72 / 120
第3章 アミサム王国 動乱
第72話 王都へ向かう
しおりを挟む
チームの連中に、崖の上にあるダンジョンだけは、手を出すなと言い含め。バスに乗り込む。
メンバーは、結局いつものメンバー。
それに、真一にくっついて、今回カリーネと第二王女マリアーナが参加。
凪沙ちゃんは、何かあるとまずいのでお留守番。
面倒を見るために、クスティの所から、メイドさんのクリスティーネが来てくれている。
「来るときは、馬車で2週間以上かかったのよね」
「あーそうだったね」
勇者二人組が遠い目をする。
走り出してすぐに、俺が整備した田園風景が見えてくる。
「おおみんな、元気そうだな」
「ねえ農家が、軒先で食べているのって、ピザじゃないの?」
「ああ作り方教えたからな。釜も作った」
「どうしてピザ?」
「作るのが簡単だし、パンがないって言っていたからな」
「それって、有名なあれを、もじっただけじゃないの」
「あーまあ良いんだよ。あれだって、ルソーの創作なんだから。ケーキだったり、お菓子だったり、ブリオッシュという菓子パンみたいなものだったり。元ネタは女流作家が伝えた『凶作でパンを食べられない農民の話を聞いて、パンよりもはるかに安価な、パイ生地も食べられないなんて』そう言ってルイ15世の娘であるヴィクトワール・ド・フランスが泣いた。なんていう話が元だとか色々あるしな」
そう説明すると、フッと美咲の表情が笑顔になる。
「まあ、楽しそうで良いわ」
確かに、見えている農民達の顔は明るい。
延々続いた、農奴という身分からも解放したしな。
さて行程だが。タイヤも大きいし、そこそこのスピードで走れるのだが。
所々、雨が降った後、荷馬車などがこねくり返したような所がある。
「土地の問題かな?」
そう言いながら、魔法を発動し、道路の下にある土を、柱状節理のような6角形の柱に変化させる。
土魔法の良いところは、時間や条件を考えず変質作用が行える事。
つまり常温で、一瞬の間に土を石へと変化させた。
長さは、1mくらいにしたから、少々雨が降っても大丈夫だろう。
そんな補修を所々で行いながら、進んでいく。
馬車に比べ、相対的なスピードは速いので問題ないだろう。
だが、隣の領地へ入ってから、農村部の雰囲気が暗くなる。
「できが良くなさそうだな」
植えてあるのは麦っぽいが、分けつも少なく。葉もさびている。
だがまあ、ここは余所の領地。
手を出すなとクスティに言われているし、ここの麦を運んだ荷馬車が、司教をはねた奴らだったはず。
手を出せば、きっとそれをネタに何か言ってくるのが予想できる。
ひとまず、写真を撮り。リポートを作っていく。
王都で暴露して、改善命令を出させてやる。
やばい領内は、補修もせず。ガンガン進む。
やがて少し坂道に入り。周囲は、うっそうとした木々に覆われ始める。
探査をすると、意外と森は広く。
「奥に集落があるな」
「ここは、領境。集落はないはず」
運転席の後ろから、声が聞こえる。
姫さん。ずっと真一に張り付いて、いたはずだが。
ああ。トイレへ行ったときに、カリーネに席を取られたのか。
「どうする? 見に行くか」
「いや。キルペライネン殿の領とも違う。領内の事はそこを納める領主の仕事。無用でしょう」
「じゃあ先を急ごう」
話をしながら、まじまじと松田広大殿を見る。
主。真一様のご友人。
この方も独特の雰囲気を持つ。
決して普通のお方ではない。
そして、この方の伴侶、酒井美咲。
この方もまた、独特の雰囲気がある。
王国が召喚した勇者が出てきたのには驚いたが、他の二人にはこの感じはなかった。主を含めた3人は、きっと特別なのだろう。
目が合うだけで、ゾクゾクする。
王都に戻れば、私が父上達の間を取り持ち。立場を示さねば。
そして手柄をあげれば、必要だと認めていただき、あのような事も望まれ。きっと。カリーネの申していた、新しい世界がきっと私の元に。
「ねえ。広大」
「うん?」
「後ろって、お姫様だよね」
「そう言っていたな。第2王女だったか」
「すっごい、えっちな顔して、よだれを垂らしているけど」
「そりゃ。真一の教育?かな」
「へー何したんだろ」
「興味あるなら、聞いておこうか?」
「いや。いい。気にならないし」
「あっそう」
「村長。先ほど街道を通り過ぎた者たち。何者でしょうか?」
「分からんが、もう少し動くな。すでに、ここの存在を気取られたと思うが。見逃されたか。我らの暮らし、人間にも魔族にも認められないゆえにな」
「それにしても、あの雰囲気。力。歴代の魔王様よりも強大では」
「ああそうだな。かなり距離があるのに、勝手に体が震えおった。村人は大丈夫か?」
「ええ。人間達は、分からなかった様で、普通です」
「力が無いというのも、うらやましいときがあるな。例の調査は何処まで進んだ?」
「未だ、入り口が開きません」
「そうか」
メンバーは、結局いつものメンバー。
それに、真一にくっついて、今回カリーネと第二王女マリアーナが参加。
凪沙ちゃんは、何かあるとまずいのでお留守番。
面倒を見るために、クスティの所から、メイドさんのクリスティーネが来てくれている。
「来るときは、馬車で2週間以上かかったのよね」
「あーそうだったね」
勇者二人組が遠い目をする。
走り出してすぐに、俺が整備した田園風景が見えてくる。
「おおみんな、元気そうだな」
「ねえ農家が、軒先で食べているのって、ピザじゃないの?」
「ああ作り方教えたからな。釜も作った」
「どうしてピザ?」
「作るのが簡単だし、パンがないって言っていたからな」
「それって、有名なあれを、もじっただけじゃないの」
「あーまあ良いんだよ。あれだって、ルソーの創作なんだから。ケーキだったり、お菓子だったり、ブリオッシュという菓子パンみたいなものだったり。元ネタは女流作家が伝えた『凶作でパンを食べられない農民の話を聞いて、パンよりもはるかに安価な、パイ生地も食べられないなんて』そう言ってルイ15世の娘であるヴィクトワール・ド・フランスが泣いた。なんていう話が元だとか色々あるしな」
