人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり

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第3章 アミサム王国 動乱

第73話 要塞での一幕

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「先触れか、使者はどうなった?」
「なにも、到着してございませぬ」
 王である、ラウリ・ヒルム・アミサムと宰相サロモ・ティモネンは、第二王女マリアーナ・ヘレナ・アミサムからの連絡を待っていた。
 しかし全くの、梨の礫(なしのつぶて)。

 当然、第二王女の身にプローペで何が起こったかなど、予想もできていない。
 まさか、あっという間に懐柔され、逆に王を説得するために、今まさに近付いてきているなど思いもよらない。


「この先には、防御用の要塞がございます」
「要塞?」
「はい。有事ではありませんので大丈夫かと思いますが、この乗り物は目立ちますので、連絡が魔道具により届けられると思います。ですが、魔道具で伝わるのは異変の有無のみで、細かな内容は届けることができませんので、鳥か早馬での連絡となります。私が、話をつけますのでご安心ください」
 マリアーナの発案により、要塞で一度止まる。

「ヴィボルク要塞か、久しぶりだな。まだ元帥トルケル・サルメラが、おられれば良いのだが。責任者と面会がしたい。私は、第二王女マリアーナ・ヘレナ・アミサムだ」
 そう言って、首から下げていた紋章を見せる。

「知り合いなのか?」
「あっ。当然でございます。これでも第二王女ですので、お任せください」
 マリアーナは、アニタと真一を連れ、要塞の門番に伝言を頼む。

「元帥。ご面会に、第二王女マリアーナ・ヘレナ・アミサム様がおいでになっております」
「姫様が? すぐにお通ししろ」
「はっ」

 応接室へ通され、扉が開かれる。
 するとマリアーナは、ずかずかと部屋へ入ると、ソファーに座る。
 ふーん。ここで一番偉そうな人が、下座ね。
 いや知っていたが、普段のポンコツ加減を知ると信じられない。
「無事息災か」
「はっ。姫様もお変わりなくお美しい」
 そう言われると、一瞬マリアーナの顔が曇る。

「世辞は良い」

「別に世辞ではありません」
 そう言って、元帥とやらはにへっと笑う。

「それで、そちらの方は?」
 堂々とマリアーナの横に、腰を掛けている俺を睨み、質問してくる。
 元帥は、はげ上がり、立派なひげを蓄えた、どこかの絵画にでも描かれていそうなじいさん。でも最近。こちら側で出会う人間。年を聞くと、ほとんどため年か年下なんだよな。

「こっ。こほん。このお方は、我が伴侶となられるお方。今回その報告もあって、王都へ戻る途中である」
 さすがにそう聞き、元帥トルケル・サルメラの右の眉がピクリと上がる。

「ほう。それは初耳。このお方を。失礼ですが存じませぬ。失礼ながら、ご紹介いただいてもよろしいでしょうか?」
 元帥がそう言うと、マリアーナの眉間にしわが寄る。

「ほう。そなた、王。父上よりも、先に紹介を所望するのか? 随分な物言い。だがまあ良いだろう」
 マリアーナにそう言われて。瞬間、しまったという表情がとっさに浮かぶ。

「この方はな、日本国の。……神だ」
「「なんだと」」
 やべえ。元帥と同時に、つい俺まで声に出した。

「神。ですと? 姫様さすがに」
 そう言ったときに、抑えていた、神気を少し解放してみる。

 そうだよな。最近。
 広大もそうだが、神気を解放すると、体が金色に光るんだよな。
 それを見て、マリアーナはぷるぷるし始めるし、おっさんは目を見開き。固まった。
「真一様。もうよろしいかと」
 カリーネから、ストップ命令が来る。

「今の力は?」
「今の力を見たでしょう? 真一様の素晴らしいお力を」
「えっええ。この堅牢な要塞が震えておりました」

「まあ、こちらには通信用の鳥か何かがあるのであろう。私たちの移動が早すぎて、使者を出しておらぬ。王都へ、連絡を出しておいてくれ」
「はっ。この、トルケル・サルメラの名において賜りました。到着はいつ頃の予定でしょうか?」

「真一様。いつ頃に、到着いたしますでしょうか?」
「ここから、馬で何日くらいだ?」
「早馬で、何とか丸2日。普通の馬車で5日ほどでしょうか」
 おっさんが、答える。
「じゃあ。メモ通りだと、何もなければ明日にはつくな。と言うか普通に走れば4~5時間ほどだ」
 メモには、この世界の移動目安が書いてある。
 乗合馬車だと、1日25km程度。急使が馬を乗り換え1日50~80kmと書いてある。
 元気のある奴なら、走った方が早いが、盗賊にやられる事がある。

 意外と馬は、全力で走り続けることはできない。

「そんなに早く。一体どうやって?」
「それは。馬が必要ない。車と呼ばれるものでございます」
 背後から、カリーネが答える。
 すると、おっさんが少し表情が変わる。

「そなたは? 侍女ではないのか?」
 そう聞かれて、カリーネが名乗る。

「これは、申し遅れました。元帥様。私、カリーネ・ティモネンと申します。父は、王国宰相。サロモ・ティモネンと申します」
 そう言うと、驚いたようだ。
 また目が大きくなった。

「ああ。それは申し訳ない。お付きの者かと勘違いをした」
「いえ。今の立場は、侍女で間違いはありません。お気遣いなく」
「そうかね。ではまあ。先ほどの情報を、送らせましょう」
 そう言うと、小さな紙を取り出し、器用に丸ペンみたいなペンで、要件を書き。控えていた男に渡す。
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