Seeker at night

西崎 劉

文字の大きさ
9 / 19
第一幕 終焉の物語と殉教者たち

二:③

しおりを挟む
当日、遥は仕事が終わった後、一旦帰宅をした。友香は遥を家で待っていたようで、紅茶を飲みつつ、テレビを見ながらお菓子を食べていたが、遥が「ただいま」と暖簾をくぐって、茶の間のテレビを置いている場所に顔を出すと、茶の間へ続く廊下の途中にある、食堂の隅に積んである食料品に顔をひきつらせる。量が量だった。備蓄といって過言ではない。ちゃぶ台の上のミックス海鮮煎餅の袋を破って一枚取りだし、啣えると友香は振り返った。
「え? 買い物をまとめてしただけだけど?」
「・・・・・・・・どれくらい分? ちなみに」
「一応三ヶ月分。いい発散になったよ!」
 いい笑顔で、友香は親指を立てた。
「普段、だいたい一週間分だよね?」
「そだね。けど、慌てるよりはいいんじゃない?」
「・・・・・・・・・・・・」
遥は眉間を人差し指で押さえながら深いため息を吐く。
「うん・・・・・・ま、長期保存出来るものだからいいかな? お米の湿度管理は開封さえしなければ、黴びないし」
 茶の間から見える縁側から見える、庭の端には、昨日まで無かった、苗木やその他が見えた。遥は朝交わした会話を思いだし、どうしてこうなったと頭を抱える。たしか一万円縛りにしたはずだから、買えてもそう多くないはずだが、どうみてもそれ以上の購入が伺える。
(え、これ全部)
 ぎこちなく、友香の方へ振り返ると、「何も気付いていません」とでも言わないばかりに、視線を合わせずお菓子を食べ続けている。深い深いため息を吐いた。あの苗木が、この庭に植えるのだとしたら、ぎちぎちになる量だ。半分以上が、植木鉢で管理した方が良さそうだと、地植えをあきらめる。遥は茶の間の壁掛け時計を確認すると、時計は午後の七時になるところだ。自室に振り当てられている部屋に戻ると、財布等といった貴重品を入れて常に持ち歩いている、手提げバックの他に、昨日の内に用意していた必要最低限の非常時に持ち出せる鞄を手にして、茶の間に戻る。すると、先ほどまでテレビを見ながらお菓子を食べていた友香も、準備がすんでいたのだろう、旅行鞄を部屋から持ち出し、外出様に着替えて待っていた。
「あ、今日、母さんたちも一緒だから」
「え?」
「遥の両親もだよ。久しぶりにみんな揃って夕食食べようって、話をしたんだよ」
 遥はぽかんと、口を開けたまま、企み顔の友香を見る。
「・・・・・・・・・・へ?」
「待ち合わせ場所を、みんなの集合場所にしているよ。天神・福岡駅のモニター前。普段から待ち合わせに使う場所だから、人混みが凄いかなとは思ったんだけど、混む時間帯から少しだけズレているからねぇ。遥の兄弟はもう結婚しているからわからないけどさ、おばさんたちには、一応伝えてくれと話してる」
「・・・・・・・・・・・・」
「わたしの兄弟は、県外だからね、来るかどうかは不明だよ。何しろ、連休でもなければ、年末年始でも、お盆でもないから、無理には誘えないし。とりあえず、家族ぐるみでお食事会をするという話を伝えてはいるよ。父さんたちは、今日の午前中は別の用事があって、それぞれの場所から向かうっていってたし、母さんは遥のお母さんとデパートで買い物をしてから向かうからどちらも現地集合」
「・・・・・・・・・・・・これで全員揃ったら凄いよねぇ・・・・・・・・・」
 遥は深いため息を吐くと、友香を誘った。
「何はともあれ、私たちもそろそろ行こう。告知した時間に遅れるよ?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について

いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。 実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。 ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。 誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。 「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」 彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。 現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。 それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

処理中です...