勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

文字の大きさ
158 / 167
第5章 空間崩壊と混ざり合う世界

第3話 終末は突然に

しおりを挟む
「落ち着いたようだが、物が降ってきているな」
「モンスターもね」

 俺、芳雄、みゆき、真魚は南の空を学校の廊下で眺めている。
 みゆきのお母さんが、
「さっきの衝撃は? 一体何があったのでしょうね?」
 と聞いて来る。

「しばらく前から、赤道上に浮いていた黒い球が、壊れたみたいですよ」
 とだけ説明する。
「まあ? それで。こんな所まで、衝撃が?」
「ええ、そうですね」
 そう答えながら、このシールド。いつまで張らないといけないんだと考える。
 すると、考えが漏れていたのか
「人類に対する試練として、厄災(やくさい)を与えるか?」
 孔雀モードで、芳雄がボソッと聞いてくる。
「それは嫌だな。今は普通の人間としての感情も強いし」
 それに対して、俺はそう答える。


 その頃、ドゥアト側。

「おお、世界の境界が壊れたな。いよいよ始まったか」
 喜んでいるのは脳筋な神々や、地球で地獄と呼ばれている所の住人。

 封印されていた者たちも、呪縛から解放され、もろくなった境界を打ち破りながら這い上がって来る。濃厚な魔素を吐き出す闇の住人と、燦然と神気による光を振りまく神の側。どこかの世界に封印されていた、燃え盛る巨人も這い上がって来た。

 巨人に触れたものは燃え始め、口からも炎を吹き出す。
 その炎は善悪関係なくすべてを、燃やしていく。

 どこからともなく炎の長剣を取り出し、目の前にあるものすべてを壊し燃やし尽くす。

「おお、あいつ見たことがあるな」
「不動様。あいつはスルトだと思いますが、伝承と炎の色が違いますな。元は黒い闇の炎をまとっていたはずです」
「どっちにしろ、あいつが落ちると孔雀たちも大変だろう。ちと手伝ってやる」

 そう言って、力を集め始める。
 ところが、この場は混とん状態。
 不動のもとへと、予想以上の力が集まる。
 本人も、
「おお?なんじゃこりゃ」
 と言いながら、収束した神気を撃ちだす。

 ビーム状の神気は、スルトを巻き込みドゥアトの地殻を撃ち抜く。
「おおっ?」
 そう叫びながら、スルトと共に不動そしてその場にいた四天王達を巻き込み、地球へと落下する。
 撃ち込まれたのが神気のため、地球に被害は出なかったが、落ちたところは奇しくもグリーンランド。

 スルトの伝承の残る、北欧にほど近い。

「ありゃ? どうしてこんなことに」
 不動が空を見上げると、空にぽっかりと黒い穴が開き、そこからほかのモンスター達も降って来る。

「やっちゃいましたね」
「ああ。助けるつもりが、とどめを刺したか。あいつらが気が付けば何とかするだろう。お前らもこちら側に落ちると、器を何とかしないと力が出せないだろう」
「そうですね。境界が壊れたためか、普通に来た時よりはずいぶんましですが、帝釈天様を探して頼りましょうか?」
「ああ…… こいつを落とした報告も必要かな?」
 そう言うと、4人ともニマニマと笑ってやがる。



 みゆきのお母さんと、軽くお茶して帰る。
 ちょっと見ないうちに立派になったと、ひたすら芳雄をほめてくれる。
 あとは延々、旦那の給料が増えただの、自慢話が続いたがまあいい。

 うん? 遠くの方から俺を探している気がする。
「じゃあ、ぼちぼちお開きと言うことで、お母さんも家に帰ったらニュースを注意して見てください」
「そうね。地震? もあったし。それじゃあ、みゆきも皆さんにご迷惑を掛けちゃだめよ。頑張ってね」
 そう言って、陽気に帰っていった。

「すいません。母が舞い上がっちゃって」
「ずいぶん嬉しそうだったな」
「弟か妹ができるみたいです」
 ぽそっと、言ってきた。
「まあ、仲がいい証拠だな」



 家へと帰り、俺を探している思念に応答する。
 すると、ポンという感じで目の前に5人現れた。
「四天と不動様?」
〈ああ。申し訳ない〉
 そう言って、いきなり謝られた。
〈どうしたんですか?〉

〈あーとなあ、上でスルトを見つけてな。こっちに来るとやばそうだから、攻撃をしたんだよ〉
〈そりゃ、ありがとうございます〉
 周りの思念が揺れているのは四天か?
〈お前が、こっち側の裂け目にシールドを張っているのは知っている。だがなあ……〉
〈なんでしょう?〉

〈全然違うところをぶち抜いた。スルトも一緒に落ちた。すまん。何とかしてくれ。器も欲しい〉
 それを聞いて、一瞬理解ができなかった。

 再起動をして一言。
〈何言ってんだお前? ああっ。せっかく人が苦労して防御してんのに、天の者が足を引っ張って、何してくれてんだ?〉
〈なんだよ謝ったじゃないか。上位者に何だよ、その口の利き方は〉
 などと言ってくる。

〈お前が悪い〉
 そう言いながら、みゆきと芳雄が出てきた。

 それを見て、やばいと思ったのだろう態度が変わる。
〈あっ。はい。でも器〉
〈いやだけど、壮二と神音ちゃん。なつみと一翔それに霞ちゃんで良いだろう。不動は壮二に入れ。四天は適当だが、問題がある。さっき言った組み合わせで、番(つがい)だ。なつみは帝釈天とだな。中に入れば当然……〉
〈それはちょっと…… 自分で探して来ます〉
 四天は散って消えたが、北方天は帝釈天の側にいると言って、一翔へ入ることにして、相方の吉祥天を探すと言って消えた。

 その後、みんなの前にクリスタルが現れて、無事取ったようだ。
 それは家だけではなく、世界中で目の前に謎のクリスタル出現とニュースになっていた。

「何とかなったな」
 壮二の姿で椅子に座り、足を組んで茶をすすっている不動。
「何とかじゃねえ。スルトはどうすんだよ」
 俺が突っ込むと、
「あっ。一司おにいちゃん。何とかしてよ」
 と言ってきやがった。
 神音ちゃんは横で何も言わず座っているが、神気が漏れてきている。

「出てくんな。壮二のイメージが崩れる」
「ひどいよ。お兄ちゃん」
 神音ちゃんが、黙って立ち上がる。
 おもむろに壮二の襟首をつかみ、引きずってダンジョン側へ消えて行った。
「…………」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...