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第一幕 終焉の物語と殉教者たち
二:④
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友香は車の免許を持っていたが、今日は場所が場所だ、電車で移動した方が近いから、自家用車は現在の住居である一軒家に添え付けてある半地下に停めてある。そこから徒歩で駅までは五分、私鉄電車の急行で目的の福岡駅まで十二分だ。待ち時間を含めて約四十分。待ち合わせは八時半。目印の駅と隣接する大画面のモニターがある場所に二人で近づくと、かなりの賑わいで、遥は顔を引き攣らせ、座ったり立ったりしながら楽しげに会話を交わしている一角を伺う。
「ゲリライベントのようだね。それに、結構同業者らしき人物が」
友香は遥の背に隠れてそっと周囲を見渡す。すると、何カ所かで色紙にサインをしている人物が居た。その周囲には、慣れた様子で整列させたり、会話を交わしている者たちもいる。それが一人ではないのだ。友香は指折り数えつつ、サインをしている者たちの容姿を確認して、何度か納得するように頷くと、遥を見上げた。
「ん?」
「直接会ったことは無いけど、全員知ってるわ。・・・・・・今回、ナイ・シーの漫画化に関わった古屋さん達経由の知り合い」
「・・・・・・暇人なの?」
「“天神・モニター前集合!”って、告知から一週間しか無かったはずなんだけどなぁ・・・・・・」
遠い目をしつつ、二人で立ち尽くしていると、何カ所か固まりが出来ている集団から抜け脱してきたのは、同業者の一人で、飯島聡と同じく、スポーツ関連の漫画を描いている者だ。所属する雑誌社は違うものの、内輪の集まりでは頻繁に飛び入り参加している猛者でもある。遥と友香に気付いたその者、星浦正美は、にこやかに手を振りながら、側に居た者から何かを受け取ると、心持ち早歩きで近づいてきた。
「柊センセ!」
「・・・・・・星浦先生、皆でなにやってるんですか・・・・・・」
遥の背後から覗くようにして、相対すると、呆れた声を上げる。
正美は持っていたもの、まっさらな色紙を友香に渡す。
「キャラはジョブイル・ロジムで、俺宛に!」
ついでにご丁寧に蓋まで取ってマジックまで渡されて、深いため息を吐く。ジョブイル・ロジムとは、友香が雑誌で連載している漫画に登場する、主人公の義理の兄の立ち位置の人物だ。友香は慣れた様子で簡易にジョブイルの顔を描くと、下に星浦正美先生へと添え書きし、隅に自身のサインを描いて返す。正美は嬉しそうに小躍りをすると、友香の質問に答えた。
「柊先生の漫画や小説が好きな同業者っていうのも多いからな、絶対こういうノは、参加してなんぼだろ? 皆、直接先生が参加するって聞いて、都合がつく連中は来ていると思いますよ!」
むき出しのマジックのキャップを閉めると、胸元のポケットになおしながら、こちらに気付いた何人かに顎をしゃくって見せたり、手を振ったりしている。その内、友香に気付いたそれぞれの集団から抜け出しては友香にサインを求め、会話を二、三交わしては戻っていく。中には色紙を数枚纏めて渡してくる者も居て、友香は結局わらわらと集まってきた者たちにサインをするのに忙しくなった。
完全に合同サイン会である。セッセと流れ作業の様に、要望を受けながら、サインをしては名前を聞いて、中には握手を交わしたりしながら忙しくしている友香の背後で、遥は見守っていると、軽く肩を叩かれた。
「あ、母さん」
「父さんたちは、先ほど改札口を出たって連絡があったわ。・・・・・・で、友ちゃんは何しているの? 今日、その手のイベントってあったっけ」
「・・・・・・予定では無いよ。なんか漫画家や小説家の先生方が偶然集まってね、想定外に。で、彼らにサインを求める、ファンたちが、サインを強請ったていう感じ」
「へぇ・・・・・・」
「元々、友香の公式ホームページで、今日の八時半にココに集合って、号令かけてたんだけど、そうしたら、こうなったってわけ」
