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第十一話
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その日の昼休み、俺達は教室で泰希や他の奴と一緒に机を合わせて昼飯を食べていた。他の奴がコンビニで買ってきた物なのに対して泰希がおばさんお手製の弁当、そして俺のは俺が作った弁当であるため初めの頃は結構珍しく見られていたし、彩りとかも工夫していたから今では落ち着いたものの女子達にも興味を持たれていた。
「お、今日のも美味そうだな、柴代。流石は家庭科部」
「やっぱり料理が出来るに越したことはないからな。お前達も親の手伝いくらいはしておいていいと思うぞ? 食器並べたり洗ったりするだけでも親御さんからしたら助かるしさ」
すると、それを聞いたクラスメート達は少し照れ臭そうな笑みを浮かべた。
「まあ、それはわかってるし、小学生の時とかは手伝ってたんだけどさ……」
「なんかこう……今さらになって親の手伝いを進んでするっていうのは少し恥ずかしいというか……」
「そうだよな……からかわれそうな感じもするし、素直に手伝うって言うのもなんかやりづらいしな」
「大変そうなのはわかってるんだけどな……」
クラスメート達の言葉に俺と泰希は苦笑いを浮かべる。両親の苦労はわかっていても、俺達のような歳だと小さい頃のように素直に手伝おうとしたり日頃の感謝を述べたりするのはやはり言いにくいところがあるのだ。
とても小さくてしょうもないプライドみたいなのを持っているからかいわゆる反抗期というものになって何かと反発してみたり心にもない言葉を言ったりはするが、それでもやはり大変そうなのは見ているためどうにかしたいと思ってしまう。そのジレンマがどうにも嫌でまた反発して、と負のスパイラルを生んでいるのだろう。
そうしてなんでもないような事を話しながら食べていた時、クラスメートの一人が何かを思い付いたような顔で話しかけてきた。
「そういえば……なあ、柴代」
「ん、なんだ?」
「お前の好みの女ってどんなだ?」
「好み……いやに突然だな」
驚きながら言うと、クラスメートは興味津々な様子で言葉を続けた。
「だってさ、お前って秋田ほどじゃないけど、二年の男子に大人気の天鷲に懐かれてたりその友達の白鷹にも警戒はされてないどころかよく話したりしてるだろ? でも、二人の事を好きって感じじゃなさそうだし、そうなるとお前はどんな女が好きなのかなと思ってさ」
「好き、か……」
好きな女性。それは当然夕希さんだ。夕希さんの結婚と同時に恋を一度諦めはしたが、離婚や泰希達からの頼みによってまだチャンスがあるわけだからやっぱりこのチャンスは逃したくない。ただ、これを素直に言ってもいいのか少し悩んでしまった。
コイバナというのは思春期にはありがちなんだろうし話す分には本来は構わない。けれど、俺が好きなのはただの年上ではなく、一回りも歳が離れた大人の女性で泰希のお姉さんだ。それを話して変に騒がれるのも嫌だし、このまま話さないというのもなんだか変だろう。
そうして悩んでいた時、泰希は俺の事を見てニッと笑いながら頷いてからクラスメート達に話を始めた。
「一つだけ言うとさ……コイツは同い年とか年下よりは年上の方が好きなんだよ」
「お、年上か! それじゃあ年下の天鷲達や同学年の女子に反応しないのも当然か」
「年上、たしかにいいよな……同い年や年下にはない色気とか包容力みたいなのがあってさ。こう、甘えて色々な事をしてもらいたくなるみたいな魅力があるよな」
「それでいてやっぱりボインで腰がくびれててお尻がでかい方がいいよな。あのおっきくて柔らかそうなのに顔を挟まれてその中で寝たいわぁ……」
「うっわ。変態いるわ、ここに」
「変態じゃない! 欲望に忠実と言え!」
クラスメート達は楽しそうに話し始め、その様子を女子達は呆れたような顔で見ていたが、それを見てから俺は泰希にこそっと話しかけた。
「ありがとな、泰希」
「いいんだよ。コイツらはネタさえ投げ込めばこんな風にばか騒ぎする連中だし、このままこの話題で昼休みも終わるだろ」
「そうだな。でも、やっぱり誰にでも言えるようにはなりたい。別に言えない事ではないわけだしさ」
「まあな。けど、そのためにはまずコイツらに変にばか騒ぎしないように言い含めないといけないし、今はこれでいいんだよ」
「そうだな」
俺達が話している内にクラスメート達は今度は自分の好みについて話を始めていて、その話を頷きながら聞いていた時、俺の携帯がブルブルと震え始めた。
画面を見ると、そこには白鷹の名前が表示されていて、どうやらトークアプリにメッセージが来ていたようだった。
「ん、どうした?」
「白鷹からトークアプリにメッセージが来てたんだ。見た感じ、今日の放課後に少し話したいって感じだな」
