召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

think

文字の大きさ
71 / 179
一年生

対魔獣戦!闘い方は三者三葉です!

しおりを挟む
「せやぁぁぁぁぁぁ!」

はぁぁぁぁぁぁ!

空から急降下してきた二人は、それぞれ別の魔獣の後頭部に剣を振り下ろす。

ぐぅぅぅ!?

突然の衝撃により、魔獣はその大きな身体をよろめかせた。
だが、倒れるまでは至らずにくるりと振り返る。
その瞳は怒りによるものか、魔獣化の影響か真っ赤に輝きを放つ。

「父上!無事ですか!?」

「その声!フレアか!?」

久しぶりの親子の対面は残念なことに兜越しとなり、声での判断となった。

「はい!」

「ふははは!その姿!見違えたぞ!」

ガギィィィン!

団長であるフレアの父は会話しながらも、魔獣の攻撃を盾で受け止める。

「こちらの二頭は私たちにお任せを!」

「どうやら心配はいらんようだ!もう一人も相当な実力者だと肌で感じるからな!総員!魔獣の包囲を解き、前面に集中せよ!」

「「「はっ!!!!」」」

その一喝により、三頭に分散していた戦力が一頭に集中していく。

「よし!私が先陣を切る!援護を頼むぞ!」

「「「かしこまりました!!!」」」


「さて、これであちらは大丈夫でしょう」

ならばあとはこちらですね。
背中は任せましたよ。

「お任せください!」

紅と白の戦乙女は背中を合わせ、魔獣へと剣を構える。
並んでみると、魔獣は二人の身長よりも頭一つ分大きい。
そこから見下ろしてくる真っ赤な瞳は、一般市民だけではなく騎士だとしても恐怖で動けなくなるのは容易に想像できる。

フレアも一人でならそうなっていたかもしれない。
だが、今は自分の身を守ってくれる召喚獣がいて、後ろには尊敬する人がいる。
一人ではないという想いが、フレアの身体に力を与えていた。

「フェザー!剣に炎を!」

その言葉に応じ、フレアの剣は炎を纏っていく。
それは燃え盛るような炎ではなく、凝縮したように剣を紅く染めていく。

「はぁぁぁぁぁぁ!」

渾身の気迫を込めた上段からの振り下ろしは、

ガツッ!

魔獣の分厚い腕に防がれてしまう。

しかし、

ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?

今までと同じように受けていた攻撃とは違い、身が焼ける痛みに魔獣は悲鳴のような咆哮を放った。

「我が剣に触れると、ただの火傷では済まんぞ!」

魔獣の毛皮に燃え移った炎はまるで生きているかのように、どんどんと広がっていく。

どしん!
ゴロゴロ!

全身を焼き尽くそうとする炎の熱に耐え切れず、地面を転がって消火を試みる。
それでも炎は消えることなく、いまや全身にまで広がっていた。

ぐるぁぁぁぁぁぁ!

火だるまになった魔獣は、道連れとでも言わんばかりにフレアへと突進していく。

「これで、最後だ!」

フレアは抱きこむように両手を広げた魔獣の腹に、横薙ぎの一閃を打ち込んだ。

がぁぁぁ……

弱々しい声とともに魔獣の巨体は後ろへと倒れていった。

……どしぃぃぃん!

絶命した魔獣の身体は激しく燃え上がっていくが、

「ロスト」

フレアの言葉により、炎は消え去っていった。



さて、いきますよ!

ファーナは光の剣を構え、魔獣へと斬りかかる。
魔獣はその一撃を爪で振り払おうとするが、

ぎゃおん!?

私の剣の切れ味は生半可なものではありませんよ!

鉄のように硬い爪を斬り裂いた切っ先は、肉にまで届く。
鮮血をまき散らしながらも戦意を失うことなく、真っ赤な瞳で睨みつける。

良い気迫です。
さあ、かかってきなさい!

ぐぉぉぉぉぉぉぉ!

魔獣に言葉が届いたわけではないだろう。
しかし、その言葉に応えるように身体を低く構え、一直線にファーナへと襲い掛かる。

光の剣よ、貫きなさい。

二本の剣をファーナは召喚し、射出した。

ぎゃぁ!?

その二本は正確に魔獣の膝に突き刺さる。
血が噴き出し、勢いが止まると同時にファーナは疾走を開始。

ファーナと魔獣の距離は瞬く間に近づいていき、

グサッ!

光の剣が魔獣の胸を貫いた。
剛毛に血がつたわり、地面へと鮮血がこぼれていく。

ぐらり……

倒れかかってくる魔獣の身体を、ファーナは後方に跳ぶことによって避ける。

どしぃぃぃん……!

