勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第2章 魔法の使える世界

第36話 初めての県外遠征 第三夜 その2

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 ひどい目にあった。
 あれからも、絶叫系をぐるぐるとはしごをした。
 ただ昔に比べて、体力と動体視力が鍛えられた成果なのか、復活は早かった。

 真魚に絡んでいた馬鹿たちは、あれから救急車で運ばれて行ったようだが、戻ってきていない。
 生物的な恐怖を刻み込んだから、お調子者への復活はできないだろう。

 何とか無事に宿に戻ってきて、自己嫌悪と格闘をしていた。
 なんであんな記憶を封印していたんだ。
 そのおかげでまた同じ目に合うとは。
 しかし、子供たちのことを考えると、遊園地は外せないしな。

 ぶちぶちと考えながら、部屋についている家族風呂に浮かんでいると、誰かが入って来た。
 美月と真魚の様だ。
 そういや、真魚達はまだ兄弟仲良く風呂に入っているんだよな。ふつうは小学校高学年頃から、一人で入るって聞くけれど。家によって違うものだな。
 
 ちょうど、その話をしているようだが。
 そうか、強制だったのが、癖になっているだけなのか。

 どこかから、体が匂う。
 風呂に入れていない。虐待の恐れ。
 そんな話が来て、教師なり相談所から家へ確認が来る。
 指導を受けた親父が、嫌々3人を風呂に突っ込むの流れか。

 まあ、話は分かったけれど。
 なんだか出づらい。

 美月だけならいいが、真魚がいるからな…… どうしよう。

 ええい。
「なあ、ぼちぼち出たいんだが。いいか?」

「えっ。一司?」
「ああ」
「もうちょっと、いいじゃん。私も浸かる」
 えへへと美月が言う。
「俺が、のぼせる」

「じゃあ湯船から出て、涼んでいたら。私の体を眺めていてもいいし」
「馬鹿野郎。真魚もいるんだろう」
「あっそうか? 気にする?」
「あんまり」
「良いって」

「良いって言っても、もう中学生だろう? 美月おまえ中学校の時、親父さんと風呂入っていたのか?」
「あー、お父さんは入ろうとしていたけれど、お母さんに放り出されていた」
「そっ、そうなんだ」
 真魚が驚く。
「じゃあ、いいのか?」

「高校生になると、もう駄目ね」
 美月がボソッと言う。
「その線引きは、何だよ」
「義務教育中はこどもで、高校生は違うからだめ。とか? でも私の周りでも、大体小学校の内に、入らなくなるよね普通」
「普通はそうだよ」
 俺がそう言うと、真魚の眉がへにょっとなる。
「そうなんですか? すいません。普通が分からなくて……」

「ああまあ、よくわかんないけど。おれはもう上がる。そんじゃ、お先」
 隠すものを隠して、そそくさと上がる。

 風呂から出て、速やかにビールの栓を抜く。
「うぇーい。ビールがうめえ」
 明日には、もう帰らなきゃな。

 役所へ個人用バリアの納品にも、いかなきゃ。
 名まえをいい加減『守るんです』辺りに変えようかな。
 書類を書くのに今の名前面倒くさいんだよな。
 誰だよ、あんな長い。ラノベのタイトルみたいな名前を考えたのは。

「一司さん」
「うん?」
 真魚が、困った感じで聞いてくる。
「お風呂一緒に入るのって、駄目なんですかね」
「なんだ? まだ引きずっているのか?」

「うーん。お兄ちゃんとか壮二とかだと、別に一緒に入れなくてもいいかと思うんですけれど。一司さんだと別にいいかと思うんです。あまり気にならないし、逆に入りたい気もするんですよね。ちょっとドキドキしますけど」

「馬鹿なことを言うんじゃない。縁があって一緒に生活はしているけれど、所詮俺は他人だろう?」
「うんでも、その言い方ちょっと嫌です。でも、だからですかね? 私もよく分からないんですけれど。美月姉さんとは入るんですよね」
「あいつは一応婚約者だしな」
「そうですか……」
 そう言って落ち込む感じが、うーむ。
「ああ」
 俺がそう返すと、真魚は部屋へと戻って行ったが、あの年の頃は難しいな。

 助けられて勘違いか? あり得るな。
 美月とも話をした方が、いいかもしれないな。
 引き取っておきながら…… ぼやくとかはないが、でも難しい年ごろだよな。

 思い返せば最初に異性というものを、気にし始めたのは中二位だったか? あの頃はどうすれば自分がカッコよく見えるとか、そんな事ばかり考えていたが……。
 そうだな、中二か…… 難しい漢字とか神話を勉強し始める年ごろだよな。
 そういえば、哲学にはまる奴もいたな。
 厨二か…… 何もかも懐かしい……。 
 そんなことを考えながら、俺は意識を手放した。



 さあ、今日は家に帰るが、半日は遊べる。どこか行きたい所はあるか?
「ゆう「却下だ!」」
 美月はまだ行くつもりなのか。恐ろしい。
「ぶうー」

「この辺りの氷穴とか、風穴巡り行ってみたいです」
「芳雄。その心は?」
「俺らが仕事しているときに、姉さんとかは見たようなんですが。俺達見たことが無いし、WEBとか見るといい感じなので行きたいです」

「この前に、行っていない所を見てみるか?」
「まあいいけど」
 美月がつまらなそうに返事をする。
「レンタカー借りるか」
「えっ免許あるの?」
「当然だろう、工業系の男を馬鹿にするな。車ならば、ばらせるし組める。大学の時に軽4に13BのREを組んでツインターボ化して遊んだ」
 クラッチを交換していて面倒だから、腹の上にミッションを置いていたら、オイルが出て来て大騒ぎしたなあ。SSTを持って居なくて、プレートのセンターが出なくて時間が掛かったし。

 ※SST特殊な専用道具。よく使ったのはドライブシャフトを切ったもの。フライホイールの前に、クラッチを置いてそれにクラッチカバーを付けるが、中心があっていないとミッションを組む際。ドライブシャフトが入らなくなる。

「運転は?」
「鈴鹿スクールでバイクと車。両方とも講習会受けた。鈴鹿サーキットも走ったことがある」

 バイクで、進行方向に向けて、パイプが埋まった波状路は恐怖だった。
 目標停止も気合が入っていて、わずかにタイヤが鳴る所を極めないと止まれないしな。

「えー本当?」
「帰ったら終了証を見せてやる」

「じゃあ、穴倉探検レッツゴー」
「その言い方おかしくないか?」
「そう?」

 レンタカーは8人乗りのワンボックスを借りた。

 最近、ワンボックスって車種が少なくなったんだね。


 出ていく車を、あーという顔で見送る人間が一人。
「しまった。置いて行かれた。どこへ行ったんだろう?」
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