の男性達が羨ましくなるような立派な髪の量を保持する銀髪の男は、無表情で何回も私の呼び方を訂正するが。
「もう…いい」
勝った!
「じゃあ、今からモーさんと呼ぶわね!」
決して苛めているわけではない。発音がしづらいからしょうがないのだ。
「俺は、報酬が出るならアンタ達についていくが金が貰えないなら去る」
例えるならば、牛よりも狼のような凛々しい渋オヤジは、なんだか酷くお疲れのご様子である。
「 特に引き留めてはいないから大丈夫だけど。ラジはモーさん好きなの? お友達、または深い仲の希望とかならメンバーに加えるわよ」
ガードが固そうな彼が部屋に入れているという事は、モーさんは、他国からのスパイだけど何か気に入るセンサーが働いているとしか考えられない。
「貴方は、幸せですね」
彼の言葉がより丁寧な時は要注意である。作り物の笑みまでプラスされているラジは怖い。
「よく分からないが、アンタのせいで火からの金は入らなくなった。だが、アンタが俺を雇えば問題ないという意味だ。明日迄居させてもらうが、それまでに考えておいてくれ。光と闇については多少の情報はある。これなら通るだろう」
モーさんは、ラジに何かを渡すと部屋から出ていってしまった。
「なんなのアイツは」
捕まっているという意識がゼロだ。
「ミゥルの民は変わり者が多い。だが、手先が器用で情報収集に長けている」
「ミゥルって、あぁ、確か幾つかある国に属さない人達のグループにあったような」
ナウル君のように他国の血が混じった人達が集まった集落のようなものだっけ。付け焼き刃な知識を掘り起こし呟けばラジから補足というか訂正がはいった。
「外は凶暴な生き物も多く国内での生活とは全く違う。特にミゥルの民は、遥か太古の獣の血が混ざっていると言われ強い者達だけが生き残ってきた」
「確かに今の渋オジは、狼のイメージぴったりだわ。あ、こっちの話ね」
ラジに言ったとこで通じるわけがない。
「で、連れてくの? 私はどちらでもいいわ」
彼は自分の身は自分で守るタイプにみえたので、メンバーが増えても不安にならない。
「彼らは報酬が全てだ。情なんてものはないが金さえ払えば最後まで必ずやり遂げる」
まぁ、楽といえばそうなのかな。連れていっても損はなさそう。
「俺は、この細工を頼んでいた。連れていく事に対して特になんの感情もない」
彼が私の前にぶら下げてきたのは、預けていたペンダントヘッドのラピスラズリに似た深い青に金の粉雪が降ったような石である。これは、地の国、グラーナスの王子様だった、今は亡きスフィー君から貰った品だ。
「紐と鎖の二重って可愛い」
身につけようにもチェーンもないしとラジに預けた石は、空色のコードと銀色の鎖が通されていた。
「紐部分にとても小さな石がある」
編み込まれた半輝石のような小さな石がとても可愛い。そのネックレスに手を触れた時。
「ピュイ!」
「ピギャ!」
追いかけっこをしていたノアとワニモドキは、相談していたラジの上に同時に着地しようとしていた。勿論、彼の頭上はニ匹分のスペースなんてものはない。案の定、ワニモドキは足を踏み外し、まさかの私の額に激突してきた。
「イタッ!」
反射的に閉じてしまった目を開ければ。
「……おいおい。どうなっているの?」
私は、真っ白なだだっ広い空間に一人立っていた。
ラジの部屋には、昨日のホームランをかっ飛ばす際にやむなく力を頂戴したスパイ男がいた。
「えっと、モフモフじゃなくてワイルドでもなくて」
「モゥブンだ」
「え? モブ? なんか妹が言ってたような」
なんの意味だっけ? 妹の麻里がたまに教えてくれる言葉は謎が多い。
「モーさん」
「違う。モゥブンだ」
中高年の一部の男性達が羨ましくなるような立派な髪の量を保持する銀髪の男は、無表情で何回も私の呼び方を訂正するが。
「もう…いい」
勝った!
「じゃあ、今からモーさんと呼ぶわね!」
決して苛めているわけではない。発音がしづらいからしょうがないのだ。
「俺は、報酬が出るならアンタ達についていくが金が貰えないなら去る」
例えるならば、牛よりも狼のような凛々しい渋オヤジは、なんだか酷くお疲れのご様子である。
「 特に引き留めてはいないから大丈夫だけど。ラジはモーさん好きなの? お友達、または深い仲の希望とかならメンバーに加えるわよ」
ガードが固そうな彼が部屋に入れているという事は、モーさんは、他国からのスパイだけど何か気に入るセンサーが働いているとしか考えられない。
「貴方は、幸せですね」
彼の言葉がより丁寧な時は要注意である。作り物の笑みまでプラスされているラジは怖い。
「よく分からないが、アンタのせいで火からの金は入らなくなった。だが、アンタが俺を雇えば問題ないという意味だ。明日迄居させてもらうが、それまでに考えておいてくれ。光と闇については多少の情報はある。これなら通るだろう」
モーさんは、ラジに何かを渡すと部屋から出ていってしまった。
「なんなのアイツは」
捕まっているという意識がゼロだ。
「ミゥルの民は変わり者が多い。だが、手先が器用で情報収集に長けている」
「ミゥルって、あぁ、確か幾つかある国に属さない人達のグループにあったような」
ナウル君のように他国の血が混じった人達が集まった集落のようなものだっけ。付け焼き刃な知識を掘り起こし呟けばラジから補足というか訂正がはいった。
「外は凶暴な生き物も多く国内での生活とは全く違う。特にミゥルの民は、遥か太古の獣の血が混ざっていると言われ強い者達だけが生き残ってきた」
「確かに今の渋オジは、狼のイメージぴったりだわ。あ、こっちの話ね」
ラジに言ったとこで通じるわけがない。
「で、連れてくの? 私はどちらでもいいわ」
彼は自分の身は自分で守るタイプにみえたので、メンバーが増えても不安にならない。
「彼らは報酬が全てだ。情なんてものはないが金さえ払えば最後まで必ずやり遂げる」
まぁ、楽といえばそうなのかな。連れていっても損はなさそう。
「俺は、この細工を頼んでいた。連れていく事に対して特になんの感情もない」
彼が私の前にぶら下げてきたのは、預けていたペンダントヘッドのラピスラズリに似た深い青に金の粉雪が降ったような石である。これは、地の国、グラーナスの王子様だった、今は亡きスフィー君から貰った品だ。
「紐と鎖の二重って可愛い」
身につけようにもチェーンもないしとラジに預けた石は、空色のコードと銀色の鎖が通されていた。
「紐部分にとても小さな石がある」
編み込まれた半輝石のような小さな石がとても可愛い。そのネックレスに手を触れた時。
「ピュイ!」
「ピギャ!」
追いかけっこをしていたノアとワニモドキは、相談していたラジの上に同時に着地しようとしていた。勿論、彼の頭上はニ匹分のスペースなんてものはない。案の定、ワニモドキは足を踏み外し、まさかの私の額に激突してきた。
「イタッ!」
反射的に閉じてしまった目を開ければ。
「……おいおい。どうなっているの?」
私は、真っ白なだだっ広い空間に一人立っていた。
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