遥の母である西荻玲子は、忙しそうに次々と持参してきたと思われる色紙にサインしている様子を楽しげに伺っている、友香の母の、柊巳波へ振り返る。ちらりと腕時計で約束の時間を確認したが、すでに現場には到着しているわけだから、問題ないと言わないばかりに、にまりと笑った。それに、遥は顔を顰める。
「・・・・・・なに?」
「父さんたちが、しれっと友ちゃんにサイン貰うために並んでいるから、わたしも行ってくるわ」
玲子が顎をしゃくってみせた方向に、六十代の男が二人、なんだか楽しそうに会話を弾ませながら並んでいる。良く見ると、更にその数人後ろに、友香と遥の兄弟たちが、自身の子供たちを連れて並んでいた。遥は内心、友香に同情する。今は急遽始まった突発サイン会によそ行きの表情で黙々と対応しながらファンサービスのつもりで、サインをしているが、身内にサインをするのがどれだけ羞恥心を覚えるかと同情する。友香を支えるつもりで、近くの自販機から紅茶のペットボトルを買ってきた。友香は側に遥が来たことで、どこかホッとした表情をしていたが、ふと上げた顔が、自身の兄弟や両親を見つけて、顔が強ばり朱に染まる。
「・・・・・・がんばれ」
「どんな羞恥プレイ」
「母さんたちも楽しんでいるようだしねぇ・・・・・・」
「あああああっ・・・・・・なんでこんな人が多いところで」
友香は嘆いて見せながらも、次々とサインをしているが、遥には友香が自棄になっているのが判ってついつい笑ってしまった。両親と兄弟たちの番が来たときは、流石に恨みがましい視線を向けていたものの、それでも拒否することなく淡々とこなし、在る程度捌けた後は、友香に労いの肩たたきをしたものだ。
「お疲れ!」
「・・・・・・母さんたちや時生たちも澄まし顔で、二、三枚づつ頼んできたんだよ。あ、従兄弟の咲夜君たちも来てたみたいだね、あそこ」
友香はそういって、少し離れた場所で、保護者数人と共に集まって談笑している学生集団へと顎をしゃくる。下は咲夜と同じ小学生で、上は大学生だろうと思われる者たちが談笑していた。
「・・・・・・何人か見たことあるわ、友香のファンクラブの連中じゃない?」
「正確に言ったら、ナイ・シーのファンクラブだよ。・・・・・・あ」
ふと腕時計に友香は視線を落とし、のぞき込むようにして遥も見ると、時間は丁度約束の刻限、午後の八時半になった。この場に集まった者たちは、大事そうにサイン色紙を抱えて楽しげにカウントダウンをして、ワイワイと盛り上がっている。ひいらぎ春香という漫画家であり作家は、雑誌のイベント企画でしかサインを手に入れる機会が無いため、今回の号令は彼らにとってはまたとない機会だった。今回は“ナイト・シーカー”という、作者が個人で企画を立ち上げた、ゲリライベントとして受け止められている。が、
「・・・・・・遥?」
カウントダウンを集った者たちが告げる中、遥の耳には、誰もが聞こえない“音”が聞こえた。はじめは寺の鐘。次は教会の鐘。近くにはそれほど鐘をつく音が聞こえるような、場所ではない。町中で、駅の構内。建物の中であり、聞こえるのは、外の道路を行き交う車が走る音や、電車が発着する際のブレーキやベルの音だ。それに混じって、訪れた人々の談笑や構内に流れる音楽や雑多な広告、時折流れる構内放送で、煩雑としているが、どれか一つが目立って耳に入ることはない。一駅先には、寺院や神社があるが、鐘が突かれるのは、滅多にない。国を挙げての鎮魂か、年末の除夜の鐘くらいだ。
「・・・・・・・煩いくらいに鐘が鳴ってるの。除夜の鐘と違うのは、教会の鐘の音も聞こえるってこと」
友香は、ざっと周囲を見渡し、自分と遥の家族の立ち位置を確認し、目線と顎をしゃくることで皆を呼ぶ。遥と友香の両親は不思議そうな様子で寄ってくると、あちこちバラケている兄弟たちの家族も側に呼び寄せる。その間にも、カウントダウンは続き、二桁が一桁となり、そして、約束の刻限を迎えた。楽しげにカウントダウンを数えていた、友香のホームページの号令で集まった人たちは、この約束の刻限を迎えた後、それぞれがそれぞれ、共にここへ来た人たちと共に、色々計画していたのだろう、一斉に友香の方へ顔を、視線を、意識をその瞬間向けた。と、一際大きな鐘の音が響きわたり、戸惑った様子でざわめく。
・・・・・・始まりは小さな悲鳴だった。何げなしに友人と共に来ていた、その少女は、ふと外を見て、声を震わせる。やがて、喉を詰まらせたような、掠れた声で外を見るように皆を誘導した。次に声を上げたのは、その声につられて、少女が示した外を見た男性だ。やがて、ざわめきが大きくなり、伸び上がるように、外へ通じる巨大モニターがあるホールの先に広がる四角に切り取られた外を見る。時間は夜の八時半を回った頃。福岡の商業街の中心部である福岡駅を内包した、駅ビルの内と外。区切りはそれだけ。けれど・・・・・・
「なんだ、ありゃあ」
外は相変わらずの賑わいで、八時半は、仕事帰りの人々の、帰宅ラッシュの第一陣。いつもの通りの光景が広がるはずなのに、外で普段通りに見える景色の中、違うことが一つ。半透明の、様々な幼虫の形の“何か”に取り付かれ、何かを貪られているのだ。笑顔で行き交う人々、仕事帰りの様子がうかがえる、草臥れた人もまた、例外ではない。空から飛来する無数の白い胞子のようなもの。それが、何も知らずに歩いている人々の上に降り注ぎ、着床し、孵化し、次々と蛹へと姿を変え、そして羽化すると空へと飛び立つ。怖気立つその光景に、パニックとなった。と、柏手一つ、打った。甲高いながらも、その場によく響き、ひとときではあるものの、その場に居た人たちは冷静を取り戻す。
「誰か、説明できるか!」
若干青ざめた顔色の初老の男がその場に集まっている者たちを見渡し、嗄れた声で問いかけた。それに応えたのは、友香の従兄弟である柊咲夜だ。友人たちと共にここへやってきて、このカウントダウンに参加していたのだ。小学生である彼が夜だというのにこの号令に参加出来たのは、友香や遥たちが参加する事と、二人の両親も現場にいるから、咲夜の両親は大丈夫だろうと許可したのだ。
「外の化け物が見えるなら、空に広がっているものも見えると思うよ」
まだ幼さが残る高い声音で告げられたその言葉に、バラバラと、ホールの先に見える外が見渡せるぎりぎりまで駆け寄り、未だに蠢き何かを吸収しては空へと飛び立っていく化け物に気付かれないように、そっと、建物から伸び上がるようにして、闇夜を見上げる。そこに広がる光景に誰もが息を飲んだ。人々から何かを搾取して、それを糧に孵る化け物。その先には淡く光る沢山の影法師のようなものが、その化け物と戦っている。それを確認したあと、人々は戻ってくると、強ばった表情のまま、咲夜へ視線を再び向けた。それはもう、確認する前の半信半疑ではなく、真実を知ろうとする真剣な眼差しだ。
人々の視線を受けて、咲夜は、片手で友人に支えて貰いながら、周囲を見渡し己の知っている事を告げた。
「影法師は、僕たちを育んだこの国の“神様”。外の化け物は、余所の星から来た侵略者。神様たちしか、侵略者を退けることが出来ないんだって、夢が現実なのだとしたら、そう教えられた」
すると、別の声が上がった。仕事帰りにこの緊急告知イベントに参加した様子の、三十代の女性だ。
「わたしたちが出来ることは無いの?!」
握りしめた拳が震え、必至に叫び出したいのを堪えようとする、態度だ。
「何も出来ない。僕たちは、ただただ神様たちが勝つことを信じるしかないんだ。・・・・・・・この日本の大地の化身で、奉る神様たちを」
その返答にその場に集まった人々は、不安そうに周囲を見渡し再び咲夜を見る。
「この現象は日本だけ?」
友人と連れ立ってきたと思われる、異国の容貌の青年が、慎重に訊ねてくる。それに、若干暗い表情で咲夜は首を振った。
「いいや、この日、この時、この現象を知らないまま過ごしていると思うけど、世界中だよ。僕たちの国は多神教だ。だから、様々な形の神様たちが、“国”を、大地を、この地球という名の付いた星を、今の文化を育んだ世界を、その土壌が生み出した自分自身を含めたあらゆる命を守るために戦っている。僕と同じ様な人たちが、きっと自国の神様を見守っていると思う。自分の国が信仰する神様ちが、その大陸を、国々を、守って・・・・・・今も」
質問をしてきたその者は、傍らにいたこの日本での友達だろうと思われる男女に断りを入れて、持参していたスマートフォンから、何処かへと連絡を入れる様子だった。だか、周囲の皆が見守る中、相手側の反応は芳しくない。何しろ、実際に見えなければ、信じてもらえないからだ。はじめは冷静に対応していたが、連絡を受けた相手が冗談だと受け取って笑って相手にしてくれないばかりか、早々に通話を切ってしまったからだ。それに頭を抱えて呻く。
「神様たちが勝てば、僕たちの日常は帰ってくるかもしれない。けど、神様たちが負ければ、僕たち以外には見えない、侵略者達にこの国は、星は、世界は滅茶滅茶にされてしまう。・・・・・・唯一出来ることと言えば、祈ることだけ。神様達が存在するのに必要なのは、神様達をそれぞれの“個”とした、僕たちの祈りを届けて、強化することだけ」
すると、女子高校生が、「あの!」と、声を上げた。その声に、その場に居る人々の視線が集まる。それに、及び腰になりながらも、問いかけた。
「あたしたちに、こういう事を教えてくれる、きみのような子たちは、世界にどれだけ居るの?」
それにたいして、咲夜は「知らない」と、首を横に振る。
「日本だけなら、五人。僕が神様達から聞いた時に、集まった人数だよ。日本は島国で、少なからず神様を支える“信仰”がある大地に、神様たちは顕現するから、僕たちは、大地に一人、選ばれるって聞いた」
「・・・・・・・・・」
「九州は僕、あと沖縄に一人、京都に一人、愛媛に一人、北海道に一人の合計五人。人間じゃない場合もあるけど、人の住む大地には、代弁者として、人が選ばれる。・・・・・・けど、僕もそうだったように、特別な“何か”を手にするまで、とても身体が弱いから、生き延びていればいいけど・・・」
咲夜は懸命に、自分が知る限りの現状に対しての説明する。友香は、それを見守りつつ、遥へそっと問いかけた。
「遥」
「ん?」
「咲ちゃんは、“何”? 代弁者って言っているけど・・・・・・」
遥は、囁くように返す。
「・・・・・・色々な呼び方をされているんだけど、日本風に言い表すなら“世界樹の巫”」
「巫?」
「そ。ナイ・シーにも出てきているでしょ? ただ、呼び方が違うけど」
「・・・・・・“愛し子”とは違うの?」
「愛し子が生まれる条件は、それだけ自然界に力がないと、愛する余力が無い。だから、咲夜くんが言う“代弁者”が一番近いと思う」
「・・・・・・・・・」
「ただ、普通の巫と違うのは、この地球という星の世界を担っている世界樹の健康状態に影響を如実に受けること。世界が病むと、咲夜くんのような存在は影響を受ける。身体が弱いのは、そのせい。逆に言えば、星が健康であればあるほど、健全に健康が保てる。物語に登場する“勇者”が特別強い力を持っているのは、星が、健康であればこそ。多少の世界にとって、害のある物が生まれたとしても、対抗手段が打てる余力があるということ」
「人の身体で言う白血球のようだね?」
遥の説明に、友香は自分で想像できる例えを出すと、遥は、にっこり笑って「うん」と同意する。
「その解釈であっていると思う。ただ、星に・・・・・・世界樹にとっての己を守る力で、白血球の存在だから、まぁ、場合によっては集団の都合に合わないこともある。だから、それぞれ呼び名が変わる」
「ゲリライベントのようだね。それに、結構同業者らしき人物が」
友香は遥の背に隠れてそっと周囲を見渡す。すると、何カ所かで色紙にサインをしている人物が居た。その周囲には、慣れた様子で整列させたり、会話を交わしている者たちもいる。それが一人ではないのだ。友香は指折り数えつつ、サインをしている者たちの容姿を確認して、何度か納得するように頷くと、遥を見上げた。
「ん?」
「直接会ったことは無いけど、全員知ってるわ。・・・・・・今回、ナイ・シーの漫画化に関わった古屋さん達経由の知り合い」
「・・・・・・暇人なの?」
「“天神・モニター前集合!”って、告知から一週間しか無かったはずなんだけどなぁ・・・・・・」
遠い目をしつつ、二人で立ち尽くしていると、何カ所か固まりが出来ている集団から抜け脱してきたのは、同業者の一人で、飯島聡と同じく、スポーツ関連の漫画を描いている者だ。所属する雑誌社は違うものの、内輪の集まりでは頻繁に飛び入り参加している猛者でもある。遥と友香に気付いたその者、星浦正美は、にこやかに手を振りながら、側に居た者から何かを受け取ると、心持ち早歩きで近づいてきた。
「柊センセ!」
「・・・・・・星浦先生、皆でなにやってるんですか・・・・・・」
遥の背後から覗くようにして、相対すると、呆れた声を上げる。
正美は持っていたもの、まっさらな色紙を友香に渡す。
「キャラはジョブイル・ロジムで、俺宛に!」
ついでにご丁寧に蓋まで取ってマジックまで渡されて、深いため息を吐く。ジョブイル・ロジムとは、友香が雑誌で連載している漫画に登場する、主人公の義理の兄の立ち位置の人物だ。友香は慣れた様子で簡易にジョブイルの顔を描くと、下に星浦正美先生へと添え書きし、隅に自身のサインを描いて返す。正美は嬉しそうに小躍りをすると、友香の質問に答えた。
「柊先生の漫画や小説が好きな同業者っていうのも多いからな、絶対こういうノは、参加してなんぼだろ? 皆、直接先生が参加するって聞いて、都合がつく連中は来ていると思いますよ!」
むき出しのマジックのキャップを閉めると、胸元のポケットになおしながら、こちらに気付いた何人かに顎をしゃくって見せたり、手を振ったりしている。その内、友香に気付いたそれぞれの集団から抜け出しては友香にサインを求め、会話を二、三交わしては戻っていく。中には色紙を数枚纏めて渡してくる者も居て、友香は結局わらわらと集まってきた者たちにサインをするのに忙しくなった。
完全に合同サイン会である。セッセと流れ作業の様に、要望を受けながら、サインをしては名前を聞いて、中には握手を交わしたりしながら忙しくしている友香の背後で、遥は見守っていると、軽く肩を叩かれた。
「あ、母さん」
「父さんたちは、先ほど改札口を出たって連絡があったわ。・・・・・・で、友ちゃんは何しているの? 今日、その手のイベントってあったっけ」
「・・・・・・予定では無いよ。なんか漫画家や小説家の先生方が偶然集まってね、想定外に。で、彼らにサインを求める、ファンたちが、サインを強請ったていう感じ」
「へぇ・・・・・・」
「元々、友香の公式ホームページで、今日の八時半にココに集合って、号令かけてたんだけど、そうしたら、こうなったってわけ」
遥の母である西荻玲子は、忙しそうに次々と持参してきたと思われる色紙にサインしている様子を楽しげに伺っている、友香の母の、柊巳波へ振り返る。ちらりと腕時計で約束の時間を確認したが、すでに現場には到着しているわけだから、問題ないと言わないばかりに、にまりと笑った。それに、遥は顔を顰める。
「・・・・・・なに?」
「父さんたちが、しれっと友ちゃんにサイン貰うために並んでいるから、わたしも行ってくるわ」
玲子が顎をしゃくってみせた方向に、六十代の男が二人、なんだか楽しそうに会話を弾ませながら並んでいる。良く見ると、更にその数人後ろに、友香と遥の兄弟たちが、自身の子供たちを連れて並んでいた。遥は内心、友香に同情する。今は急遽始まった突発サイン会によそ行きの表情で黙々と対応しながらファンサービスのつもりで、サインをしているが、身内にサインをするのがどれだけ羞恥心を覚えるかと同情する。友香を支えるつもりで、近くの自販機から紅茶のペットボトルを買ってきた。友香は側に遥が来たことで、どこかホッとした表情をしていたが、ふと上げた顔が、自身の兄弟や両親を見つけて、顔が強ばり朱に染まる。
