27 / 40
第2部-ファフニール王国・成長編-
027_思い出の地
しおりを挟む
後日オズウェルは約束通り、リリアとレオファルドを連れて思い出の地へと足を運んだ。
護衛が必要だと提言するクロウを屋敷に残し、3人だけの遠乗り。
バーロンド家の馬を借り、レオファルドも自ら馬に跨っている。
「オズウェル、あとどのくらい?」
後ろを振り返ったリリアに、一度馬をとめたオズウェルはまっすぐ腕を伸ばして先指さす。
「もう少しですよ、ほらあそこにお屋敷が見えるでしょう?」
小さな山の上、森の奥に小さく屋敷の屋根が見える。
そこがリリアが昔住んでいた屋敷。
手前にある森が、3人の出会った場所だった。
今度は隣に馬を止めていたレオファルドを振り向き、満面の笑みを浮かべる。
「懐かしい! ね、レオ。ちゃんと覚えてる?」
「お前よりは覚えてると思うが。ほら、さっさと行こうぜ」
促されて再び進み始める。
道中は駆け足だったが、森に入ってからは辺りを懐かしみながら進むためゆっくりとした速度。
下町と、山頂にある屋敷とのちょうど中間の辺りに、目的の場所はあった。
山道から少し外れた小道を進んだところが少し段差で下がっており、そこには小舟を浮かせることができるほどの大きな泉が広がっていた。周りには膝程までの草花が茂り、風に流されそよいでいる。
「すごい!全然変わってない」
周りを見回したリリアがオズウェルの腕の中で嬉しそうに声をあげた。早くあの場所へ行きたいと前のめりになるのをみて、苦笑したオズウェルが馬を進めた。
「ここまで昔のまま残っているとは思ってなかったな」
三人が腰を落ち着けたのは、昔よく座っていた場所。幼かった頃と同じようにリリアを挟んだ。
「こうしていると出会った頃を思い出しますね」
「あの時は2人ともとっても大きく見えたのに、今はちょっと大きいくらいだね」
「ちょっとではないかと」
「そんなことないよ!」
両サイドからまだ小さいと覗き込まれ、リリアは不満そうに頬を膨らませた。
そんなリリアを面白そうに見ながら、手元にあった小さくて白い花を手折る。
「ほら、テストだ。これは?」
差し出された花をじっと見つめ、笑顔で答えた。
「これはユーミ。レオが初めて教えてくれた花だよ」
「正解だ。こっちは?」
「ラムアイ。毒消しに使われるんでしょう?」
「よく覚えているな」
「本でもよく読んでいたからね」
幼いころ、当たりに生えている草花のことを教えてくれた。とリリアは懐かしそうに手折られた花を受け取る。
次々と手折られた花は、リリアの回答と共に手の上へ重ねられていく。
昼を挟んで懐かしい時間を過ごした三人は、日が沈む中を帰った。
「ちょっとレオ、くすぐったいよ」
「そういうな。お前が落ちたら困るから」
「大丈夫だから」
馬の上で体を支える手がリリアの脇をくすぐり、その反応にレオファルドは笑う。
「そういえば初めてリリア嬢が馬に乗ったときはぴったりとくっついていらしたのに、数度乗るとすぐに慣れてしまわれましたね」
「うん、二人とも落とさないってわかってたから」
「面白くないやつだ」
「そうですね。信用は嬉しいですが、もう少し見て居たかった気もしますね」
「意地悪!」
三人の穏やかな時間がながれ、もう少しで屋敷に着くというころ、リリアは後ろを振り返った。
背中越しにレオファルド、隣の馬にはオズウェル。突然のリリアの行動に首を傾げて反応を待つ。
「やりたいこと、みつけたよ」
「おう、言ってみろよ」
「もっと植物のことが知りたい。いろんな植物を見たいし、触れ合いたい」
「それはいいですね。具体的には何を?」
「それは……まだ、わからないけれど」
「ゆっくりとお考えください。できる限りの協力は致しますから」
「リリアにぴったりな趣味だな。いつか俺が知らないことを教えてくれるんだろ?」
「うーん、頑張るね」
優しいまなざしの二人に見守られて、リリアは照れた表情で頷いたのだった。
護衛が必要だと提言するクロウを屋敷に残し、3人だけの遠乗り。
バーロンド家の馬を借り、レオファルドも自ら馬に跨っている。
「オズウェル、あとどのくらい?」
後ろを振り返ったリリアに、一度馬をとめたオズウェルはまっすぐ腕を伸ばして先指さす。
「もう少しですよ、ほらあそこにお屋敷が見えるでしょう?」
小さな山の上、森の奥に小さく屋敷の屋根が見える。
そこがリリアが昔住んでいた屋敷。
手前にある森が、3人の出会った場所だった。
今度は隣に馬を止めていたレオファルドを振り向き、満面の笑みを浮かべる。
「懐かしい! ね、レオ。ちゃんと覚えてる?」
「お前よりは覚えてると思うが。ほら、さっさと行こうぜ」
促されて再び進み始める。
道中は駆け足だったが、森に入ってからは辺りを懐かしみながら進むためゆっくりとした速度。
下町と、山頂にある屋敷とのちょうど中間の辺りに、目的の場所はあった。
