オメガバースの世界に転生!?アルファに生まれ変わってパパになります

みたらしのだんご

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出会いと気付き

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 作業を与えられたり、お祈りしたりして数日がすぎた。特に困ったことはなく神様もあれから話しかけてこない。だが次第に教会に住んでいる一人の少年が俺のことをよく見ていることに気が付いた。
 そういえば同居人にあたる教会の人について聞いたことなかったと思い神父様に聞くことにした。

「ここには何人か俺のような人が住んでいるようですが、関わっていいのでしょうか。一人俺のことをじっと見る少年がいるので気になって。」
「ミツさんとは経緯が異なっても同じように流れ着いた方がいらっしゃってですね、一人はもうすぐ別の村に旅立つ旅人で、もう一人はそうですね、ミツさんのことをよく見ている少年ですね。」
「なるほど。」
「まあ、その男の子のことはその感じならきっといつか分かりますよ。ミツさんと同じようなものです。」

 なにかはぐらかされたような気がしたが、まあいいや。不審者ではなさそうで安心した。


 そうしてさらに何日か過ぎたころ、旅人は出発し神父様に言われて外での作業も多くなり村の人にだんだんと知られるようになったころだ。外の掃除をしていたら例の少年と鉢合わせした。そういえばまだちゃんと話したことないと思い話しかけてみることにした。いきなり話しかける気になったのはどこか彼に惹かれてしまったからだ。

「まだ俺の自己紹介してなかったな。俺はミツ、なんだかんだ教会にお世話になってから日にちが経ってしまったのはごめんなさい。」
「え、えと、僕はオーブ…。」
「よろしくな。さっきから顔が赤いが疲れちゃったのか。一回休憩しような。」
「ええと、うぅ…。」

 なんだかさっきからフラフラしてるし顔も赤いし熱中症になってしまったのだろうか、急いで休ませて水を飲ませなければ。ええとグラスはどこだっけ。
 水を汲みに行こうとしたら、突然オーブが抱き着いてきた。

「ちょっといきなりどうしちゃったんだ?ほら疲れてるんだからちゃんと座ってなきゃだめじゃないか。」
「…ミツを見てるとドキドキしてきて…。」

 だからって抱き着くなんて何があったんだと思ってオーブの顔を覗き込んだ瞬間、オーブからとてつもない甘い匂いがした。

「なっ、なんだこれ!」

 オーブの匂いにしか頭が反応しない。甘くていい匂い…。どこかで嗅いだことのあるような。この匂いは独り占めしたい、オーブは俺のものにしたいと強い思いが出てきているのが分かった。
 俺は抱き着いてきたオーブをさらに抱き寄せた。


 あ、あれ、ここは?さっきまで掃除をしてて、それからオーブと初めてまともな会話をして、ええと。

「ミツさん、気が付きましたか?さっきオーブ君と一緒にフラフラしていたから」
「神父様、ええとこれは。あ、オーブは大丈夫ですか!?さっき暑さにやられていたと思ったのですが?」
「オーブ君は水を飲ませた後、隣の部屋で休んでもらってますよ。」

 とりあえず安心した。あれ、そういえばなんだかオーブを抱き寄せたような気が。

「ああ、気になっていることは分かりますよ。オーブ君に惹きつけられたんですよね。」
「そうです。あれは一体?」

 だんだん思い出したと同時に何となく察しがついてきた。そういえばここオメガバースの世界みたいなもんだからな。

「オーブ君はオメガなんですよ。いくらアルファとオメガは惹きあうとはいえ初対面の人間同士でここまでなるとは思っていなかったので説明をしなくても距離を置いておけば何も起こらないかと思ったのですがね。」

 え、あー、ええと匂いに惹きつけられたってそういうことか。ってええ。飲み込めたような飲み込めなかったような。神父様は続けた。

「まだあなたも一人で生きられるほどの働き口もこの世界の知識も少ないですからね、オーブ君に近づくのはほどほどにしておくのですよ。」

 よくわからなかったが、俺はまだ暑さの疲れも取れていなかったから頷くだけにしておいた。

 神父様はほどほどにしておきなさいと言ったが、オーブのことがますます気になってしまう。それはオーブも同じようでこちらの様子を窺う頻度は増えていった。数日間はそれで済んだが、ある日廊下の角でばったり会ってしまった。

「あー、まともに会うのは久しぶりだな。」

 とりあえず俺はオーブに話しかけてみる。

「…話しちゃって、いいのかな…。」

 オーブも俺と同じように神父様から何か言われているのだろう。お互いに話す言葉は流れが悪かった。
もどかしくなった俺はさらにオーブに近づく。
 近距離でお互いの匂いが混ざり合う。

「この間はフラフラしてたが、もう元気そうだな。」
「あ、ありがとう。」

 会話の妙な間がオーブのミステリアスさを引き立てている気がした。
 オーブの匂いが強くなってきた。俺は目の前のオーブを見る視線が単なる同居人ではとっくになくなっていることに気付く。

「じゃ、じゃあ僕はこの辺で…。」

 そういってオーブは歩き出そうとした。衝動的にオーブを離したくなくなってしまった。

「あのさ、もうちょっと話そう、な。」

 すぐ横には俺が使っている宿泊室がある。連れ込んでしまえ。
 オーブを部屋に誘導する。俺のなにかにオーブも反応しているようで、すんなり受け入れてくれた。

「なあ、オーブ。今回は俺から抱き着いていいか?」

 オーブは頷く。この間は抱き着かれたから今日は俺の番。
 ゆっくりと優しく壊さないように俺の腕の中にオーブを包んだ。
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