「そっか。まあ何か聞きたい事でもあるんだろうな」
「だな。えーと……」
白鷹のメッセージに了承の返事をし、携帯をポケットにしまった。俺は再びクラスメート達とのばか騒ぎに加わり、賑やかでただ楽しさに溢れた昼休みを過ごした。
「お、今日のも美味そうだな、柴代。流石は家庭科部」
「やっぱり料理が出来るに越したことはないからな。お前達も親の手伝いくらいはしておいていいと思うぞ? 食器並べたり洗ったりするだけでも親御さんからしたら助かるしさ」
すると、それを聞いたクラスメート達は少し照れ臭そうな笑みを浮かべた。
「まあ、それはわかってるし、小学生の時とかは手伝ってたんだけどさ……」
「なんかこう……今さらになって親の手伝いを進んでするっていうのは少し恥ずかしいというか……」
「そうだよな……からかわれそうな感じもするし、素直に手伝うって言うのもなんかやりづらいしな」
「大変そうなのはわかってるんだけどな……」
クラスメート達の言葉に俺と泰希は苦笑いを浮かべる。両親の苦労はわかっていても、俺達のような歳だと小さい頃のように素直に手伝おうとしたり日頃の感謝を述べたりするのはやはり言いにくいところがあるのだ。
とても小さくてしょうもないプライドみたいなのを持っているからかいわゆる反抗期というものになって何かと反発してみたり心にもない言葉を言ったりはするが、それでもやはり大変そうなのは見ているためどうにかしたいと思ってしまう。そのジレンマがどうにも嫌でまた反発して、と負のスパイラルを生んでいるのだろう。
そうしてなんでもないような事を話しながら食べていた時、クラスメートの一人が何かを思い付いたような顔で話しかけてきた。
「そういえば……なあ、柴代」
「ん、なんだ?」
「お前の好みの女ってどんなだ?」
「好み……いやに突然だな」
驚きながら言うと、クラスメートは興味津々な様子で言葉を続けた。
「だってさ、お前って秋田ほどじゃないけど、二年の男子に大人気の天鷲に懐かれてたりその友達の白鷹にも警戒はされてないどころかよく話したりしてるだろ? でも、二人の事を好きって感じじゃなさそうだし、そうなるとお前はどんな女が好きなのかなと思ってさ」
「好き、か……」
好きな女性。それは当然夕希さんだ。夕希さんの結婚と同時に恋を一度諦めはしたが、離婚や泰希達からの頼みによってまだチャンスがあるわけだからやっぱりこのチャンスは逃したくない。ただ、これを素直に言ってもいいのか少し悩んでしまった。
コイバナというのは思春期にはありがちなんだろうし話す分には本来は構わない。けれど、俺が好きなのはただの年上ではなく、一回りも歳が離れた大人の女性で泰希のお姉さんだ。それを話して変に騒がれるのも嫌だし、このまま話さないというのもなんだか変だろう。
そうして悩んでいた時、泰希は俺の事を見てニッと笑いながら頷いてからクラスメート達に話を始めた。
「一つだけ言うとさ……コイツは同い年とか年下よりは年上の方が好きなんだよ」
「お、年上か! それじゃあ年下の天鷲達や同学年の女子に反応しないのも当然か」
「年上、たしかにいいよな……同い年や年下にはない色気とか包容力みたいなのがあってさ。こう、甘えて色々な事をしてもらいたくなるみたいな魅力があるよな」
「それでいてやっぱりボインで腰がくびれててお尻がでかい方がいいよな。あのおっきくて柔らかそうなのに顔を挟まれてその中で寝たいわぁ……」
「うっわ。変態いるわ、ここに」
「変態じゃない! 欲望に忠実と言え!」
クラスメート達は楽しそうに話し始め、その様子を女子達は呆れたような顔で見ていたが、それを見てから俺は泰希にこそっと話しかけた。
「ありがとな、泰希」
「いいんだよ。コイツらはネタさえ投げ込めばこんな風にばか騒ぎする連中だし、このままこの話題で昼休みも終わるだろ」
「そうだな。でも、やっぱり誰にでも言えるようにはなりたい。別に言えない事ではないわけだしさ」
「まあな。けど、そのためにはまずコイツらに変にばか騒ぎしないように言い含めないといけないし、今はこれでいいんだよ」
「そうだな」
俺達が話している内にクラスメート達は今度は自分の好みについて話を始めていて、その話を頷きながら聞いていた時、俺の携帯がブルブルと震え始めた。
画面を見ると、そこには白鷹の名前が表示されていて、どうやらトークアプリにメッセージが来ていたようだった。
「ん、どうした?」
「白鷹からトークアプリにメッセージが来てたんだ。見た感じ、今日の放課後に少し話したいって感じだな」
「そっか。まあ何か聞きたい事でもあるんだろうな」
「だな。えーと……」
白鷹のメッセージに了承の返事をし、携帯をポケットにしまった。俺は再びクラスメート達とのばか騒ぎに加わり、賑やかでただ楽しさに溢れた昼休みを過ごした。
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