そう説明すると、フッと美咲の表情が笑顔になる。
「まあ、楽しそうで良いわ」
確かに、見えている農民達の顔は明るい。
延々続いた、農奴という身分からも解放したしな。
さて行程だが。タイヤも大きいし、そこそこのスピードで走れるのだが。
所々、雨が降った後、荷馬車などがこねくり返したような所がある。
「土地の問題かな?」
そう言いながら、魔法を発動し、道路の下にある土を、柱状節理のような6角形の柱に変化させる。
土魔法の良いところは、時間や条件を考えず変質作用が行える事。
つまり常温で、一瞬の間に土を石へと変化させた。
長さは、1mくらいにしたから、少々雨が降っても大丈夫だろう。
そんな補修を所々で行いながら、進んでいく。
馬車に比べ、相対的なスピードは速いので問題ないだろう。
だが、隣の領地へ入ってから、農村部の雰囲気が暗くなる。
「できが良くなさそうだな」
植えてあるのは麦っぽいが、分けつも少なく。葉もさびている。
だがまあ、ここは余所の領地。
手を出すなとクスティに言われているし、ここの麦を運んだ荷馬車が、司教をはねた奴らだったはず。
手を出せば、きっとそれをネタに何か言ってくるのが予想できる。
ひとまず、写真を撮り。リポートを作っていく。
王都で暴露して、改善命令を出させてやる。
やばい領内は、補修もせず。ガンガン進む。
やがて少し坂道に入り。周囲は、うっそうとした木々に覆われ始める。
探査をすると、意外と森は広く。
「奥に集落があるな」
「ここは、領境。集落はないはず」
運転席の後ろから、声が聞こえる。
姫さん。ずっと真一に張り付いて、いたはずだが。
ああ。トイレへ行ったときに、カリーネに席を取られたのか。
「どうする? 見に行くか」
「いや。キルペライネン殿の領とも違う。領内の事はそこを納める領主の仕事。無用でしょう」
「じゃあ先を急ごう」
話をしながら、まじまじと松田広大殿を見る。
主。真一様のご友人。
この方も独特の雰囲気を持つ。
決して普通のお方ではない。
そして、この方の伴侶、酒井美咲。
この方もまた、独特の雰囲気がある。
王国が召喚した勇者が出てきたのには驚いたが、他の二人にはこの感じはなかった。主を含めた3人は、きっと特別なのだろう。
目が合うだけで、ゾクゾクする。
王都に戻れば、私が父上達の間を取り持ち。立場を示さねば。
そして手柄をあげれば、必要だと認めていただき、あのような事も望まれ。きっと。カリーネの申していた、新しい世界がきっと私の元に。
「ねえ。広大」
「うん?」
「後ろって、お姫様だよね」
「そう言っていたな。第2王女だったか」
「すっごい、えっちな顔して、よだれを垂らしているけど」
「そりゃ。真一の教育?かな」
「へー何したんだろ」
「興味あるなら、聞いておこうか?」
「いや。いい。気にならないし」
「あっそう」
「村長。先ほど街道を通り過ぎた者たち。何者でしょうか?」
「分からんが、もう少し動くな。すでに、ここの存在を気取られたと思うが。見逃されたか。我らの暮らし、人間にも魔族にも認められないゆえにな」
「それにしても、あの雰囲気。力。歴代の魔王様よりも強大では」
「ああそうだな。かなり距離があるのに、勝手に体が震えおった。村人は大丈夫か?」
「ええ。人間達は、分からなかった様で、普通です」
「力が無いというのも、うらやましいときがあるな。例の調査は何処まで進んだ?」
「未だ、入り口が開きません」
「そうか」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます
水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。
勇者、聖女、剣聖――
華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。
【戦術構築サポートAI】
【アンドロイド工廠】
【兵器保管庫】
【兵站生成モジュール】
【拠点構築システム】
【個体強化カスタマイズ】
王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。
だが――
この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。
最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。
識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。
「今日からお前はレイナだ」
これは、勇者ではない男が、
メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。
屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、
趣味全開で異世界を生きていく。
魔王とはいずれ戦うことになるだろう。
だが今は――
まずは冒険者登録からだ。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。
音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、
幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。
魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。
そして再び出会う幼馴染。
彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。
もういい。
密かにやってた支援も打ち切る。
俺以外にも魔道具職人はいるさ。
落ちぶれて行く追放したパーティ。
俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる