昔好きだったお姉さんが不倫されたので落としに行ったら後輩からも好かれていた

九戸政景

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第十話

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天鷲あまわし、それに白鷹しらたかか。にしても、天鷲はいつも元気だよな」
「だな」


 天鷲の元気のよさに俺達が笑い合う中、まだ少し離れたところにいた天鷲朝香あさかと白鷹陽海はるみの二人はゆっくり近づいてきた。そして二人で俺達の目の前で足を止めた後、天鷲は嬉しそうな顔をしながらいきなり俺に抱きついてきた。


「おっと……」
「えへへ、今日も先輩に会えて嬉しいのです」


 言葉通りの嬉しそうな顔で天鷲が言う。夕希さんほどではないが、天鷲も感触が柔らかくて甘いいい香りを漂わせているので同い年や年下からしたらどぎまぎしてしまうだろう。抱きつかれながらそんな事を考えていると、隣にいる白鷹は天鷲を見ながら小さくため息をついた。


「もう、朝香ったら……すみません、柴代先輩。朝香が朝からご迷惑をおかけして……」
「いや、いつものことだから別にいいよ。とりあえずおはよう、天鷲、白鷹」
「おはようさん、天鷲、白鷹」
「はい。おはようございます、柴代先輩! 秋田先輩!」
「おはようございます、柴代先輩、秋田先輩」


 天鷲は敬礼をするように手を顔の前にかざしながら元気に、そして白鷹は微笑みながら落ち着いた様子で挨拶を返してくれた。天鷲と白鷹は俺と同じ部活動の後輩で、部活中などに俺が天鷲に対して特に何をしてあげたわけではないが、天鷲はいつからか俺に懐いてくれていた。それがきっかけとなったのか天鷲の親友なのだという白鷹も自然と俺に話しかけてくれるようになり、俺が紹介した事で二人は泰希とも話すようになって今に至る。因みに、よく意外だと言われるが俺は家庭科部であり、料理や裁縫なんかも家ではよく手伝っている。

 運動部にしてもよかったんだが、家庭科部にしたのは前から家の手伝いをしていたのを活かせそうだと思ったから、そして何かの機会に泰希に持っていってもらって夕希さんに料理を食べてもらいたいと思っていたからだ。

 栗色の髪を二つ結びにした天鷲は背丈が少し小さくて顔つきも同年代の女子の中では幼く、言動も歳にしては幼く感じるが、男を魅了する胸の膨らみの大きさだけは大人サイズであり、それは男子のクラスメートからの視線を釘付けにしていると白鷹から前に聞いた事がある。

 白鷹は長い黒い髪をポニーテールにした高校二年生の女子の中では平均的な背丈をしているクール系な女子で、目付きも鋭い時があって綺麗系な顔立ちをしているために近寄りがたいイメージを周囲から持たれがちだが、実は可愛いものが好きでファッションや小物にも興味があるどこにでもいる女の子であり、いざ話してみると博識な一面もあるという結構頼りがいのある子だ。


 そんな二人に好かれてるのはとても嬉しいことだし、二人との部活動も楽しいから二人とは今後も良好な関係を続けていきたいと思っている。


「そういえば二人とも家ってこっちの方だったっけ? それにしてはこの近辺で普段見かけないけど……」
「いえ、別のところです。今朝は早く家を出られたのですが、朝香が少し遠回りをしながら学校に行きたいと言い始めて、通学路から外れないようにしながら色々歩いていたらここに着いていたんです。私としては早く学校に着いて授業の予習をした方がいいと思うんですが、朝香が朝のお散歩をするのもいいよって言い始めたので……」
「でも、こうやって陽海ちゃんも付き合ってくれるのは本当に嬉しいです。えへへ……陽海ちゃん、私のワガママに付き合ってくれて本当にありがとうなのです」
「どういたしまして。まあたまにはこういうのもいいからね。おかげで柴代先輩達と朝から会えたわけだし」


 にこにこ笑う天鷲の頭をしょうがないといった顔で白鷹が撫でる。その様子は甘えたがりの小型犬を可愛がる飼い主のようだが、他の男子の中にはこの二人の関係を尊いものとして見る奴がいるらしい。それがどういうものか俺にはさっぱりわからないが、俺の知らない何かがそいつらの中にはあるのだろう。別に知る気もないけれど。

 そんな事を考えていた時、天鷲はいい事を思い付いたといった顔で俺と泰希を見上げた。


「あ、そうです! 先輩達も学校に行く前に一緒にお散歩しませんか? 四人でのお散歩は」
「え、俺達も?」
「はい! 陽海ちゃん、まだ時間は大丈夫そうですよね?」
「そうね……」


 白鷹は携帯電話を取り出して時間を確認する。そして頷いてから天鷲に視線を戻した。


「まあ遠くに行こうとしなければ大丈夫そうかな。でも、先輩達も巻き込むなんてやっぱり申し訳ないような……」
「俺達は別にいいぞ。な、泰希」
「ああ、なんか面白そうだしな。せっかくのお誘いだし、断る方が損だと思うしさ」


 泰希が笑みを浮かべながら言うと、朝香はパアッと顔を明るくし、俺にまた抱きついてきた。


「えへへ。ありがとうございます、先輩達!」
「もう、また柴代先輩に抱きついてるし。まったく……先輩達、本当にすみません」
「いいって。さあ、行こうぜ」


 三人が頷いた後、俺達はちょっと変わった通学路を歩き始めた。遅刻しても仕方ないから天鷲達がしていたように通学路を外れないようにしながら十分程度適当に歩いていただけだけど、それでも天鷲達と一緒に話しながら歩くのはとても楽しく、朝からとてもいい時間を過ごすことが出来た。
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