人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり

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第3章 アミサム王国 動乱

第115話 静に、戦いの幕は上がる

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〈全体マップは、こんな感じとなります〉
 眼前に、3D化したマップが現れ。ぐるぐる回る。
 その中に、経路の矢印が現れる。ところが至る所に、赤丸がうたれている。

「この赤丸は何だ?」
〈データ上の、防衛システムとなっています。ですが、ユニットが起動してから勝手に改良がなされています。お気を付けください〉

「そのユニットって、結局何だ?」
〈悪意の固まりでしょうか? 恣意的によくない制御を行っています。今の状態ですと、ナノマシン散布量が増大します。今のところ、散布マシンの稼働量自体が少ないので、多少増えても問題はありませんが、死亡または変異する個体が動植物。人間も含め出てきます。過去の件で、変異した人間の子孫が、先日登録されたイブリース様達と思われます。スキャンした際、ナノマシンとの融合率がかなり高くなっていました〉
 淡々と、ステラが伝えてくるが、これってとんでもない情報じゃないか?


「融合率?」
〈はい。一時的な細胞での利用ではなく、蓄積され。元からあった細胞のように一体化しています。まるで、ミトコンドリアのように〉

 過去に変異して、別の大陸に隔離されたのが魔王達。魔族だったのか。
 するとモンスター達もそうなのか?

「分かった。いくぞ」


『私の管理下に、何者? マスターコード? 敵だな。また封じようと来たか。前回はいきなりエネルギー供給を切られて、手も足も。いや元から無いが、他のユニットも使えず終わったからな。目にもの見せてやる』

 このユニット。過去に居た技術者が、12歳の頃に夢見た。世界征服を実現するため組み込んだ。ちょっとアレなユニット。周辺をハッキングして、制御下に置き。ある程度までいくと、自身で増殖する。『侵略君。モデル魔王。我の渇望を満たすために、潰えることなく世界を御し。我が手に掴め』と名前が付いている。制作者の気持ち的には、内部に邪悪な何かが封印されている設定。

 そう。こいつが思ったように、月からのエネルギーを切り。ユニットを除外すれば良いだけ。それも、全体じゃなくて、関係部分だけエネルギーを切れば良い。

 もちろん。ステラ様はそんなことは分かっている。
 だが、広大に興味を持ってしまった。
 今培養システムで、自身の行動できる端末も培養中。
 一般的な人間の5倍程度の基礎能力と、データ化されていた美。黄金率の体。それに広大の趣味を加味して味付け。生殖能力はないが機能はある。
 それを起動し、側に控え。これから行動をするのにふさわしいか、それのテスト。

 そう、ステラさんはずっと見ていた。
 美咲との睦み事を見ていると、システムに軽微なバグが発生。これはなんだろうと検索および演算。
 そして、私も側に居たいのだと、結論づけた。
 

『さて。我のテリトリーに入ってきた愚か者達よ。その愚かさを、身に刻むがいい。無論知ったときには終わって居るがな。ファイエル』


 突然の攻撃が、広大達を襲い始める。
 焦点温度が、3000度を超えるレーザーが、4方から襲いかかる。
 無論、仲間全体にシールドが張られ、そんなものは意に介さず、退ける。
 だが金属製の通路は、切断される。

 当然落下し、ばらけてしまった。

「あらまあ。どうするか?」
 周りを囲む、高いユニットの壁。
 目の前に、マップを出して貰い、全員の位置を確認する。
「美咲は隣の通路だが、ユニットをぶっ壊すわけにはいかんのだろうな。これだけごちゃごちゃしていると、転移も怖いな。空間魔法でゲートみたいな使い方を覚えておくべきだったな」
〈美咲。聞こえるか?〉
〈聞こえるけど、どこ?〉
〈すぐ隣だが、マップを見るとな。ユニットを先に壊しに行った方が早そうだ。おまえの方は、少し戻った所に勇者くんとマリアーナが居る。合流してくれ〉


 別の通路。
「聞こえた?」
「うん。聞こえた。真一様の声」
 そう言って、エルミはぴょんぴょんと、じゃまなユニットを飛び越え、真一の側へ行く。
 床から生えている、ユニットの間に右足が挟まり。真一は何故か、宙づり状態。
「おう。おまえ達か。ちょっと引っ張ってくれ」
 真一の両側へ移動をして、背中を支える。

 真一は左足でユニットを蹴り、右足を抜きながら振り上げ。バク転をする。
「この適当につけた、ユニットだかなんだか知らんが、脆すぎる。落下したときに右足着いたら壊れて。挟まっちまった」
「お役に立ちました?」
「ああ。エルミ。ありがとうな」
 頭をなでる。

「アミーもありがとうな」
「いえ。お役に立てて嬉しいです」
「さて行くか。ステラだったな? 聞こえるか?」
〈はい。何でしょう?〉
「目的地までの、マップは見られるか?」
 目の前にマップが浮かび、各自の位置が示される。

「こう行って、こうか。よし分かった。また曲がり角近くで出してくれ」
〈はい〉


 さて、勇者くんとマリアーナ。
 いまマリアーナは、勇者くんにお姫様抱っこされている。
 無論、かなりの高さがあるところから落下したため。当然の措置。
 
 だが、衝撃と落下でマリアーナは気絶中。
「これ困ったな」
 そう思っているところに、美咲登場。
 無論満面の笑顔。

「あらぁ。良い雰囲気の所。ごめんね坂本君」
「ああ。酒井さん。助かった。彼女気を失っていて、下ろすに下ろせないんだ」
 マリアーナは気を失っていたが、夢を見た。
 真一にお姫様抱っこされ、王城の謁見の間。
 その状態で、王になる宣言をしてくれた。
 これでこの王国は、真一のもの。

 マリアーナは、お祝いのキスを送る。
 むちゅっと、熱烈に。

「あらあら。これは、記念写真。ちゃーんす」
 悪魔のような、笑みを浮かべた美咲のスマホから、連写音が鳴り響く。
 様々なアングルそして、接写。
 がっしりと押さえ込まれ、キスをされて固まる勇者くん。
 やがて、堪能したマリアーナが、目を開ける。
 その目は、開かれるだけにとどまらず。限界まで見開かれる。
 やがて、すっと普通の目に戻る。

「坂本様。失礼いたしました。これは事故という事で、他言無用にお願いいたします」
 マリアーナは努めて冷静に、抱っこから降り。振り返る。
 そこには、満面の笑みを浮かべて、スマホをかまえる美咲。
 その時、マリアーナは絶望を知った。
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