山道から少し外れた小道を進んだところが少し段差で下がっており、そこには小舟を浮かせることができるほどの大きな泉が広がっていた。周りには膝程までの草花が茂り、風に流されそよいでいる。
「すごい!全然変わってない」
周りを見回したリリアがオズウェルの腕の中で嬉しそうに声をあげた。早くあの場所へ行きたいと前のめりになるのをみて、苦笑したオズウェルが馬を進めた。
「ここまで昔のまま残っているとは思ってなかったな」
三人が腰を落ち着けたのは、昔よく座っていた場所。幼かった頃と同じようにリリアを挟んだ。
「こうしていると出会った頃を思い出しますね」
「あの時は2人ともとっても大きく見えたのに、今はちょっと大きいくらいだね」
「ちょっとではないかと」
「そんなことないよ!」
両サイドからまだ小さいと覗き込まれ、リリアは不満そうに頬を膨らませた。
そんなリリアを面白そうに見ながら、手元にあった小さくて白い花を手折る。
「ほら、テストだ。これは?」
差し出された花をじっと見つめ、笑顔で答えた。
「これはユーミ。レオが初めて教えてくれた花だよ」
「正解だ。こっちは?」
「ラムアイ。毒消しに使われるんでしょう?」
「よく覚えているな」
「本でもよく読んでいたからね」
幼いころ、当たりに生えている草花のことを教えてくれた。とリリアは懐かしそうに手折られた花を受け取る。
次々と手折られた花は、リリアの回答と共に手の上へ重ねられていく。
昼を挟んで懐かしい時間を過ごした三人は、日が沈む中を帰った。
「ちょっとレオ、くすぐったいよ」
「そういうな。お前が落ちたら困るから」
「大丈夫だから」
馬の上で体を支える手がリリアの脇をくすぐり、その反応にレオファルドは笑う。
「そういえば初めてリリア嬢が馬に乗ったときはぴったりとくっついていらしたのに、数度乗るとすぐに慣れてしまわれましたね」
「うん、二人とも落とさないってわかってたから」
「面白くないやつだ」
「そうですね。信用は嬉しいですが、もう少し見て居たかった気もしますね」
「意地悪!」
三人の穏やかな時間がながれ、もう少しで屋敷に着くというころ、リリアは後ろを振り返った。
背中越しにレオファルド、隣の馬にはオズウェル。突然のリリアの行動に首を傾げて反応を待つ。
「やりたいこと、みつけたよ」
「おう、言ってみろよ」
「もっと植物のことが知りたい。いろんな植物を見たいし、触れ合いたい」
「それはいいですね。具体的には何を?」
「それは……まだ、わからないけれど」
「ゆっくりとお考えください。できる限りの協力は致しますから」
「リリアにぴったりな趣味だな。いつか俺が知らないことを教えてくれるんだろ?」
「うーん、頑張るね」
優しいまなざしの二人に見守られて、リリアは照れた表情で頷いたのだった。
20
あなたにおすすめの小説
親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友?が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!
音無砂月
ファンタジー
親友面してくる金持ちの令嬢マヤに巻き込まれて死んだミキ
生まれ変わった世界はマヤがはまっていた乙女ゲーム『王女アイルはヤンデレ男に溺愛される』の世界
ミキはそこで親友である王女の親友ポジション、レイファ・ミラノ公爵令嬢に転生
一緒に死んだマヤは王女アイルに転生
「また一緒だねミキちゃん♡」
ふざけるなーと絶叫したいミキだけど立ちはだかる身分の差
アイルに転生したマヤに振り回せながら自分の幸せを掴む為にレイファ。極力、乙女ゲームに関わりたくないが、なぜか攻略対象者たちはヒロインであるアイルではなくレイファに好意を寄せてくる。
「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
真実の愛のおつりたち
毒島醜女
ファンタジー
ある公国。
不幸な身の上の平民女に恋をした公子は彼女を虐げた公爵令嬢を婚約破棄する。
その騒動は大きな波を起こし、大勢の人間を巻き込んでいった。
真実の愛に踊らされるのは当人だけではない。
そんな群像劇。
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
王太子妃が我慢しなさい ~姉妹差別を受けていた姉がもっとひどい兄弟差別を受けていた王太子に嫁ぎました~
玄未マオ
ファンタジー
メディア王家に伝わる古い呪いで第一王子は家族からも畏怖されていた。
その王子の元に姉妹差別を受けていたメルが嫁ぐことになるが、その事情とは?
ヒロインは姉妹差別され育っていますが、言いたいことはきっちりいう子です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる