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シーズン1-悪夢の始まり
033-ようこそケルビス農園へ
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数日後。
僕たちは、ケルビスの農園に訪れていた。
「おお、エリアス様!」
ケルビスは黒い果物を収穫している真っ最中だったが、籠を降ろして出迎えてくれた。
元々はなかったはずのログハウスやら、木組みの柵は何なのだろうか....
「何これ......エリアスが作ったの?」
「いや...僕も知らないんだ」
ケルビスは籠を日陰に置くと、僕らをログハウスの中に案内してくれた。
ログハウスの中は、居住空間というよりは作業小屋と言った様子だったが、ケルビスは椅子を三つ出して、お茶を淹れ始めた。
「そんな事まで身につけたのか?」
「私めは、エリアス様を喜ばせるために、新たな茶葉の開発を始めたのです」
「....成程」
だが、あんまり上手くいっていないようだ。
データを参照するに、茶葉となりそうな葉の吟味からやっているようで、飲用に適したものを作るにはまだまだ時間がかかりそうだ。
「今回はサンプルDC-1127を使用します、鮮度が高いので、恐らく味の方に問題はないかと」
「そうか」
意外と凝ってるな....
ケルビスはカップを用意するが、その辺はまだ学習中なのか取っ手が付いただけの無骨なデザインだった。
「.......ダメだ、僕じゃ全然味を感じられない」
「美味しいわよ、ちょっと雑味が目立つかしら」
僕も飲んでみるが、味覚が全然戻ってないので味が感じられない。
味蕾を戻しても、この体のドライバーシステム.....みたいなものが最適化されていないのだ。
その代わり、香りは感じられる。
柑橘系か?
僕の香りに対するボキャブラリーが無いので、よく分からない。
「茶菓子はあるのか?」
「そう仰られると思い、ご用意させていただきました」
ケルビスは棚の中段にあった小さな籠を取り、上にあった布を取り払った。
小物まで充実している....
「クッキーね」
「形が歪だな」
「形を調整しようと思ったのですが、エリアス様がどのような形をお好みになるかわからなかったもので」
成程。
人間的な思考じゃないからこそ、オリジナリティを出すのは苦手なのか。
「何でも構わない、焼き菓子は自分の好きな形に成型するものだからな」
「そうなのですか....愚かな私めに知識を与えてくださるとは! どうか、考えの足らなかった私めに罰をお与えください....!」
「....いつもこうなの?」
「...そうなんだ」
僕の望んだ事ではあるが、ケルビスは基本こんな感じだ。
「ケルビス、じゃあ罰として、果汁水でも出してもらおうかな」
「瓶入りがお望みですか? それともこの場でお出ししますか?」
「この場で頼む」
僕はケルビスにジュースも持ってこさせる。
丁寧に瓶に入れて保管していたようで、これまた自然冷蔵で冷やされていた。
「凝り性だな?」
「ここのコンセプトを、私めなりに愚考いたしました」
「......そうか」
特にコンセプトなどはなく、エリスの食事を確保するために始めたのだが....
まあ、エリスの食事がしっかり配給されているのなら、言う事なしか。
僕たちは、ケルビスの農園に訪れていた。
「おお、エリアス様!」
ケルビスは黒い果物を収穫している真っ最中だったが、籠を降ろして出迎えてくれた。
元々はなかったはずのログハウスやら、木組みの柵は何なのだろうか....
「何これ......エリアスが作ったの?」
「いや...僕も知らないんだ」
ケルビスは籠を日陰に置くと、僕らをログハウスの中に案内してくれた。
ログハウスの中は、居住空間というよりは作業小屋と言った様子だったが、ケルビスは椅子を三つ出して、お茶を淹れ始めた。
「そんな事まで身につけたのか?」
「私めは、エリアス様を喜ばせるために、新たな茶葉の開発を始めたのです」
「....成程」
だが、あんまり上手くいっていないようだ。
データを参照するに、茶葉となりそうな葉の吟味からやっているようで、飲用に適したものを作るにはまだまだ時間がかかりそうだ。
「今回はサンプルDC-1127を使用します、鮮度が高いので、恐らく味の方に問題はないかと」
「そうか」
意外と凝ってるな....
ケルビスはカップを用意するが、その辺はまだ学習中なのか取っ手が付いただけの無骨なデザインだった。
「.......ダメだ、僕じゃ全然味を感じられない」
「美味しいわよ、ちょっと雑味が目立つかしら」
僕も飲んでみるが、味覚が全然戻ってないので味が感じられない。
味蕾を戻しても、この体のドライバーシステム.....みたいなものが最適化されていないのだ。
その代わり、香りは感じられる。
柑橘系か?
僕の香りに対するボキャブラリーが無いので、よく分からない。
「茶菓子はあるのか?」
「そう仰られると思い、ご用意させていただきました」
ケルビスは棚の中段にあった小さな籠を取り、上にあった布を取り払った。
小物まで充実している....
「クッキーね」
「形が歪だな」
「形を調整しようと思ったのですが、エリアス様がどのような形をお好みになるかわからなかったもので」
成程。
人間的な思考じゃないからこそ、オリジナリティを出すのは苦手なのか。
「何でも構わない、焼き菓子は自分の好きな形に成型するものだからな」
「そうなのですか....愚かな私めに知識を与えてくださるとは! どうか、考えの足らなかった私めに罰をお与えください....!」
「....いつもこうなの?」
「...そうなんだ」
僕の望んだ事ではあるが、ケルビスは基本こんな感じだ。
「ケルビス、じゃあ罰として、果汁水でも出してもらおうかな」
「瓶入りがお望みですか? それともこの場でお出ししますか?」
「この場で頼む」
僕はケルビスにジュースも持ってこさせる。
丁寧に瓶に入れて保管していたようで、これまた自然冷蔵で冷やされていた。
「凝り性だな?」
「ここのコンセプトを、私めなりに愚考いたしました」
「......そうか」
特にコンセプトなどはなく、エリスの食事を確保するために始めたのだが....
まあ、エリスの食事がしっかり配給されているのなら、言う事なしか。
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