「・・・・・・がんばれ」
「どんな羞恥プレイ」
「母さんたちも楽しんでいるようだしねぇ・・・・・・」
「あああああっ・・・・・・なんでこんな人が多いところで」
友香は嘆いて見せながらも、次々とサインをしているが、遥には友香が自棄になっているのが判ってついつい笑ってしまった。両親と兄弟たちの番が来たときは、流石に恨みがましい視線を向けていたものの、それでも拒否することなく淡々とこなし、在る程度捌けた後は、友香に労いの肩たたきをしたものだ。
「お疲れ!」
「・・・・・・母さんたちや時生たちも澄まし顔で、二、三枚づつ頼んできたんだよ。あ、従兄弟の咲夜君たちも来てたみたいだね、あそこ」
友香はそういって、少し離れた場所で、保護者数人と共に集まって談笑している学生集団へと顎をしゃくる。下は咲夜と同じ小学生で、上は大学生だろうと思われる者たちが談笑していた。
「・・・・・・何人か見たことあるわ、友香のファンクラブの連中じゃない?」
「正確に言ったら、ナイ・シーのファンクラブだよ。・・・・・・あ」
ふと腕時計に友香は視線を落とし、のぞき込むようにして遥も見ると、時間は丁度約束の刻限、午後の八時半になった。この場に集まった者たちは、大事そうにサイン色紙を抱えて楽しげにカウントダウンをして、ワイワイと盛り上がっている。ひいらぎ春香という漫画家であり作家は、雑誌のイベント企画でしかサインを手に入れる機会が無いため、今回の号令は彼らにとってはまたとない機会だった。今回は“ナイト・シーカー”という、作者が個人で企画を立ち上げた、ゲリライベントとして受け止められている。が、
「・・・・・・遥?」
カウントダウンを集った者たちが告げる中、遥の耳には、誰もが聞こえない“音”が聞こえた。はじめは寺の鐘。次は教会の鐘。近くにはそれほど鐘をつく音が聞こえるような、場所ではない。町中で、駅の構内。建物の中であり、聞こえるのは、外の道路を行き交う車が走る音や、電車が発着する際のブレーキやベルの音だ。それに混じって、訪れた人々の談笑や構内に流れる音楽や雑多な広告、時折流れる構内放送で、煩雑としているが、どれか一つが目立って耳に入ることはない。一駅先には、寺院や神社があるが、鐘が突かれるのは、滅多にない。国を挙げての鎮魂か、年末の除夜の鐘くらいだ。
「・・・・・・・煩いくらいに鐘が鳴ってるの。除夜の鐘と違うのは、教会の鐘の音も聞こえるってこと」
友香は、ざっと周囲を見渡し、自分と遥の家族の立ち位置を確認し、目線と顎をしゃくることで皆を呼ぶ。遥と友香の両親は不思議そうな様子で寄ってくると、あちこちバラケている兄弟たちの家族も側に呼び寄せる。その間にも、カウントダウンは続き、二桁が一桁となり、そして、約束の刻限を迎えた。楽しげにカウントダウンを数えていた、友香のホームページの号令で集まった人たちは、この約束の刻限を迎えた後、それぞれがそれぞれ、共にここへ来た人たちと共に、色々計画していたのだろう、一斉に友香の方へ顔を、視線を、意識をその瞬間向けた。と、一際大きな鐘の音が響きわたり、戸惑った様子でざわめく。
・・・・・・始まりは小さな悲鳴だった。何げなしに友人と共に来ていた、その少女は、ふと外を見て、声を震わせる。やがて、喉を詰まらせたような、掠れた声で外を見るように皆を誘導した。次に声を上げたのは、その声につられて、少女が示した外を見た男性だ。やがて、ざわめきが大きくなり、伸び上がるように、外へ通じる巨大モニターがあるホールの先に広がる四角に切り取られた外を見る。時間は夜の八時半を回った頃。福岡の商業街の中心部である福岡駅を内包した、駅ビルの内と外。区切りはそれだけ。けれど・・・・・・
「なんだ、ありゃあ」
