勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第3章 本格的侵攻開始   か?

第6話 今年最後の救出大作戦 その5

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「やっと着いた」
「社長。お疲れ様です。フレイヤさんは?」
「下だ。まあこれで10人。帰ろうか。ゲート」

 ダンジョンの壁に、黒く渦巻く円が出来上がる。
「中へ入ってください」
「えっここに」
 そう答えると、ニコッと笑うが目が笑っていない。
 手間かけさせんなこの野郎。の圧がすごい。
「グダグダ言わずに、入ってください」

 普段なら、手を繋がせて一気に放り込むが、10人ではさすがにできない。
 男ばかりなので、一司は躊躇なく捕まえては押し込んでいく。
「うわーあ? あれ? 外だ 痛て!」
 中でどんどん押し込むため、出口で立ち止まる要救助者にどんどんとぶつかり外では大変なことになっているが、一司は知らない。
「どいてくれぇ」
「うわぁ…… あれ、外だ?」


 一司も出てきて、報告をする。
「これで10人です。後はよろしく」
 警官が気が付き、声を掛けようとするが、
「あっ、また消えた」
 容赦なく一司は消えていく。


「下に行ってみるか」
 戻った一司は皆を連れて、フレイヤを探しに行く。
「そうですね」

 20階に行くと、トロールなどどこにもおらず、フレイヤが魔石を抱えていた。
「こう見ると、普通の猫だな」
「あれが毛糸の玉ならそうですけれど、15cm近くの大きさがある魔石を転がしているのが、やっぱりフレイヤさんですよね」
 場になぜか、生あったかい空気が流れる。

「やっぱりここも、50階になっているな」
 一司が、ダンジョンを確認すると、フレイヤが
〈さっき、トカゲが居たから、つぶしたのにゃ〉
 などと、報告をして来る。
〈とかげ? サラマンダーとか、そういうのか?〉
〈うんにゃ、竜人にゃ。多分そいつらが悪さをしているのにゃ〉
〈ふーん? よくわからんが、もういいだろう帰るぞ〉
 そう言ってゲートを開く。


 その頃。やっと起きだした、美月。
「一司ってば、たまに容赦がないのよね。死ぬかと思ったわ。まだゾクゾクが止まらないし…… あの中でいくのって、ずっと続くから脳みそが溶けそうで癖になりそうだけれど」

 美月ぽてぽてと歩き、いつものようにダンジョン側から、現実側の家の台所へと移動して……
「ここは何処?」
 その者、ピンクのハートが飛んだパジャマをまとい、夕暮れの中級ダンジョンのわきに裸足で、たたずむ。

 それを見かけた、警察官は
「すみません、どこから来たんですか?」
 まだ周りには、警官やら救急車が、先ほど救助された救助者のチェックや取り調べで残っている。
 当然、一般の人間は入れないようになっているが、そこに現れたハート柄のパジャマを着た女の子。それも裸足で……。

「えっ、ああっと? ここ何処ですか?」
 警官は、聞かれて答えるが、
「○○の中級ダンジョンです。あなたは、いったい。何処から来たんすか?」
 大丈夫かこいつ状態。
「えっ、家から?」
「……家からその格好で?」

 そう言われて自分の恰好を見る。
 適当に、一司が着せたため下ははいているが、ブラはつけていない。
 透けてはいないが、ぱじゃま。
 さすがに恥ずかしかったようだ。
「えっ、きゃあぁ」
 周囲に火炎が巻き起こり、周囲が騒然となる。



 一司は、皆とゲートを使い、ダンジョンから出てくると、ダンジョン脇から自宅のダンジョンへと繋ぐ。フレイヤとフェンを放り込み、救出の事情を警察官に説明をする。
 特に、階層が50階になっている事と、モンスターが強くなっている事。それを伝えて一度チェックしないと危険であると伝えた。