討伐、完了ですね。

その言葉とともに、倒れ込んだ魔獣の身体を貫いていた光の剣はその形を失っていった。


ほぼ同時に二頭の魔獣を討伐した二人の戦乙女。
その伝説の再来のような光景は、闘いながらもフレアの父の目に入った。

「見事!こちらも負けてはおれんな!」

魔獣が鋭い爪の突きをフレアの父へと向ける。

「邪魔だ!」

その突きを見て、すぐに剣と盾を投げ捨てた。
魔獣の破壊力抜群の突きを寸前まで見極めると、最小限の動きで避ける。

「どりゃぁぁぁぁぁぁ!」

空を切った腕を掴むとその勢いのまま、投げ払った。

がぁぁぁ!?

背中から叩き落された魔獣は、自分がどうなったかを瞬時に理解できない。
その一瞬が戦場では命取りになった。

フレアの父はすぐさま剣を拾い、走り出している。

「柔よく剛を制す。さらばだ」

激闘を繰り広げた魔獣を見下ろすと、胸に深々と剣を突き刺す。

ごぁぁぁぁぁぁ!

激しい絶命の咆哮を最後に、戦闘は終わりを告げたのだった。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

社畜だった俺、最弱のダンジョンマスターに転生したので、冒険者を癒やす喫茶店ダンジョンを経営します

☆ほしい
ファンタジー
過労死した俺が目を覚ますと、そこは異世界のダンジョンコアの前だった。 どうやら俺は、ダンジョンマスターとして転生したらしい。 だが、与えられた俺のダンジョンは最低ランクのF級。魔力を生み出す力は弱く、生み出せる魔物もスライムやゴブリンといった最弱クラスばかり。これでは、冒険者を呼び込んで魔力を得るなんて夢のまた夢だ。 絶望する俺だったが、ダンジョンの創造機能を使えば、内装を自由にデザインできることに気づく。 「……そうだ、喫茶店を開こう」 前世で叶えられなかった夢。俺は戦闘を放棄し、ダンジョンの入り口に木造の喫茶店『やすらぎの隠れ家』を作り上げた。メニューは、前世の知識を活かしたコーヒーと手作りケーキだけ。 ところが、そのコーヒーには異常なまでの疲労回復効果が、ケーキには一時的な能力向上効果が付与されていることが判明。噂を聞きつけた訳ありの冒険者たちが、俺のダンジョンに癒やしを求めて集い始めるのだった。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

異世界で目が覚めたら目の前で俺が死んでました。この世界でオリジナルの俺はとっくに死んでたみたいです

青山喜太
ファンタジー
主人公桜間トオル17歳は家族との旅行中、車の中ではなく突然なんの脈絡もなく遺跡の中で目が覚めてしまう。 混乱する桜間トオルの目の前にいたのは自分と瓜二つ、服装さえ一緒のもう一人の桜間トオルだった。 もう一人の桜間トオルは全身から出血し血を吐きながら、乞う。 「父さんと、母さん……妹をアカリを頼む……!!」 思わず、頷いた桜間トオルはもう一人の自分の最後を看取った。 その時、見知らぬ声が響く。 「私のことがわかるか? 13人の桜間トオル?」 これはただの高校生である桜間トオルが英雄たちとの戦争に巻き込まれていく物語

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

異世界へ転生した俺が最強のコピペ野郎になる件

おおりく
ファンタジー
高校生の桜木 悠人は、不慮の事故で命を落とすが、神のミスにより異世界『テラ・ルクス』で第二の生を得る。彼に与えられたスキルは、他者の能力を模倣する『コピーキャット』。 最初は最弱だった悠人だが、光・闇・炎・氷の属性と、防御・知識・物理の能力を次々とコピーし、誰も成し得なかった多重複合スキルを使いこなす究極のチートへと進化する! しかし、その異常な強さは、悠人を巡る三人の美少女たちの激しい争奪戦を引き起こすことになる。

乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100
ファンタジー
国立大学に通っていた理系大学生カナは、あることがきっかけで乙女ゲーム「Amour Tale(アムール テイル)」のヒロインとして転生する。 自由に生きようと決めたカナは、あえて本来のゲームのシナリオを無視し、実践的な魔法や剣が学べる魔術学院への入学を決意する。 魔術学院には、騎士団長の息子ジーク、王国の第2王子ラクア、クラスメイト唯一の女子マリー、剣術道場の息子アランなど、個性的な面々が在籍しており、楽しい日々を送っていた。 しかしそんな中、カナや友人たちの周りで不穏な事件が起こるようになる。 前世から持つ頭脳や科学の知識と、今世で手にした水属性・極闇傾向の魔法適性を駆使し、自身の過去と向き合うため、そして友人の未来を守るために奮闘する。 「今世では、自分の思うように生きよう。前世の二の舞にならないように。」

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~

虎柄トラ
ファンタジー
 下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。  意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。  女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。  敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。  剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。  一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。  快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。

処理中です...