外は相変わらずの賑わいで、八時半は、仕事帰りの人々の、帰宅ラッシュの第一陣。いつもの通りの光景が広がるはずなのに、外で普段通りに見える景色の中、違うことが一つ。半透明の、様々な幼虫の形の“何か”に取り付かれ、何かを貪られているのだ。笑顔で行き交う人々、仕事帰りの様子がうかがえる、草臥れた人もまた、例外ではない。空から飛来する無数の白い胞子のようなもの。それが、何も知らずに歩いている人々の上に降り注ぎ、着床し、孵化し、次々と蛹へと姿を変え、そして羽化すると空へと飛び立つ。怖気立つその光景に、パニックとなった。と、柏手一つ、打った。甲高いながらも、その場によく響き、ひとときではあるものの、その場に居た人たちは冷静を取り戻す。
「誰か、説明できるか!」
若干青ざめた顔色の初老の男がその場に集まっている者たちを見渡し、嗄れた声で問いかけた。それに応えたのは、友香の従兄弟である柊咲夜だ。友人たちと共にここへやってきて、このカウントダウンに参加していたのだ。小学生である彼が夜だというのにこの号令に参加出来たのは、友香や遥たちが参加する事と、二人の両親も現場にいるから、咲夜の両親は大丈夫だろうと許可したのだ。
「外の化け物が見えるなら、空に広がっているものも見えると思うよ」
まだ幼さが残る高い声音で告げられたその言葉に、バラバラと、ホールの先に見える外が見渡せるぎりぎりまで駆け寄り、未だに蠢き何かを吸収しては空へと飛び立っていく化け物に気付かれないように、そっと、建物から伸び上がるようにして、闇夜を見上げる。そこに広がる光景に誰もが息を飲んだ。人々から何かを搾取して、それを糧に孵る化け物。その先には淡く光る沢山の影法師のようなものが、その化け物と戦っている。それを確認したあと、人々は戻ってくると、強ばった表情のまま、咲夜へ視線を再び向けた。それはもう、確認する前の半信半疑ではなく、真実を知ろうとする真剣な眼差しだ。
人々の視線を受けて、咲夜は、片手で友人に支えて貰いながら、周囲を見渡し己の知っている事を告げた。
「影法師は、僕たちを育んだこの国の“神様”。外の化け物は、余所の星から来た侵略者。神様たちしか、侵略者を退けることが出来ないんだって、夢が現実なのだとしたら、そう教えられた」
すると、別の声が上がった。仕事帰りにこの緊急告知イベントに参加した様子の、三十代の女性だ。
「わたしたちが出来ることは無いの?!」
握りしめた拳が震え、必至に叫び出したいのを堪えようとする、態度だ。
「何も出来ない。僕たちは、ただただ神様たちが勝つことを信じるしかないんだ。・・・・・・・この日本の大地の化身で、奉る神様たちを」
その返答にその場に集まった人々は、不安そうに周囲を見渡し再び咲夜を見る。
「この現象は日本だけ?」
友人と連れ立ってきたと思われる、異国の容貌の青年が、慎重に訊ねてくる。それに、若干暗い表情で咲夜は首を振った。
「いいや、この日、この時、この現象を知らないまま過ごしていると思うけど、世界中だよ。僕たちの国は多神教だ。だから、様々な形の神様たちが、“国”を、大地を、この地球という名の付いた星を、今の文化を育んだ世界を、その土壌が生み出した自分自身を含めたあらゆる命を守るために戦っている。僕と同じ様な人たちが、きっと自国の神様を見守っていると思う。自分の国が信仰する神様ちが、その大陸を、国々を、守って・・・・・・今も」
質問をしてきたその者は、傍らにいたこの日本での友達だろうと思われる男女に断りを入れて、持参していたスマートフォンから、何処かへと連絡を入れる様子だった。だか、周囲の皆が見守る中、相手側の反応は芳しくない。何しろ、実際に見えなければ、信じてもらえないからだ。はじめは冷静に対応していたが、連絡を受けた相手が冗談だと受け取って笑って相手にしてくれないばかりか、早々に通話を切ってしまったからだ。それに頭を抱えて呻く。
「神様たちが勝てば、僕たちの日常は帰ってくるかもしれない。けど、神様たちが負ければ、僕たち以外には見えない、侵略者達にこの国は、星は、世界は滅茶滅茶にされてしまう。・・・・・・唯一出来ることと言えば、祈ることだけ。神様達が存在するのに必要なのは、神様達をそれぞれの“個”とした、僕たちの祈りを届けて、強化することだけ」