 すると、話し相手の警官に無線が入り、なにか話をし始めた。
 通信が終わると、
「あのう、すいません。この後○○の中級ダンジョンに、松沼美月さんを迎えに行っていただけます?」
 そんなことを言ってきた。
「なんで、美月がそんなとこ…… ああ、そうか。わかりました。迎えに行きます。それでは」
 と言って、一司は消えていく。

「あっ、社長にまた置いて行かれた」
「でもさっき、フレイヤさんたちをダンジョンに戻していたから…… この辺かな? 在った。帰れるぜ」
「ないす、一翔」
「そうか。そうよね。便利だわ。それじゃあ、お巡りさん。後はよろしくお願いします」
 と言い残して、みんなダンジョン(自宅)へ帰っていった。
「これで社長が帰ってくるまで待っていれば、家につながるよな」
「これから、社長が一人で現場に行って、現場でつないでもらえば楽だよね。走り回らなくていいし」
 がやがやと、ダンジョンのリビングで会話は続く。

 一方伝言を残された警官は、
「……は?」
 ダンジョン脇の壁をペタペタと触りながらぼやく。
「あの会社の連中は一体……」
 ぶつぶつ独り言を言いながら、ダンジョン脇の壁をなでたり、コンコンして、時には耳をあてたりしている姿を目撃されて、変な警官のうわさができた。


 中級ダンジョン前。
「「「うわぁ」」」
 にゅっと出てきて、一司は挨拶をする。
「すいません。迷子を引き取りに来ました」
「ああすまないね、あの女の子知り合いかね」
 警官の後ろの方で、居場所がない様子でパイプ椅子にちょこんと座っている美月。
「ええ残念ながら。もう連れて行っていいのですかね」
「ああ大丈夫。しかし彼女の力もすごいね」
 そうにこやかに、教えてくれる警官。

 軽くめまいを覚えながら、聞いてみる一司。
「何かを、したんですか?」
「いやあ自分の格好に気が付いて、恥ずかしかったらしく、つい力が出たのだろうね。すごい炎だったよ」
 ああやっぱり。
「皆さんに、お怪我は?」
「ああ大丈夫」
「それは何よりでございますです。重ね重ね(かさねがさね)失礼をばいたしました」
 そう言って頭を下げる。

「おおい。美月」
「はっ、一司」

 その瞬間、周りの人間の視界から美月の姿が消えた。
 再び視界にとらえられたときには、一司にアイアンクローを食らっていた。
「それじゃあ、ご迷惑をおかけしました」
と言って、皆に一礼をしてアイアンクローをしたまま、なぜかダンジョン脇の壁に美月を押し込み、自分は地面に潜っていった。

 二人が居なくなり、なんだか安堵される。
「あの会社は、もう。びっくり箱だね」
 と誰かがぼやいた。

 家へと帰りつくと、一司はいつもの壁の突き当りに、ダンジョンをつなげる。
 中へ入ると、なぜかみんなが居た。
「あれ? みんな、こっちにいたのか?」
「もう、家ですか?」
「そうだ」
 頭にクエスチョンマークを浮かべながら、そう答える。
「やっぱり、今度からこれで行こう」
「それがいいね」
 訳が分からんが、みんなが盛り上がっている。

「何の話だ?」
「社長が現場に行ってから、ダンジョンをつないでくれれば、移動が楽だなと」
 そう説明されて納得だ。
「ああ、なるほどな」

「美月は足の裏拭けよ。それじゃあおれは、役所へ報告に行ってくる」
「いってらしゃい」

 玄関で靴を履き、そのまま沈んでいく。
「「「うわぁ」」」
「君か。もしかして、もう終わったのかね」
「ええ、終わりました。それでダンジョンなのですが……」
 変化の状態を伝える。

「と言うことで、一度チェックをお願いします」
「わかった。しかし50階か、チェックも大変だな」チラッ

 当然一司は気が付かない。……ふりをする。
「それじゃあ。お願いしますね」
 笑みを抑えながら、無表情で沈んでいく。

「あっ、逃げられた……」
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