すると、女子高校生が、「あの!」と、声を上げた。その声に、その場に居る人々の視線が集まる。それに、及び腰になりながらも、問いかけた。
「あたしたちに、こういう事を教えてくれる、きみのような子たちは、世界にどれだけ居るの?」
それにたいして、咲夜は「知らない」と、首を横に振る。
「日本だけなら、五人。僕が神様達から聞いた時に、集まった人数だよ。日本は島国で、少なからず神様を支える“信仰”がある大地に、神様たちは顕現するから、僕たちは、大地に一人、選ばれるって聞いた」
「・・・・・・・・・」
「九州は僕、あと沖縄に一人、京都に一人、愛媛に一人、北海道に一人の合計五人。人間じゃない場合もあるけど、人の住む大地には、代弁者として、人が選ばれる。・・・・・・けど、僕もそうだったように、特別な“何か”を手にするまで、とても身体が弱いから、生き延びていればいいけど・・・」
咲夜は懸命に、自分が知る限りの現状に対しての説明する。友香は、それを見守りつつ、遥へそっと問いかけた。
「遥」
「ん?」
「咲ちゃんは、“何”? 代弁者って言っているけど・・・・・・」
遥は、囁くように返す。
「・・・・・・色々な呼び方をされているんだけど、日本風に言い表すなら“世界樹の巫”」
「巫?」
「そ。ナイ・シーにも出てきているでしょ? ただ、呼び方が違うけど」
「・・・・・・“愛し子”とは違うの?」
「愛し子が生まれる条件は、それだけ自然界に力がないと、愛する余力が無い。だから、咲夜くんが言う“代弁者”が一番近いと思う」
「・・・・・・・・・」
「ただ、普通の巫と違うのは、この地球という星の世界を担っている世界樹の健康状態に影響を如実に受けること。世界が病むと、咲夜くんのような存在は影響を受ける。身体が弱いのは、そのせい。逆に言えば、星が健康であればあるほど、健全に健康が保てる。物語に登場する“勇者”が特別強い力を持っているのは、星が、健康であればこそ。多少の世界にとって、害のある物が生まれたとしても、対抗手段が打てる余力があるということ」
「人の身体で言う白血球のようだね?」
遥の説明に、友香は自分で想像できる例えを出すと、遥は、にっこり笑って「うん」と同意する。
「その解釈であっていると思う。ただ、星に・・・・・・世界樹にとっての己を守る力で、白血球の存在だから、まぁ、場合によっては集団の都合に合わないこともある。だから、それぞれ呼び名が変わる」
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身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
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断罪まで、あと10分。
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前世で“トップインフルエンサー”だったから。
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空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
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断罪はエンタメへ。
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これは、
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“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
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